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2008.7.9(水)更新
【インタビュー】
阪本順治監督が明かすハードボイルド・アクション
「カメレオン」の魅力は藤原竜也の変貌にあり!
【インタビュー】阪本順治監督が明かすハードボイルド・アクション「カメレオン」の魅力は藤原竜也の変貌にあり!
「カメレオン」を撮りあげた阪本順治監督は「お客さんに楽しんでもらって初めて荷がおりる。たくさんの観客に観てもらえるのが、いちばんの幸せですね」と語ってくれた
【インタビュー】阪本順治監督が明かすハードボイルド・アクション「カメレオン」の魅力は藤原竜也の変貌にあり!
時に冷たく、時に熱くと、カメレオンのように無数の表情を持つ青年、伍郎。詐欺グループを率いて金を稼ぐなか、ある組織による拉致事件を目撃する。それを境に、伍郎の仲間たちが次々と組織の手によって殺されていく
【インタビュー】阪本順治監督が明かすハードボイルド・アクション「カメレオン」の魅力は藤原竜也の変貌にあり!
拉致事件を目撃した伍郎たちを謎の組織が執拗につけ狙う
【インタビュー】阪本順治監督が明かすハードボイルド・アクション「カメレオン」の魅力は藤原竜也の変貌にあり!
アクションシーンでは自ら身体を張って熱演をみせた藤原竜也。階段落ちも「痛そうな顔をしていた」という理由でリテイクを重ねた。「アクションに気を取られて感情が抜け落ちちゃうともったいないでしょう?」とは監督談
【インタビュー】阪本順治監督が明かすハードボイルド・アクション「カメレオン」の魅力は藤原竜也の変貌にあり!
藤原竜也の気迫に満ちた形相も本作の見どころのひとつ。「あのシーンは陽が落ちるまで時間がなくすぐに本番。スタートをかける2分前から息を止めてたみたいなんだけど、みるみるうちに血管が浮き始めて、目が飛び出そうになってね。あれこそが彼が舞台で培ってきた表現力なんだなと思いました。普通あんな表情できませんから」と監督談
(C)2008「カメレオン」製作委員会

【阪本順治監督 プロフィール】
1958年、大阪府生まれ。89年初監督作「どついたるねん」で、第32回ブルーリボン賞優秀作品賞ほか、各映画賞を総なめにし鮮烈なデビューを飾る。以後、コンスタントに作品を撮り続け、「顔」(2000)では、第24回日本アカデミー賞最優秀監督賞、キネマ旬報ベストテンで第1位を獲得する。主な代表作に「トカレフ」(’94)、「新・仁義なき戦い。」(2000)、「KT」「ぼくんち」(2002)、「この世の外へ クラブ進駐軍」(2003)、「亡国のイージス」(2005)、「魂萌え!」(2006)がある。「闇の子供たち」(8月公開予定)が待機中。

【STAFF&CAST】
監督:阪本順治 製作:黒澤満 脚本:丸山昇一 歌:シギ 出演:藤原竜也 水川あさみ 塩谷瞬 豊原功補 萩原聖人 平泉成 浪岡一喜 柄本佑 野貴葵 犬塚弘 谷啓 加藤治子 岸部一徳(2008/東映)97分
■7月5日(土)より、全国東映系にてロードショー
>> 公式サイト
予告編[カメレオン]
藤原竜也インタビュー(3分45秒) [カメレオン]
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「藤原くん映画業界のパーティーで
居心地悪そうにしていたんです」


 裏社会に生きる孤独な青年がすべてを失い復讐を繰り広げる。30年前、故・松田優作のために書かれた丸山昇一の脚本を藤原竜也主演で映画化した「カメレオン」。話題のクライム・アクションの裏話をメガホンをとった阪本順治監督に語ってもらった。

 黒澤満(製作)&丸山昇一(脚本)コンビが手がけた「処刑遊戯」(’79)や「野獣死すべき」(’80)をいち映画ファンとして観ていた阪本順治監督にとってふたりと仕事できるのは大きな喜びだったのだそう。
「憧れていたふたりとともに自分の名前がクレジットされる。プレッシャーよりも一緒にやれる喜びのほうが大きかったです」

 そう語る阪本順治監督は、あえて30年前の脚本の持ち味を生かすべく、設定、キャラクターはほぼそのまま、物言いも当時のまま再現した。
「さすがに携帯電話は登場しますけど、あえて物言いは30年前の脚本に書かれたままにしました。現代風に置き換えることもできたけど、それだと丸山節の良さが失われてしまうし、あえて当時の物言いを今の若い俳優さんに言ってもらうことで逆に新鮮になるんじゃないかなとも思いました」

