岐阜県南部に広がる各務原市が、飛行機の街と呼ばれているのをご存知だろうか?1917年に開設された現役では国内最古となる飛行場が活躍し、今も航空・宇宙機器を開発する企業が多く集まる各務原市は、まさに航空ファン憧れの地。そんな市を中心とした岐阜県の航空宇宙産業をPRするため2018年にリニューアルオープンしたのが、国内唯一の本格的な航空と宇宙の専門博物館「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(以下、空宙博:そらはく)」。自由に外出できない今だからこそ、同館がほこる貴重な展示物を見て、大空に想いをはせよう!
「航空エリア」と「宇宙エリア」の2つのエリアに分けられた館内では、貴重な展示物以外にも、旅客機や小型ジェット機のシミュレータ、水ロケットの製作教室など、体験プログラムが楽しめる。今回は、広報の各務さんに「貴重な展示物BEST5」をセレクトしてもらった。最初に各務さんが選んだのは、各務原市で最も多く製造された飛行機「
飛燕(ひえん)
」だ。
戦時中に約3000機が生産された、陸軍 三式戦闘機二型「飛燕」。戦時中に活躍した日本の戦闘機の多くが現存しないなか、ほぼ完全な状態で実機が展示されているのはとても貴重!「飛燕」の設計者である土井武夫氏の貴重な資料と合わせて、当時の日本を支えた航空機の最先端技術が体感できる。
続いて紹介するのは、1922年に各務原飛行場で初飛行を果たした「
陸軍 乙式一型偵察機(サルムソン2A2)
」の実物大模型。航空機産業の街の礎を担った貴重な飛行機だ。
第一次世界大戦末期にフランスのサルムソン社が開発した偵察機「サルムソン2A2」を輸入し、各務原市で初めて製造された「陸軍 乙式一型偵察機」。2枚の翼を支える支柱とプロペラ部分には、当時のものが使用されている。
続いて、初の純国産ロケットエンジン「
LE-7エンジン
」。
約8年かけて開発された「LE-7エンジン」は、初めて日本の技術だけでつくったH-Ⅱロケットのためのエンジン。打ち上げで最初に使用する第1段ロケットでもあり、その複雑なつくりは見るものを圧倒する。
続いて紹介するのは、展示されている実機のなかで1番大きい飛行機、低騒音STOL実験機「
飛鳥
」。
1985年から3年半にわたり、各務原市で飛行実験が繰り返された「飛鳥」。科学技術庁 航空宇宙技術研究所(現在のJAXA)が開発研究し、小さな地方空港でも離着陸できる、低騒音の航空機の技術を得るために開発された実験機だ。この「飛鳥」を記念する施設をつくるという構想が、博物館の開館につながっている。
最後は、T-2高等練習機を改造した研究機「
三菱 T-2 CCV研究機
」。
コンピュータが自動で最適な飛行状態を保つ技術(CCV=Control Configured Vehicle)が導入され、操縦するパイロットの負担を減らしてくれる「三菱 T-2 CCV研究機」。空宙博の公式ガイドブックの表紙や年間パスポートのイラストにも使われ、人気のある機体の1つだ。
2020年5月19日から、一部制限をつけて開館している空宙博だが、現地に行った際にはさまざまなシミュレータにも挑戦して欲しい。なかでも、岐阜県各務原市の上空を飛ぶ気分が味わえる「小型ジェット機シミュレータ」、実機のヘリコプターに乗ってラジコンヘリを操縦する「ヘリコプター操縦体験」、2020年末に地球に帰還するはやぶさ2になりきってミッションをクリアする「はやぶさ2ミッション体験」がおすすめ。入館無料で利用できる「空宙博ミュージアムショップ」や「空宙博カフェ」もある。
※一部観覧・利用制限あり ※2020年6月現在、シミュレーターの利用は停止中
■岐阜かかみがはら航空宇宙博物館
住所:岐阜県各務原市下切町5-1
電話:058-386-8500
時間: 10:00〜17:00、土曜・日曜・祝日〜18:00 (入館は閉館30分前まで)
休み: 第1火曜(祝日の場合翌平日)、年末年始(12月28日〜1月2日)
その他、メンテナンスのため臨時休館する場合があります
料金: 大人税込800円、60歳以上・高校生税込500円、中学生以下無料
駐車場: 600台(無料)
交通アクセス: 東海北陸自動車道・岐阜各務原ICより車で15分
※2020年5月19日より、一部制限をつけて開館。詳しくはHP参照
画像提供=岐阜かかみがはら航空宇宙博物館
※情報は6月12日時点のものです。内容には変動の可能性がありますのでご了承ください。また、施設・店舗の最新の営業状況については公式サイト等をご確認ください。