フランス菓子をベースに創作する洋光台の「パティスリー リュニック」

横浜ウォーカー

落ち着いたシックな佇まい (c)KADOKAWA撮影=奥西淳二

多くの店がひしめき合う横浜市に、注目の新星パティスリーが登場した。それは、2019年11月にオープンした 「Patisserie L’UNIQUE(パティスリー リュニック)」 。JR洋光台駅から約5分の場所にあり、大きなガラス張りの外観が目印だ。

窓際の棚にズラッと焼き菓子が並ぶ (c)KADOKAWA撮影=奥西淳二

店内は木目調で温かみのあるナチュラルなテイストで統一され、暖色の照明と外からの自然光が差し込む心地よい空間が広がる。

オーナーの片桐さんと奥様の二人で主に切り盛りする (c)KADOKAWA撮影=奥西淳二

オーナーを務めるのは、片桐 甫(かたぎり はじめ)さん。東京・千歳烏山「ユウ ササゲ」で2番手であるスーシェフを立ち上げから約3年間担当し、東京・浜田山「ヴォワザン」、西鎌倉「ル・ミリュウ鎌倉山」と、名だたるパティスリーなどで修業をして腕に磨きをかけた。フランス菓子店で学びながらも、自身の店は型にはまらない独自の世界観で多くの人を魅了している。

【写真を見る】ショーケースに並べた時の色合いや艶やかさもこだわりの一つ (c)KADOKAWA撮影=奥西淳二

ケーキを作るにあたって大切にしていることは、1個の量感。「ケーキをすべて食べ終わった時にもう1個食べられそうかも、と思っていただけるようなバランスになるように意識しています」片桐さんが作りだすケーキは、確かな技で素材のポテンシャルを引き出しながらも、絶妙なバランス感を保ち、食べ終わりは幸せな気持ちで満たされる。
店名の「リュニック」とは、フランス語で“唯一”や“かけがえのないもの”という意味。新鋭シェフの技が光る、オリジナリティに富んだ商品はこちら。

味と食感の変化に富んだ「モンテリマール」

宝石のように散りばめられたドライフルーツとナッツが美しい (c)KADOKAWA撮影=奥西淳二

フランスの伝統菓子をケーキに仕立てた 「モンテリマール」(444円) 。上層のハチミツのムースに入っているのは、オレンジ、ドレンチェリー、カレンツ、ピスタチオ。食べる部分によって、さわやかな酸味や甘味、香ばしさなどさまざまな味わいや食感が広がる。優しい甘味のハチミツのムースが単調にならないよう、下層にマスカルポーネのムースを重ねてコクをプラス。
小さな1個のケーキとは思えない味の移り変わりに、最後まで飽きずに堪能できるはずだ。

贅沢感が手みやげにも喜ばれるパウンドケーキ

デコレーションを施したパウンドケーキ(各1,296円)は全3種 (c)KADOKAWA撮影=奥西淳二

ラム酒漬けのドライフルーツが華やかに飾られた 「ケークオフリュイ(右)」 は、焼き上がりにラム酒を打って芳醇な香りをきかせた大人の味わい。その香りに負けないように、生地には黒糖とハチミツを入れてしっとり甘味を打ち出した。
「ケークオショコラ(中央)」 は、ラムレーズン、オレンジピール、アーモンドを生地に入れて表面をダークチョコレートでコーティングしたリッチな味わい。
「ケークオキャラメル(左)」 は、生地にもトッピングにも使ったクルミとピーカンナッツにキャラメルが相まって香ばしく深みがある。
手みやげにはもちろん、自宅用に購入する客も多い人気の商品だ。

バターの風味で勝負した厚焼きクッキー「キャレブルトンヌ」

19年2月に新発売してからリピーターも多い人気商品 (c)KADOKAWA撮影=奥西淳二

フランスの伝統菓子であるガレットブルトンヌを独自にアレンジした 「キャレブルトンヌ」(259円) 。通常丸型なのを四角い形に作って、スタイリッシュな印象にした厚焼きクッキーだ。味の要となるのが、厳選したバター。ヘーゼルナッツに似た香ばしさがある、モンテギューバターというフランスの発酵バターを贅沢に使用。
さらにアクセントで入れた塩が相まって、余韻まで口いっぱいにバターの風味を感じられる。ひと口食べれば、ザクザク、ホロホロ崩れる食感もたまらない!

フランス菓子をベースにしながらも、独自の感性を取り入れた品々は個性が光るものばかりで、これからますます人気が高まっていきそうな予感。
横浜市内に新風を吹き込む気鋭のパティスリーをぜひチェックしてみて。

【取材・文=磯崎 舞/撮影=奥西淳二】

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