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2005.12.16(金)更新
【東京シネマのぞき見隊】(62)
テレビでおなじみの“あの声”に、聞き惚れる人が続出!
新宿ロフトプラスワン「スター・トレック」イベントに“カーク船長”現る!!
【東京シネマのぞき見隊】(62)
テレビでおなじみの“あの声”に、聞き惚れる人が続出!
新宿ロフトプラスワン「スター・トレック」イベントに“カーク船長”現る!!
終始、温和な笑顔で話を聞かせてくれた矢島正明氏。しかし最近は、アフレコ技術の発展からか若い声優を中心に失敗に対する“恐れ”が薄れてしまっているように感じるという。「“一回一回が真剣勝負!”というのが声優の仕事だったはずなのに、最近はやり直しが利くようになったこともあってか、失敗することをなんとも思っていないような人が多い。真剣な気持ちで吹き込んだセリフの後に失敗され、『じゃあ、今の流れをもう一度』って言われると、正直なところ心外です」と語っていた
【東京シネマのぞき見隊】(62)
テレビでおなじみの“あの声”に、聞き惚れる人が続出!
新宿ロフトプラスワン「スター・トレック」イベントに“カーク船長”現る!!
写真は左からSF雑誌「スターログ」などで「スター・トレック」関連の執筆を数多く行なっている岸川靖、メインゲストの矢島正明、「スター・トレック ディープ・スペース・ナイン」でエリム・ガラックの声を演じた大川透、演出家の佐藤敏夫(敬称略)。偉大なる船長と、「宇宙大作戦 スター・トレック」を手掛けた名プロデューサーの間に挟まれた大川氏の緊張した表情が印象的
【東京シネマのぞき見隊】(62)
テレビでおなじみの“あの声”に、聞き惚れる人が続出!
新宿ロフトプラスワン「スター・トレック」イベントに“カーク船長”現る!!
スクリーンに映し出されているのは、今から20年くらい前に岸川氏が東北新社でコピーしてもらったという「〜スター・トレック」の第15話「宇宙の帝王」の台本のコピー。当時の資料として現存する貴重な一品だ。この際、同作品のオープニングの上映と、矢島氏によるオープニング・ナレーションの朗読が行なわれ、プロのナレーションを間近で聞くことが出来たファンはみな、感動の面持ちでその声に聞き惚れていた
【東京シネマのぞき見隊】(62)
テレビでおなじみの“あの声”に、聞き惚れる人が続出!
新宿ロフトプラスワン「スター・トレック」イベントに“カーク船長”現る!!
写真は開場直後の店内の様子。開演前にほとんどの席が埋まり、そこかしこから“スタトレ”談義が聞こえていた。新宿ロフトプラスワンは飲食をしながらトークショーを聞けるトークライブハウス。そんな、店のリラックスできるムードもあってか、大物ゲストを待っているにも関わらず、来場者はみなリラックスした様子
【東京シネマのぞき見隊】(62)
テレビでおなじみの“あの声”に、聞き惚れる人が続出!
新宿ロフトプラスワン「スター・トレック」イベントに“カーク船長”現る!!
イベントの閉幕後、矢島氏のサイン会が実施された。事前告知されていたこともあって、スター・トレックのファンは思い思いの品を手に列をなした。トークショーが白熱したこともあり、サイン会が始まったのは終電も間近の23時頃。そんな遅い時間にもかかわらず、ほとんどの来場者が列に並び、そんなファンの情熱を受け矢島氏も快く、言葉を交わしながら最後のひとりまで笑顔でサインに応じていた
【矢島正明プロフィール】
1932年生まれ、東京都出身。小学校高学年の頃に太平洋戦争を経験し、焼け跡となった東京でラジオドラマを聞き、現在の仕事を目指すようになったという。主な出演作(日本語吹替を含む)は海外ドラマの「宇宙大作戦 スター・トレック」(カーク船長役)、「逃亡者」(ナレーション)をはじめ、テレビアニメ「鉄腕アトム」(ヒゲオヤジ役)など
>> 「矢島正明」公式サイト
>> 「新宿ロフトプラスワン」公式サイト
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日本語吹替のパイオニア・矢島正明

