【連載第1回】 今日が暗殺150年! 龍馬暗殺の黒幕を総ざらい

東京ウォーカー

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1階から騒々しい物音。2階の男が思わず「ほたえな!(騒ぐな)」と叫ぶ。その声を目当てに刺客たちが階段を昇っていく。うち一人が部屋のふすまを開け、座談中の男二人に声をかける。「坂本先生しばらくです」。「誰じゃったかな?」と返事をした大柄な男のほうが標的とわかると、刺客たちは突然刀を抜いて襲いかかった。大男は額を斬り割られながらも体をひねり、背後に置いていた刀をつかんで鞘のまま応戦するが、やがて昏倒。大男の相方も体中をめった斬りにされていた。立ち去る刺客たち。息を吹き返した大男が最後の声を発する。「新助、医者を呼べ! 石川、手はきくか。……わしはもういかん、脳をヤラレタ」。

ドラマや小説、マンガで描かれる坂本龍馬暗殺のシーンは、だいたいこんな感じ。慶応3年(1867)11月15日、今からピッタリ150年前のこの日、坂本龍馬は暗殺された。京都河原町の醤油商・近江屋新助宅で中岡慎太郎(ちなみに「石川」は中岡の変名)と会談中のところを、徳川幕府配下の見廻組に襲撃されて命を落とした。享年33。自分が成し遂げた大政奉還の1ヶ月後、王政復古の大号令で徳川幕府が消滅するわずか1ヵ月前のことだった。

360度全方位が敵!


中岡と話し込んで座っていた龍馬は、最初の一撃で額を斬られ、これが致命傷になった


明治維新まであと一歩、いや半歩手前で死んだ悲劇性や、エピソードてんこ盛りのドラマティックな生涯、魅力的なキャラクター性、奇抜な発想と圧倒的な行動力で、坂本龍馬は時代を飛び越えて今なお超絶人気を誇っている。全国のファンが毎年命日近くに墓前祭やイベントを営んでいるが、今年は節目だから例年以上に多くのファンが参加するだろう。

一時期、歴史上の人物をサゲたり、「実はすごくなかった」的な“逆張り”がはやった頃、龍馬にもフリーメイソンの手先や薩摩のスパイ説が流された。下世話なネタでは梅毒でハゲていた説なんてのもあった。

が、「あなたが好きな歴史上の人物」系のランキングをやればだいたい龍馬(か織田信長)が1位だし、ゲームや漫画、アニメでもたびたび題材になるし、映画・ドラマではトップスターがその役を演じる(北大路欣也、原田芳雄、武田鉄矢、渡辺謙、江口洋介、福山雅治、内野聖陽などなど。特に原田龍馬はエロかっこいい!)。

徳川慶喜が京都の二条城で大政奉還を諮問するの図


こんな150年経っても色褪せない龍馬人気には、上に書いたこと以外にもう一つ大きな理由がある。死にまつわるミステリーだ。龍馬暗殺を画策し、指示した者がいるんじゃないか? それは誰なのか!? 動機は何なのか!? 信長にしてもジョン・F・ケネディにしても、暗殺は人々の興味と好奇心をかき立てる(そういえばケネディ暗殺の機密文書の公開も今年だった)

第35代アメリカ大統領JFK。龍馬と同じく暗殺の黒幕ミステリーが注目される


150年間も龍馬が人々の興味を惹きつけ続けるのは、暗殺にまつわるミステリー=黒幕が解き明かされていないからだろう。

結論が出ていないからこそ、自由にあーでもないこーでもないと自分なりに推理して楽しむことができる。龍馬の場合は、黒幕に推定したくなる人物や状況が多彩すぎて、○○黒幕説のバリエーションを豊富に作れることも特色(?)だ。ためしにざっと、過去に小説やドラマ、漫画、雑誌記事、書籍などで展開されてきた主な黒幕(と首謀者)説を挙げてみると、

◆土佐藩説(後藤象二郎、岩崎弥太郎)

◆薩摩藩説(大久保利通、西郷隆盛)

◆長州藩説(木戸孝允)

◆紀州藩説(三浦休太郎)

◆会津&桑名藩説(松平容保&定敬兄弟)

◆新選組説(近藤勇、土方歳三)

◆見廻組説(佐々木只三郎)

◆徳川幕府説(徳川慶喜、小栗忠順)

◆朝廷説(岩倉具視)

◆外国説(トーマス・B・グラバー、ハリー・S・パークス)

こんなにたくさん出てくる。これはもう敵味方関係なく、龍馬周辺の主だった全員が怪しく、全方位から狙われていたことになる。この中に真実があるのか? だとしたら黒幕の動機と目的は何だったのか? トンデモ説から説得力のある説まで、特に興味深い説を紹介することで、暗殺からちょうど150年の機会に、龍馬ファンには改めて、そうでもなかった人には「坂本龍馬」に興味を持つきっかけになれば、というのがこの記事の願い。読者のみなさんにはどの説がしっくりくる?<2に続く>

龍馬の道連れになって殺された中岡慎太郎。志士写真には珍しい笑顔


【ボクらの維新通信社2018/坂本犬之介】

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