注目のフィギュアスケート重松チームに迫る【後編】

東京ウォーカー(全国版)

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二人ともスケーティングの“伸びしろは大きい”と感じていますので、そこをしっかりと指導していきたい――。重松直樹コーチは、このように宮田、梶田両選手に期待を寄せている。

「宮田君は、移ってきた時よりも自然に軽く滑れるようになってきたと感じています。おそらくジャンプももっと難しいものを跳べるようになると思います。梶田君は、僕が伝えているスケートに興味を持ってくれるような価値観を持っています。それが伝わった時にどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、それが楽しみです。技の難しさ以外の部分で観客を惹きつけるような演技を目指してほしい」(重松コーチ)

そして、「本当に大切なことは、この試合でこの順位になるとかではなく、本当の意味でちゃんとコミュニケーションが取れるように、伝えたいと思っていることが伝わるように、相手が思っていることが分かるようになることなんです。二人とも大学生。練習に来るも来ないも自分で判断する段階です。リンクに来たら、「よく来たね」という感じで迎えます。そういった練習、生活の中で、課題や目標は自然と見えてくるでしょう」と話してくれた。

目覚ましい活躍


その後のシーズンにおいて、重松コーチが「今季は環境に慣れるだけで十分」と言っていた宮田大地は、全日本ジュニアで表彰台に立ち、全日本選手権でも精一杯のパフォーマンスを見せ、最大の目標としていた世界ジュニアの代表の座を掴み取るという、コーチの期待を遥かに超える活躍を見せた。1月18日の練習を見学した際には、4回転トゥループの練習をひたすら繰り返していた。

トリプルアクセルは来季の課題としており、今季はダブルアクセルでプログラムを構成する


「今日は靴を換えてから初めての4回転の練習だったんです。まだ練習でもあまり成功していません。でも世界ジュニアでは4回転に挑戦したいんです。重松先生ともそう話しています」(宮田選手)

東日本ジュニアで挑戦したものの、まだ試合で4回転を成功させたことはない。それでも大舞台での成功を目指して練習を積むのには、強い思いがあるからのようだ。

「今季好調だった友野一希選手が世界ジュニアに行けません。悔しかったはずです。彼のためにも来年の出場枠を3枠、絶対に取らなければなりませんから」(宮田選手)

年明けに開催されたインカレで、フリーで会心の演技を披露でき、これが自信につながったようだ。

「初めてノーミスの演技が出来たんです。途中、ループを降りたところでガッツポーズをしてしまいました。何故したのか自分でも分からないんですが、これはもう残りのジャンプをすべて決めてノーミスの演技にするしかない、と思いました」とインカレでの演技を振り返る。

世界ジュニアでは強い選手が多数おり、その壁の高さは宮田選手自身も痛感しているようだが、是非彼のベストの演技を披露し、世界に向けて大いにアピールしてもらいたい。

国体でのパフォーマンスに期待


梶田健登は、年明けのインカレでは良いところのない演技に終わってしまった。

「インカレの時は体調不良でした。対応できないうちに終わってしまったのが残念です。ここ1週間はいい調子で、練習も普段通りにできています。シーズン初めにあまり練習できない時期が続いたんですが、今はようやく順調に練習を積めています」(梶田選手)。

調整に苦労したシーズンだったようだが、今季最後の試合、国体では本来のパフォーマンスを期待したい。

「今季初めてシニアの全日本に出させてもらいまして、確かにショート落ちという結果は残念だったんですが、それによってもう1回出たい、という気持ちが強くなりました。それも後半グループ、第3グループで滑れるようになりたい。そのためには東日本から表彰台に乗って結果を出さなければいけませんので、それだけの実力を身に着けることが今の目標です」(梶田選手)と意欲を語る。

多くの選手が口にすることだが、全日本選手権は特別な大会だ。

「いつもの緊張とは全然違います。雰囲気に圧倒されました。地に足がつかない状態で終わってしまった感じです。それでもいい経験になったと前向きに捉えています。中途半端な成績ではなく、本当に悔しい思いをしたことを今後に生かしていきたい」(梶田選手)

そして、「シーズン初めには心身とも悪い状態でした。最近になってようやく上向いています。いずれは国際大会に再び出たい気持ちはありますが、仮に今出させてもらってもいい演技は出来ません。今は試合に出ることよりも、国際大会で戦える力を身に着けたい、全日本の後半グループで滑るレベルの選手を打ち負かせるようになりたいという思いで練習しています」と今後への思いも聞かせてくれた。

ここ最近は不振にあえいでいるとはいえ、その持てる素質は素晴らしいものがある。是非もう一度、ひのき舞台で活躍する姿を見せてもらいたいものだ。

「自分でももう一度高いレベルでやれると、信じて頑張っています。来季は一皮むけた姿を皆さんにお見せしたいと思っています」(梶田選手)

その言葉に期待を寄せて、新シーズンを楽しみに待ちたいと思う。重松コーチ、そして彼の指導に信頼を寄せて努力を重ねる、才能溢れる選手たちの姿は、実に頼もしく、今後の躍進に大きな期待を持たせてくれる。

【東京ウォーカー/取材・文=中村康一(Image Works)】

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