 最悪な現場を目撃してしまったことから、壮絶な復讐に駆り立てられていく孤独な主人公・伍郎を、舞台で活躍する若手実力派・藤原竜也が圧倒的な存在感を持って演じている。
「たまに映画業界のパーティーとかで見かけたりして、なんだか居心地悪そうにしてるんですよ。もちろん清潔感あふれる好青年なんだけど、舞台を中心に活躍しているからあまり映画業界に馴染んでない感じがして、そこで伍郎と重なったんです。映画にあまり出ていないというのも新鮮で魅力に感じましたね」
「色香を感じる藤原くんの顔を
楽しんで欲しい!」


 クランクイン前に、役のヒントとなる言葉をメモにして藤原竜也に渡したという監督。伍郎については、周りに溶け込んで気配や存在を消したがるカメレオンのような男をイメージしていたというが、撮影序盤は藤原との共同作業の中で役が出来上がっていったのだそう。
「伍郎と仲間たちが暮らしてる廃工場で、伍郎が二階から下りてくると、山村一座の面々が疲れて眠ってるんですけど、山村修次役の犬塚さんがイスから転げ落ちそうになるのをふっと支えるシーンがあるんです。そのあと鼻歌歌いながら二階に戻っていくんですけど、あのシーンを撮っている時に、僕自身魅了されたし、あぁ『これで大丈夫』って感触を掴みましたね」

 そして忘れてならないのは、なんといっても監督お得意のアクション! これでもかと容赦ない格闘系アクションに、カーアクション、手に汗握るシーンが連続しドキドキさせられる。
「観たことあるアクションやっても何も感じないですから。みんなでアイデアを出しあいながら、この世界観だからこそのアクションを散りばめました。カーアクションでは、バックしながら逃げてます(笑)。大事なのは車ではなく伍郎が逃げているってこと。そこにエンジン音や効果音を足したりして迫力を加えてるんだよね」

 そこには、こんな職人技が光っている。
「そのエンジン音もね、車種やエンジンの種類によってちゃんと変えているんですよ。めんどくさいっちゃあめんどくさいんだけど、楽しいよね」

 周囲に溶け込み気配を消すカメレオンのように、藤原竜也の表現力の幅広さをも感じることができる本作。監督が気に入ってるのもそこなんだそう。
「撮影中、藤原くんとよく話していたのは、伍郎のいろんな表情が撮りたいと。そして表情をアップにして変容していく様を強烈に記したいと思っていたんですね。だから冒頭のスローモーションのアップの表情もぐっとくるし、鬼の形相になるシーンも鬼気迫るものがあるし、クライマックスのアクションシーンでふとトイレの鏡に映る表情もいい。確かに演出はしているんだけれども、そこは藤原くん自身の表現力だったり色香なんだよね。そういう部分も楽しんで欲しいです」
「一緒にやればやるほどハードルは
高くなっていくんです」


 「KT」「亡国のイージス」「闇の子供たち」のような社会派な作品から、「ぼくんち」「魂萌え!」のような娯楽作まで、毎回、いろんな作品に挑戦している監督。出演者にインタビューをすれば「心から映画を愛してる監督」と評され、その姿勢に感銘を受ける俳優も少なくない。本作でも加藤治子、岸部一徳、豊原功補ら、以前タッグを組んだ俳優の名が連なっている。
「僕の作品には友情出演ってないんです。よく『気心が知れてやりやすいでしょ?』と聞かれますが、とんでもない! むしろ一緒にやればやるほど相手に求めるハードルは高くなってしまうんです。少しでも気を抜けば『あれ?なんだかこの間より演出ゆるいよねえ?』と言われてしまう。こちらも『この間と同じことをやってもしょうがない。何がやりたいの?』って。お互い問い詰める感じになっていくんです。友情もへったくれもないですよ(笑)。お酒を飲めばケンカにもなるし、言いたいことも言う。まあ、仲がいいからできることなんですけどね」

 お酒が大好きで、映画をこよなく愛する監督。小さい頃から物作りが大好きで、作る過程が想像できないという理由で映画に興味を持ったという。そんな監督が、幼き頃観ていた映画はハッピーエンドが主流だったハリウッド作品。ゆえに、大島渚監督のデビュー作を観た時は衝撃が走ったという。
「大阪から上京して映画監督ってどうやったらなれるのかなって思ってた時に、市民サークルが開催していた映画の上映会で大島渚監督の『愛と希望の街』(’59)を観たんです。で、この話をするとみんな笑うんですけど、 『えっ?映画ってハッピーエンドじゃなくてもいいの?』と。ものすごい衝撃だったんですよ。引き裂かれたまま終わるっていうね。僕にとって『愛と希望の街』は愛も希望もなかったですけど。でも、その後ですね、映画雑誌で監督のインタビュー記事を読んだりするようになったのは。道徳や倫理、正義って一度疑わなきゃいけないってことを、そこから学びました」

 道徳や倫理、正義を疑う、これは最新作「闇の子供たち」にも、通じている。幼児売買というショッキングな題材を淡々と見つめながら、加害者でもある“日本人”に問題を投げかける。使命感が走ったという監督の心意気が伝わる作品になっているので、ぜひ本作とセットでご覧いただきたい。

(取材・文/ライター 大西愛)

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