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「坂の上の雲ミュージアム」の見どころからお土産の解説まで、おでかけの前に知っておくと便利な情報を徹底レポート!(※記事内で紹介している展示やアトラクション、イベント、施設等は、休止・中止または内容が変更になっている場合があります。ご注意ください)
「坂の上の雲ミュージアム」ってどんなところ?小説をもとにしたまちづくりの拠点
司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』をテーマにした、愛媛県松山市にある博物館「坂の上の雲ミュージアム」。2007年に誕生した同館は、さまざまな展示や催しで、歴史への興味を一層かき立ててくれる。
松山市は、街全体を屋根のない博物館とするフィールドミュージアム構想のもと、回遊性の高い、物語のある街を目指している。その“まちづくりの中核施設”として作られた坂の上の雲ミュージアムについて、同館広報担当者は「『坂の上の雲』の小説には、主人公である松山出身の俳人・正岡子規と軍人の秋山好古・真之兄弟をはじめ、近代国家の形成に大きく関わった人々の人生などが描かれており、現代を生きる私たちに大きな示唆を与えてくれます。本ミュージアムでは、これらをテーマにした展示や催しを行うことで、訪れた方々に歴史を学び、未来への思索を深めていただきたいと願っています」と語る。また、口コミでは「展示ブースが多種多様で見応えがある」「カフェがあってゆっくりできる」との声も。ここでは、そんな同館の見どころを詳しく紹介しよう。
【見どころ1】毎年テーマを刷新!工夫ある企画展
毎年新しいテーマのもと、小説の世界を展示してきた同館の企画展。開館以来、展示テーマは「近代国家制度の形成」「日露戦争と明治のジャーナリズム」「人びとの人生」の三本の柱に沿って設定しており、今は第14回企画展「『坂の上の雲』のひとびと」を2021年2月14日(日)まで開催中。陸羯南(くがかつなん)や東郷平八郎、小村寿太郎など新しい時代の担い手となった人々を紹介している。
作品のファンはもちろん、まだ小説を読んだことがないという人も多数訪れる同館。同広報は、「小説『坂の上の雲』は、『文芸春秋』2003年4月号の“日本を見つめ直す最良の『歴史書』”で第1位に選ばれているように、歴史に興味のある方にとって特別な本になっているようです。また、2006年に一般社団法人中央調査社が行った“読書世論調査”の結果によると、司馬遼太郎氏は40歳以上の方にとって好きな著者第1位となっています」
【見どころ2】建物の設計は「司馬遼太郎記念館」を手掛けた世界的建築家の安藤忠雄
松山城周辺の歴史や文化を意識して考えられた建物も見どころの一つだ。外観は、周囲の自然環境に配慮したものに、内観は、世界的建築家の安藤忠雄氏がイメージする「坂の上の雲」を表現した空間となっているのだ。
この建物は空に向かって5度傾いた壁を持つ地上4階コンクリート造りの逆三角錐。2階から4階には、最も負荷のかかる中間部分の支柱を省いた構造の“空中階段” があるのが面白い。途中に柱がなく、両端のみで支えているのが特徴で、吊り橋のような珍しい階段なのだ。また、各階は一本のスロープで結ばれ、3階から4階につながる壁一面には、1296回にわたって産経新聞夕刊に連載された小説『坂の上の雲』すべての記事が展示されているのでチェックを。
【グルメ】館内にはこだわりスイーツを提供するカフェも!
2階フロアには観覧券なしで利用できる「ライブラリー・ラウンジ」がある。ライブラリーでは、小説『坂の上の雲』はもちろん、明治時代に関する書籍や資料を閲覧でき、ミュージアムカフェも利用可能。国指定重要文化財の純フランス風洋館「萬翠荘(ばんすいそう)」の風景と四季折々の草木が彩る眺望が窓いっぱいに広がる同カフェでは、ゆっくりとくつろぐことができる。
ミュージアムカフェでは、飲み物を砥部焼(とべやき)の器、伊予かすりのコースターで提供し、愛媛の特産品を楽しめる。そして、愛媛県産の栗を使った和三盆ロールケーキと黒蜜、ドリンクをセットにした「オリジナルロールケーキセット」(税込700円、土・日・祝日限定)では、より“ふるさと”を感じることができる。ロールケーキのクリームの中には、そぼろ状にしたペーストと、刻んだ甘露煮の2種類の栗がIN。コーヒー、紅茶、清見タンゴールジュースの中からドリンクを選んで、リッチなケーキとともに癒やしのカフェタイムを堪能しよう。
【お土産】松山のお土産は「坂の上の雲ミュージアム」でGET!
