連載第10回「大阪インバウンド最前線」外国人観光客と変化する新世界を語る!近藤正孝さんインタビュー

関西ウォーカー

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この連載は、大阪で激増するインバウンド(訪日外国人観光客)の最前線を人気施設や旅行・観光に詳しい業界関係者などキーパーソンに話を伺うインタビュー企画。第10回は新世界町会連合会役員・近藤正孝さんに、大阪のインバウンドの現状や、インバウンドが増えて変わったこと、今後の展望などを聞いた。

今回のインタビューに答えてくれた、新世界町会連合会役員の近藤正孝さん


――インバウンドの方が増えたという印象はありますか?

10年ぐらい前から外国の方は大阪には来ていたと思うのですが、ここ3、4年で急激に増えたような印象ですね。

――2011年にLCCが就航して、3、4年前から観光立国を安倍首相が打ち出しましたからね。

ここ3、4年くらいでめちゃくちゃ増えていますね。一番びっくりしたのがJR新今宮駅。夕方ぐらいに通りかかったら、雪崩を打つようなトランクを持った人たちの波を見たんですよ。地元の人間からすると、あえて新今宮駅に行くというイメージがないですからね。どうしても柄の悪いイメージがありましたから。でも、それも関係なく人が流れてくるから凄いなと。それはホテルができたり、ドン・キホーテができたり、色々な理由があるやろうけども、あの人の波を見た時にホンマに増えてるんやなと思いましたね。

――昔はどんな街だったのですか?

【写真を見る】観光地として注目される街へ変わる新世界


新世界には昔から旅館が多くて、男の遊び場といった感じの街やったんですよ。おっちゃんの遊び場。朝から飲んで、映画見たり芝居見たり、パチンコしたり麻雀したり将棋したり、男が1人で遊べるところ。昔は、芸者さんの施設もあったし、料亭もあった。そういう時代でしたから紳士の社交場であり、男の遊び場であるような雰囲気の街やったんです。僕らが子供の昭和30〜40年くらいは、新世界を一周回ったら映画が全部見られたんです。今でいうシネコンのように、映画館が集まっていた。東宝、敷島、大映、東映が全部あって、封切館やったから公開挨拶に高倉健が来たこともある。それが、カラーテレビが普及して映画が下火になった。その後、経済はバブルになって、映画館のあとにパチンコ店が増えた。平成の初まりには、新世界の狭いエリアにパチンコ店が十数店ひしめき合っていた時代があった。まあ、それも自然淘汰されて、現時点ではマルハンともう1店舗だけですが。そして、さらに時代が変わってそのパチンコ店が、ファミリーも団体も入れる大型串カツ店になった。一人のおっちゃんが遊ぶ街から、ファミリー・カップル・団体が遊びに来る街に変わってきたのが半世紀の流れですね。

一昔前までは少し怖い印象のあったジャンジャン横丁も、すっかり観光地として定着


インバウンドが新世界に集まるワケ


――なぜ、新世界に外国人が増えたと思いますか?

交通アクセスがよいというのが一つのポイントかなと。JRも南海もある、大阪メトロも恵美須町と動物園前と2つあるし、阪堺電車もある。新世界は駅に囲まれた街で、天王寺動物園も通天閣もあって、もともと観光としても機能できるはずの街やったんです。ただ、ターミナルじゃないので、年がら年中、台風の日でもどんな日でも、新世界を歩かざるを得ない街ではないんですよね。天王寺みたいな街とはちょっと違う。駅に囲まれてはいるけどターミナルじゃないから、新世界に行く目的がなかったら降りない街。それがちょうど今、観光地としての要素がクローズアップされる状態になった。

堺筋線の恵美須町駅で降りても、通天閣を目印に新世界へたどり着ける


――宿泊するところも多いですね。

ここ2、3年で増えてきた。それが新しい現象ですね。まさかこんなことになるとは思わなかった。昔からあった旅館がなくなって、新しい宿泊施設ができた。ホテルも含めて、ホステルとか。民泊もそう。まだ建設中のところもあるみたいですし、今後もホテルは増えるみたいですね。これだけ変わるとは思わなかったのが正直なところですね。

――スパワールドも海外の方に人気ですもんね。

人気やね!日本人のお客さんより外国人の方が多いと聞きますもんね。

――そもそも外国人が新世界にくる目的ってなんでしょうか?

もちろん通天閣もあるけど、日本橋からの流れもあると思う。アニメ好きとかね。最近はホテルも増えているので、観光の拠点にされてる方もいますね。もう一つ、統計じゃないんやけど、新世界って“大阪らしい”ので、外国のSNSとか観光情報とかでもちゃんと扱ってくれてるのかなと。外国のメディアの人とか雑誌の人とかが新世界で撮影したり。昔に比べたら、メディアに取り上げられることも多くなってるから。

派手&巨大な看板は、もはや大阪名物


――周りのお店さんとの話ではどうですか?

外国人が多くなっているとはみんな言いますよ。歓迎しているところと、そうじゃないところはあるみたいですけどね。その反応はいろいろやけど、おおむね外国人は増えているの一言ですね。

外国人観光客に向けて、街をあげて盛り上げていきたい


――それに対して、街として何か対応することは?

それがね、動いてない。新世界は遅れているというか。個々でみれば、通天閣とかスパワールドは力を入れていますが、街としてはできてないんですよね。必要性は感じていますけど、課題のひとつかなと。お金もかかることやし、なかなか動ききれていない難しいところですね。商店の集まりやから…。よく、外国人向けにマップとか聞かれますが、街として作っていないんです。個人で案内所をやっているところはあります。新世界まちなか案内所。自分の想いでやってはる。昔は、お好み焼き店やったんですけど、高齢で70歳になった時に辞めて引退しはった。けど、長年、新世界でやってきた想いもあって、新世界に対する恩返しの気持ちで何かできることないかなって案内所を作りはった。完全にボランティアですね。一応、中国語とかを含めて、新世界に限らず大阪のいろいろなパンフレットを置いています。あ、イベントなら、ちょこっとあります。餅つき大会とか。前回にやった餅つきはインバウンド対象で、観光客に餅をついてもらおうと。日本の文化を外国人に体験してもらおうと。餅つきと餅つきの間に路上ライブをしたりね。これは好評でしたね。折り鶴イベントをやって、日本の文化を伝えようと、外国人観光客に折り鶴をプレゼントしたこともあります。ただ、まだまだ少ないので、今後はもっと外国人にも楽しんでもらえる企画を立てて、どんどん盛り上げていきたいですね。

※本企画は、情報誌「関西ウォーカー」2018年8/28発売号の大阪インバウンド特集「YOUは何しに大阪へ?」との連動企画です。

横井哲也

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