 「名前は知らないけど、声には聞き覚えがある」。日本のアニメや洋画の日本語吹替が盛んになった今でも、数多く存在する声優の顔と名前が一致する人は少ないかもしれない。それは、12月6日(火)に新宿ロフトプラスワン(以下LPO)で行なわれた<スタトレ年末スペシャル!「スター・トレックを語ろう2005冬 矢島正明大作戦」>のゲスト、矢島正明氏に関しても同じことがいえるだろう。
 矢島氏の最近の仕事といえば、テレビ番組「オーラの泉」や、「ハウルの動く城」のCMなど、ナレーションの仕事が多い。例えば、“「リポビタンD」のCMで「タウリン1000mg配合〜」と言っている声の人”といえば、連想できる人も少なくないだろう。そんな矢島氏の代表作ともいわれている声の仕事が、カーク船長役で参加した、人気SFドラマ「宇宙大作戦 スター・トレック」('66〜'69)だ。
新宿歌舞伎町に“トレッキー”が大集合!

 LPOではこれまで、計11回の“スタトレ”イベントが不定期開催(1999年3月を皮切りに、毎年1、2回のペースで実施)されてきた。ファンにとってはおなじみのイベントということもあってか、地下2階の店内に続く階段には開場待ちの列ができていた。イベントの冒頭、まず登場したのが本日の司会進行を務める岸川靖氏(編集者)。さらに、飛び入りゲストとして「スター・トレック ディープ・スペース・ナイン」シリーズの小説の翻訳を行なっている、京都大学教授の丹羽正之氏も登壇した。“トレッキー”(ファンの間で「スター・トレック」通のことをこう呼ぶ)の2人がマニアックなネタ満載の“前説”を20分ほど行なったのち、ついに本日のメインゲスト矢島正明氏が登場! 開口一番「こんなに大勢の方がいらっしゃってくれて、ドキドキしております。今日は、私よりもこの世界に詳しい皆さんに色々と教えていただきたいと思います」とコメントすると、会場を埋め尽くしたファンから万雷の拍手が贈られた。
 トークショーの前半は「0011 ナポレオン・ソロ」('64〜'68)や「謎の円盤UFO」('70〜'73)といった、矢島氏が吹替に参加した「宇宙大作戦 スター・トレック」以外の海外ドラマについての話。後半は、「〜スター・トレック」に関する裏話などを中心に“トレッキー”たちが泣いて喜ぶ様々なエピソードが次々と飛び出した。途中、「〜スター・トレック」の演出家だった佐藤敏夫氏、声優の大川透氏が飛び入りゲストとして参加。ファンにとってはたまらない豪華な顔ぶれが揃った同イベントは、大盛況のうちに幕を閉じた。
「録音作業は、
恐怖以外の何物でもありませんでした」


 トークショーの中で矢島氏は、「〜スター・トレック」の声を担当していた1965年当時のアフレコ(映画やアニメなどの音声録音、アフター・レコーディングの略)に関して、次のような思い出を語ってくれた。
「録音作業は、恐怖以外の何物でもありませんでした。今とは違って、1本の磁気テープを回して最初から終わりまでを一括に撮るという作業でしたので、誰かがセリフを失敗したらはじめからやり直さなくてはならないんです。失敗したテープは破棄するのですが、とても高価なもの(当時の磁気テープは、放映するドラマなどの権利と同等の価値があったという)なので、実にスリリングな仕事でした。正直、もうやりたくない(笑)」
 今でこそ“失敗したらテープを巻き戻してもう一度”と気楽にやり直せるアフレコ作業。それだけに、矢島氏が経験した当時の心労は計り知れない。
「そんな(キツイ)仕事ですから、アフレコ前に食事を摂る気にならない。緊張しすぎて液体しか喉を通らないんです。僕が演じたカーク船長は部下に命令をする立場ですから、専門用語や機械の名前が非常に多く出てくる。それをいかにテンポよく伝えるか。声優は噛まないでセリフを言うことが一番のセールスポイントです。『失敗したら次から使ってもらえない』っていう思いがあっただけに必死でしたね」
 現場の人間が感じていた想像を絶する緊張感。当時としては特撮のレベルは高かったが、今観ると微笑ましい「スター・トレック」がシリーズを重ねて人気を得てきたのは、物語の奥深さに他ならない。それに加え、現場の緊張感が作品に反映されていたのではないだろうか。現在の“スタトレ”人気を作り出した原点を垣間見たような気がした。
 今回のイベントを経て、これから洋画を観る時は字幕版だけではなく、プロの声優が声を担当した日本語吹替え版にも注目しようと感じた筆者であった。

取材・文/武田将之(ワークス・エム・ブロス)


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