ここでしか手に入らないミュージアムグッズもそろえている同館。3人の主人公のモチーフ付きストラップ(各税込660円)は人気グッズだそうで、同広報いわく「『子規と柿』『好古と馬』『真之と船』といったストラップがあり、小説の世界をかわいらしく表現しています」とのこと。 また、3人の主人公たちのエピソードや、市内の「坂の上の雲」ゆかりの地をイラストで紹介しているクリアファイル(税込210円)も売れ筋アイテムとなっている。
さらにショップでは、作品のタイトルや司馬遼太郎が描いた絵を入れた「司馬遼太郎マグネット」(税込330円)、産経新聞に連載された小説の挿絵を使用した「絵はがき」(税込100円)、安藤忠雄関連の書籍やミュージアムカフェで使用している砥部焼のカップ&ソーサ―も販売。ミュージアムグッズは通信販売も行っているので、併せてこちらも確認してみよう。
【混雑状況・回り方】おすすめの回り方や所要時間は?
観覧の所要時間は1時間ほど。土・日・祝日は混雑する可能性あり。到着したら、まずは建物の外観を見ながら、打ちっぱなしコンクリートの吹き抜けの空間が広がる2階エントランスへ。城山を眺めてゆったりとくつろげるライブラリーへ移動したら、2階から3階へのスロープを登ろう。スロープでは、導入部分として展示されている小説『坂の上の雲』の概要、著者である司馬遼太郎の紹介、主人公の紹介パネルなどを見学することができる。そして、小説『坂の上の雲』の時代背景を詳しく紹介する3階の年表や、松山市有形文化財に指定されている近代遺産の釣島灯台の模型、新聞連載の壁へ。最後に4階へ行き、明治時代に撮影された“松山の風景”の写真や3人の主人公の資料を見学。展示室3の企画展へと回ってみよう。
【料金】中学生以下は無料!割引制度もあり
観覧料金は一般400円、65歳以上・高校生200円。団体料金(20名以上)は一般320円、65歳以上160円、高校生100円。中学生以下と身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の所持者およびその介護人は無料(証明するものを要提示)。割引制度は主に三越カード提示者、JAF会員証提示者、ベネフィット・ステーションの会員証を提示すると適用されるのでチェックしておこう。キャッシュレスも対応可能だ。※すべて税込。
開館時間は午前9時から18時30分(入館は18時まで)。休館日は毎週月曜(休日の場合は開館)となっているが、同館公式サイトには年間休館カレンダーが掲載されているのでこちらも確認しておこう。臨時休館日も記載されている。
【アクセス】電車で行くなら、JRと路面電車で
JR松山駅から路面電車で約10分(伊予鉄道大街道駅下車、徒歩2分)ほど。車では松山自動車道松山ICから約20分。同館には一般来館者用の駐車場を設けていないので、公共交通機関を利用するか、周辺の有料駐車場を利用しよう(車椅子使用者の駐車スペースは5台、利用の際は要連絡)。
ちなみに、坂の上の雲ミュージアム周辺には、標高132メートルの勝山の山頂に佇む松山城をはじめ、秋山兄弟生誕地、萬翠荘など観光スポットが多数ある。松山エリアを訪れた際は、同館公式サイトに掲載されている周辺地図を片手に、歴史や文学に触れながらの散策がおすすめだ。
【新型コロナウイルス感染拡大予防対策】
・館内混雑時は、入館制限などを実施する場合があります。
・咳や発熱などの症状がある場合は、入館をお控えください。
・館内では必ずマスクをご着用の上、ご観覧ください。
・館内は随時、換気・消毒を実施しています。
・手洗いや手指の消毒にご協力ください。
取材・文=平井あゆみ
<施設情報>
住所:愛媛県松山市1番町3-20
アクセス:【電車】伊予鉄道大街道停留場から徒歩2分 【車】松山自動車道松山ICから約20分
営業時間:9:00~18:30(最終入館18:00)
定休日:月曜(休日の場合開館)
駐車場:なし (車いす使用者の駐車スペース5台あり)
料金:観覧料/一般400円、65歳以上・高校生200円。
団体料金(20名以上)/一般320円、65歳以上160円、高校生100円 ※中学生以下無料
※新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。
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※2020年5月時点の情報です。