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2008.10.3(金)更新
【秘祭!奇祭!映画祭!! 全国映画祭めぐりツアーズvol.9
アジアフォーカス・福岡国際映画祭編】(前編)
「運動靴と赤い金魚」のM・マジディ監督の新作ほか
日本初公開の秀作アジア映画がド〜ンと23本上映!
【秘祭!奇祭!映画祭!! 全国映画祭めぐりツアーズvol.9アジアフォーカス・福岡国際映画祭編】(前編)「運動靴と赤い金魚」のM・マジディ監督の新作ほか日本初公開の秀作アジア映画がド〜ンと23本上映!
映画館のエントランスで観客を迎え入れていた「運動靴と赤い金魚」のマジド・マジディ監督。アジアフォーカス・福岡国際映画祭への参加は、ゲストとして最多の7回目となり、観客からのサインや記念写真に丁寧に応じていた。「マジディさんは映画製作だけでなく、ファンサービスに熱心な監督です」と横にいた女性通訳が笑っていた。福岡大好きなマジディ監督、そのうち屋台でもご一緒しましょう!
【秘祭!奇祭!映画祭!! 全国映画祭めぐりツアーズvol.9アジアフォーカス・福岡国際映画祭編】(前編)「運動靴と赤い金魚」のM・マジディ監督の新作ほか日本初公開の秀作アジア映画がド〜ンと23本上映!
新作「すずめの唄」の上映後、舞台挨拶をするマジディ監督。観客からタイトルの意味を尋ねられ、「スズメは美しい声でさえずるわけではありませんが、かわいらくしく素朴な生活を送っている小鳥。主人公の一家も郊外で豊かな生活を送っているわけではありませんが、とても純粋な心を持っている。そのことから付けた題名なんですよ」と解説
【秘祭!奇祭!映画祭!! 全国映画祭めぐりツアーズvol.9アジアフォーカス・福岡国際映画祭編】(前編)「運動靴と赤い金魚」のM・マジディ監督の新作ほか日本初公開の秀作アジア映画がド〜ンと23本上映!
マジディ監督は新作の度に福岡に来日している。長編デビュー作「バダック 砂漠の少年」(日本未公開)以外は全てアジアフォーカスで上映されているのだ。 「友だちのうちはどこ」(87)などで知られるイラン映画界の巨匠アッバス・キアロスタミ監督が静かな作風なのに対し、マジディ監督作品は躍動感に溢れる作品が多い
【秘祭!奇祭!映画祭!! 全国映画祭めぐりツアーズvol.9アジアフォーカス・福岡国際映画祭編】(前編)「運動靴と赤い金魚」のM・マジディ監督の新作ほか日本初公開の秀作アジア映画がド〜ンと23本上映!
アジアフォーカス映画祭では毎年、各国の映画人を招いての市民参加型シンポジウムが開かれている。過去の内容は「中東の文化・映画事情」「映画でみるイスラム世界」など小冊子としてまとめられ、映画祭の会場となったエルガーラホールやソラリアシネマで物販されていた。アジア各国の映画の製作状況が分かる貴重な資料だ
【秘祭!奇祭!映画祭!! 全国映画祭めぐりツアーズvol.9アジアフォーカス・福岡国際映画祭編】(前編)「運動靴と赤い金魚」のM・マジディ監督の新作ほか日本初公開の秀作アジア映画がド〜ンと23本上映!
福岡市民がいち早く鑑賞したマジド・マジディ監督の新作「すずめの唄」。マジディ監督のヒット作「運動靴と赤い金魚」同様に、わんぱくな男の子たちが元気に走り回る。プロの俳優には出せない、純朴な魅力を放つ地元の素人の少年たちは今後どんな大人に育っていくのだろうか?
【マジド・マジディ監督 プロフィール】
1959年、テヘラン出身。長編デビュー作「バダック 砂漠の少年」(91)は92年のカンヌ映画祭監督週間部門で上映。日本では劇場未公開だが、DVD化されている。第2作「父」(96)はサン・セバスチャン国際映画祭において大賞を受賞。第3作「運動靴と赤い金魚」(97)はイラン人監督として初めて米国アカデミー賞外国語映画賞にノミネート。日本でもシネスイッチ銀座ほかでロングランヒットし、アッバス・キアロスタミ監督とともにイラン映画ブームを巻き起こした。「運動靴〜」とさらに「太陽は、僕の瞳」(99)、「少女の髪どめ」(2001)はモントリオール世界映画祭で3作品連続でグランプリ受賞の快挙を達成。その他、「裸足でヘラートまで」(2002)、「柳の木のように」(2005)などの作品がある。デビュー作「バダック」以外の長編作品は、すべてアジアフォーカス・福岡国際映画祭で上映されている。「すずめの唄」(2007)で同映画祭への参加は7度目を数える

【「すずめの唄」STAFF&CAST】
製作・脚本・監督:マジド・マジディ 出演:レザ・ナジ マルヤム・アクバリ シャブナム・アクラグィ ネシャト・ナザリ(イラン/2007)96分


>> 公式サイト
>> アジアフォーカス・福岡国際映画祭レポート後編
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イランの大物監督マジディさんは、
今やアジアフォーカスの常連です


 靴を失くした妹のためにお兄ちゃんが少年マラソン大会(3等賞の景品が運動靴!)で人生最大の大激走をみせるイラン映画「運動靴と赤い金魚」(97)は、ジュブナイル映画として、またスポーツ映画として映画史に残る大傑作だ。「太陽は、ボクの瞳」(99)では視覚障害の少年の生まれ故郷が天国のような美しさをたたえていた。「少女の髪どめ」(2001)では、それまでの純粋無垢な幼い兄妹愛の世界から大人の入り口に立つ若い男女のプラトニックな恋愛へとステップアップしていった。

