川崎出身の注目バンド、マカロニえんぴつが約2年半ぶりのフルアルバム「hope」を語る【後編】

横浜ウォーカー

はっとり(Vo.&G.)を中心に、12年川崎市で結成したバンド、マカロニえんぴつ。2ndアルバム「hope」の発売とKT Zepp Yokohamaを含む過去最大規模の全国ツアーを控え、勢いにのる中、はっとりと長谷川大喜(Key.&Cho.)が登場。

写真左から、マカロニえんぴつのはっとり(Vo.&G.)さんと長谷川大喜(Key.&Cho.)さんが登場。

—【前編より】全国ツアーと並行して2ndアルバム「hope」の制作をされていたとのことですが、ツアー先でスタジオに入ってできた曲とは、具体的にどの曲ですか?
はっとり よっちゃん(田辺由明)が曲を書いた「たしかなことは」かな。シンプルですけど、70年代のニューミュージックの匂いがあって。音数が少なくてカラッとしてるんですけど、湿った哀愁もある。こういう曲は今までなかったのでよかったですね。でもさ、ギタリストが作った曲なのにギターの主張がなくて謙虚って。性格がよく出てる(笑)。すばらしいよ。
—逆に長谷川さんが書いた「Mr.ウォーター」ではギターソロがんがんきますよね。
はっとり そこで回収(笑)。
長谷川 逆にね(笑)。
はっとり でも今回、他の曲でも早弾きは結構やっていて。今までそんなにやってなかったから、僕がそそのかして「やれやれ」ってあおったの。よっちゃん「ええ、いいの?」ってとまどってたけど、ギャンギャン弾いてました(笑)。
長谷川 だいぶライブが楽しみだね。今回のツアーはお立ち台を作ろう!
はっとり よっちゃん用のね。「hope」のアウトロもすごく長いんですよ。フェードアウトで終わってますけど、実は、終わったあともずっとよっちゃん弾いてますからね。「俺がいいっていうまで弾き続けろ!」って。
長谷川 そんなストイックなことをやらせていたのか。
—(笑)。そんな「hope」は、ど頭から<13月〜>って、ハッとした曲でした。
はっとり そうですね。ない言葉を探しました。
もともと、デモ音源としてサビ前までできてた曲だったんですが、3時間くらいで、リハして作り切って。
—曲名はアルバムのタイトルでもありますね。
はっとり はじめ曲タイトルは違ったんですけどね。前作「season」のリード曲「ヤングアダルト」で絶望を歌ったこともあって、今回のアルバムタイトルは「hope」がいいなと決めていたんです。それを、この曲になんとなくはめてみたら、すごく合致して。
—先にアルバムタイトルがあったんですね。
はっとり はい。「ヤングアダルト」の裏側にあるうっすら当たっている光の部分、希望を絶妙に表現できたような気がします。<13月>というのも、12月でも1月でもない、終わりでもなければ始まりでもない、希望のあいまいな部分とも通じる。やっぱり、希望って完全には信じきれないものだと思うんです。確かな希望はみんな探している最中だと思うので。そういう迷いや葛藤を、俺なりに、説明しすぎず、曖昧にしすぎず、シンプルな言葉で表現できて、スッと腑に落ちた感じがしました。恋愛ともとれるけど、もっと普遍的な角度からも受け取ってもらいたいなって。「hope」というタイトルでよかったと思います。
長谷川 これ、歌録りが相当早かったよね。過去最速!
はっとり そう。5分とか10分とかで。最近レコーディングの経験も重ねて、テイク1を超えられなって感じていて。もちろん、歌い回しや表現は慣れてくるんですけど、新鮮さや生々しさってテイク1がよかったりするから、あまり多く録らないようにしていて。特にこの曲は荒っぽかったり音がとれてなくても、あまり回数歌っちゃいけない曲だなと思って。ほかにも、賢也の曲で「この度の恥は掻き捨て」なんかは楽器全員がそういうコンセプトで録ってて。なるべく一発で、直しはしないって決めて作った曲だったりするしね。
—なるほど。アルバムを通して、バンドの息遣い、みずみずしさを感じるのは、そういう部分なのかもしれないですね。このアルバムを携えて、過去最大規模の全国ツアーがはじまります。東京公演は6月13日(土)豊洲PIT、そして、ジモト横浜公演は、4月24日(金)オープンしたての「KT Zepp Yokohama」ですね。
はっとり 最近は、横浜のCDショップのバイヤーさんも「川崎発」と認識してくれてて。学生時代は勝手に言ってただけですけど、ここへきてチーム川崎感が出てきたのでがんばります!
長谷川 周りが認めてくれることによって浸透するかな(笑)。
—ちなみに、神奈川のおすすめのスポットとか教えていただけますか。
はっとり 横浜家系ラーメンの大ファンで。「武蔵家」が好きですね。南武線の稲田堤にあります。
—初めて食べた時は、衝撃でした?
はっとり 衝撃でしたよ。横浜家系はラーメンを食べ終わった後にごはんをスープにつけて食べるのが常識で、ごはんとセットなんですよね。冷静に考えたら「ラーメン食べてごはんいくかよ」って(笑)。<ごはんにコチュジャンつけてのりで巻いて、スープをすくって食べる>という。ラーメンより実はそっちのほうが楽しみっていう(笑)。青春とともにある感じです。
長谷川 僕は、横浜駅に「太陽ホエール」って餃子店があるんですけど、コスパがよくて、いつも飲みながら、餃子は全種類いって、水餃子はそのスープで麺を頼めるんですよ。近くに「吉村家」もありますので、もれなくデブになれるコースとしておすすめです(笑)。

2ndフルアルバム「hope」は「王様のブランチ」OPテーマ「レモンパイ」、コンタクトレンズCREO TV CM曲「たしかなことは」なども収録。

山梨県出身のはっとり(Vo.&G.)、新潟県出身の長谷川大喜(Key.&Cho.)、神奈川県出身の田辺由明(G.&Cho.)、東京都出身の高野賢也(B.&Cho.)によるロックバンド。19年、初の全国ツアーが全公演完売。9月発売のミニアルバム「season」がオリコン5位を記録し、同ツアーも全公演完売。20年「hope」を携え、全国ツアーが4月18日(土)より開始。

「hope」2020年4月1日(水)発売

構成・取材・文=古城久美子/撮影=中村力也

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