InstagramやTwitterなど、SNSを中心に話題を集めるミニチュアアート。その作品の中には、実在するアイテムをミニチュア化するものもあれば、独自で描いた世界観をミニチュアアートで表現しているものもある。今回は「ミニチュアアート展」でも話題を集め、投稿する作品に称賛の声が集まるヒナぞーさんをインタビュー。普段はピアノの修復師として働くヒナぞーさんが表現するミニチュアの世界へのこだわりを語ってもらった。
アンティークで温かみのあるヒナぞーさんの世界とは
――ヒナぞーさんのミニチュア作品は、どれも温かみを感じさせますよね。題材選びのポイントはなんですか?
【ヒナぞー】制作のジャンルは特に決めていませんが、実際に見たり触れたりして「作ってみたいな」と思ったものを題材にすることが多いです。特にアンティークや昔のものが好きですね。
【ヒナぞー】また普段は「アトリエ・ピアノピア」でアンティークピアノやオルガンの修復師として働いていていることもあり、実際に私が修復作業したピアノやオルガンなどの楽器をミニチュアにすることも多いです。
――そうなんですね!普段、修復師としてご活躍されているヒナぞーさんがミニチュアを作り始めたきっかけはなんだったんでしょう?
【ヒナぞー】15年前にたまたま見かけたテレビ番組でミニチュアに興味を持ったことが始まりです。当時の私はトラックや大型車両のメカニックとして働いていましたが、普段の生活とは違う小さな小さな世界に魅了されたんですよね。最初は、手探りで12分の1のスケールのミニチュアギターを作りました。
【ヒナぞー】ただ思い返せば、小学生の頃から工作が好きでしたね。プラモデルを作ったり、電気工作や木工などを楽しんでいました。
――これまで制作してきた中で、ご自身が選ぶお気に入りの作品はどれでしょう?
【ヒナぞー】ピアノ工房の作品です。「こんなピアノ修復工房で仕事したいな〜」と思いながら理想の職場をイメージして制作しました。
木を使用した温かみのあるミニチュア作品へのこだわり
――これまで公開してきた作品の中で、最も反響があったのはどの作品ですか?
【ヒナぞー】3年ほど前に制作したミニチュアのバイオリンとクラリネットですね。
――ヒナぞーさんの作品は、どれも温かみやなつかしさを感じさせるなという印象です。ミニチュアを制作するにあたって、工夫している点があれば教えてください。
【ヒナぞー】できるだけ実物に近い素材を使うようにしています。私の作品の場合、木を使うことが多いので、それが懐かしさや温かみに感じるのかもしれませんね。
――なるほど。木を使って制作するのはヒナぞーさんなりのこだわりなのですか?
【ヒナぞー】そうですね。もっと言うと木材の種類にもこだわるようにしていて、作品によって市販の木材を使うか、100年前の楽器に使われていた木材がなどと、木材を使い分けています。自宅のミニチュアアトリエは常に木材だらけです(笑)。
ミニチュアの魅力は「技術と努力次第で自由に表現できること」
――ミニチュア制作の難しさってどんなところでしょうか?
【ヒナぞー】なかなか制作前にイメージした通りには、なかなかならないところですね。実は毎回ボツ作品も多いんです。そこが楽しいところとも言えるんですけどね。
――ヒナぞーさんにとって、ミニチュアの魅力とはなんですか?
【ヒナぞー】とても小さな世界を自分の技術と努力次第で作り込めるところと、好きな世界を自由に表現できるところですね。
――今後の目標や活動予定を教えてください。
【ヒナぞー】これからも皆さまに楽しんでもらえるミニチュアを制作していきたいです。2020年12月に大阪・心斎橋で開催予定の『ミニチュア・アート展2020大阪』に出展します。健康に気をつけてこの時期を乗り切りましょう!
(文・於ありさ)