 この3本の映画を撮ったのが、マジド・マジディ監督。「運動靴〜」はイラン人監督として初めて米国アカデミー賞外国語映画部門にノミネートされるなど、国際的評価を受けているイラン映画界の大物なのだ。そのマジディ監督を日本でイチ早く紹介したのが、「アジアフォーカス・福岡国際映画祭」。韓流ブームの口火を切った映画祭でもある。アジアの玄関口である福岡市で毎年9月に開催され、今年ですでに18回目。アジア各国の監督や俳優たちが福岡の繁華街・天神をぞろぞろと闊歩する姿は、すっかり地元の風景に溶け込んでいる。

 今年のアジアフォーカス(9月12日〜21日)で、そのマジディ監督の新作「すずめの唄」が上映されると知り、あわただしく空路で福岡市へと向かった。9月後半だというのに、福岡市は日没が遅く、気温湿度も高く、街のあちこちで屋台が営業の準備を始めている夕暮れ時の光景は、とてもアジアンチックだ。そんな中、映画祭のメイン会場となっている天神ソラリアシネマへ。エレベーターを上がると、いきなり、マジディ監督が劇場のロビーに立っているではないか。え、マジで?と、思わずダジャレが口からこぼれ落ちる。
 福岡の映画ファンは、貫禄たっぷりのヒゲのイラン人をマジディ監督だと認識しており(パンフレットの写真はサングラス姿なのに)、サインや記念写真を求めているのだ。レッドカーペットを歩く映画人を遠巻きに眺める東京国際映画祭に比べると、格段にゲストとの距離が近い映画祭である。

 新作「すずめの唄」の上映前に、映画祭ディレクターである梁木靖弘(はりきやすひろ)氏がマイクで、ひと言アナウンス。「ごめんなさい。今日は夜から開かれる観客賞授賞式の関係で、マジディ監督への質疑応答はなく、挨拶だけになります。その代わり、みなさんにプレゼントを用意しました」
 そのプレゼントとは、マジディ監督が北京五輪のPR用に撮った短編映画「COLOR FLY」のサプライズ上映だった。マジディ監督が北京でロケ撮影したもので、北京の子供たちが赤、カラフルな5色の風船を手に街中を走り回るという映像詩。マジディ監督の長編デビュー作「バダック 砂漠の少年」(91)も密輸入の手先となった少年が砂漠を駆け回るシーンが印象的だった。「運動靴〜」の少年といい、マジディ監督は子供が走り回る絵が好きなんだなぁと再認識。
マジディ監督の新作「すずめの唄」は
父親目線による「運毒靴と赤い金魚」


 続いて新作長編映画「すずめの涙」の上映。主演は「運動靴と赤い金魚」で幼い兄妹のダメ親父を演じたレザ・ナジ。この作品で今年のベルリン映画祭で最優秀男優賞を受賞している。今回もやっぱり頑固なダメ親父役だが、補聴器を壊してしまった長女のために街に出て、慣れない白タクで稼ごうとハッスルする騒動記。神を敬い、親戚付き合いを大切にしていた父親が都会で働くうちに、お金を稼ぐことそのものが目的となっていく下りが切ない。イランでも激しい経済変動が起き、庶民の暮らしぶりが大きく変わりつつあることが伝わってくる。

 その一方、健気な少年と幼い妹、金魚などマジディ監督の代表作「運動靴〜」の重要なモチーフが再び登場する。「運毒靴〜」ではマラソン大会を走り終えた少年を“神の使い”が静かに祝福するシーンが胸を打ったが、「すずめの唄」でも家族のために散々骨を折った父親をやはり“神の使い”が優しく慰労する形でエンディングを迎える。「すずめの唄」は父親版「運動靴〜」と言っていいだろう。

 温かい拍手の中、マジディ監督が舞台に登壇。
マジディ「今日は質疑応答ができなくて、ごめんなさい。でも時間の許す限り、映画のお話をしましょう。私の作品の出演者はみんな素人ですが、みなさんご存知の通り、父親役のレザ・ナジだけは『運動靴〜』以来、プロの役者となり、私の作品に出てくれています。今年のベルリン映画祭ではハリウッドの有名男優たちをライバルに回し、見事に最優秀男優賞に選ばれたんですよ。今回は田舎で暮らしているピュアな心を持つ家族が、便利な大都会で働くうちに他人を思いやる優しさを失っていく危険性を描いています。自分も今は都会で暮らしていますが、自戒の念を込めて、この作品を撮ったんです」

 当初は質疑応答の予定はなかったが、マジディ監督からの申し出で、ファンからの質問に応える時間がわずかだが設けられた。物語の冒頭で父親がダチョウ牧場に勤めているというユニークな設定についての問いに対し、マジディ監督は人懐っこい笑顔でこう答えた。
「ダチョウはペルシア語で『ラクダ鳥』と呼ばれています。鳥なのに外見は鳥らしくなく、でも±50℃の厳しい環境でも生きていけるタフな動物。ボクの映画の主人公も見た目はかっこ良くないけれど、家族のために懸命に働き続けます。バイクで走る父親の姿は、ダチョウそっくりだったのではないでしょうか(笑)」

 短い時間だったが、家族愛・隣人愛を謳うマジディ監督の人柄が伝わる舞台挨拶だった。筆者もマジディ監督に以前から聞きたいことがあったが、それはまた次の機会まで胸にしまっておこう。(後編に続く)

(取材・文/ライター長野辰次)



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