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社会派サスペンスの名匠が
描き出す陰惨な事件の真相 |
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| '94年6月24日、松本市の閑静な住宅街で起きた松本サリン事件。冤罪まで招いたこの陰惨な事件を、「海と毒薬」などで知られる社会派サスペンスの名匠・熊井啓監督が活写。なぜ被害者を犯人とする誤報が流されたのか、その経緯をマスコミに取材する高校生の目を通して、無実の人間が国家権力と大衆報道に追い詰められて行くさまをえぐり出す。地方テレビ局の報道部部長に中井貴一、嫌疑を受ける一般市民に寺尾聰が扮し、重厚な演技を見せている。
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| 高校の放送部員のエミ(遠野凪子)は、松本サリン事件の冤罪報道を検証するドキュメンタリー製作のため、友人と共に地方テレビ局の報道部部長・笹野(中井貴一)を訪ねる。笹野はこの機会に自分も記者の意見を聞きたいと部下の圭子(細川直美)らを召集。嫌疑をかけられた第一通報者・神部(寺尾聰)を巡る、取材の様子を語らせ始める。
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監督・脚本:熊井啓 原作:平石耕一 製作総指揮:中村雅哉 製作:豊忠雄 企画:猿川直人 撮影:奥原一男 出演:中井貴一 寺尾聰 細川直美 石橋蓮司 北村和夫 北村有起哉 加藤隆之 遠野凪子 根岸季衣
(2001日活)119分
●シャンゼリゼほかにて全国公開
©2000 日活株式会社
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日本中を震撼させた事件の
舞台裏に敢然と切り込んだ傑作 |
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長らく景気低迷が続き、凶悪犯罪などの恐怖と不安がドロドロと渦巻くニッポン。映画会社としてはついひよってしまうのか、そうした現実の社会問題をズバリ扱った作品はなかなか作られることがないが、バリバリの社会派・熊井啓がさすがの入魂作を完成させてくれた。'94年6月に日本中を震撼させた松本サリン事件の舞台裏に切り込んだノンフィクション映画である。
この事件においては第一通報者の会社員、河野義行さん(本作では神部俊夫という架空の名前が使われている)を警察やマスコミがよってたかって容疑者扱いし、多くの国民も“きっとそうだ”などと根拠もなく思い込んでしまった。映画は中井貴一扮する地元TV局の報道部部長を主人公に据え、なぜ冤罪は起こったのかというストーリーをタテ軸に、理不尽な報道に疑問を抱いた女子高生や刑事としての職務と真実の間で揺れる刑事らの群像を、驚くほどの緻密さで綴っていく。ほとんど松本サリン事件の知識がない人もわかりやすく見られるし、なおかつ冷静な視点が保たれているので安易な“正義”臭もない。さらにサリンがまかれた当夜の地獄絵図を、あえてラストぎりぎりに再現した構成には思わず背筋が震えた。他のいかなる話題作を差し置いても絶対に見てほしい傑作。
下川秋男●小中学生の頃に観まくったホラー、犯罪映画のトラウマを、今なお引きずる映画ライター |
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