ゆっくり過ごすおうち時間に、オンラインで気になる陶磁器をチェックしている器好きの人も多いはず。そんな中、銀座 蔦屋書店(中央区)では、6月27日(土)まで同店オンラインショップで「ー銀座 蔦屋書店の陶器市ー」を開催中だ。
これまでさまざまな陶展などが全国で開かれていたが、新型コロナウイルスの影響により、現在も多数の展示・販売会が延期や中止を余儀なくされている。そこで同店では、"おうち時間"を今よりもっと楽しめるアイテムを紹介したいというコンセプトにあわせ、全4ブランド、6名の作家の作品をオンラインショップに掲載。これまで店舗のみで提案されることが多かった日本の工芸作家の作品などをオンラインで取り扱い、実際に購入することができる。
世界8ヶ国16組のデザイナーによる16の現代的な器のコレクションを展開する「2016/」は、有田焼の歴史と技術を継承するグローバルブランド。同店オンラインショップでは、ニューヨークを拠点に活動するレオン・ランスマイヤー、デザイナーの柳原照弘、オランダのデザイナー、カースティ・ヴァン・ノートの3人の作品を紹介している。シンプルで機能的な器の数々は、さまざまなライフスタイルにも自然にマッチするはず。
京都で活躍する陶芸家の加藤美樹は、スポイドに泥を入れて、ケーキのデコレーションのように押し出して盛り絵を描く「イッチン描き」という技法で磁器を制作。 熱帯雨林に生い茂る植物やアンティークレース、大陸から伝わったダマスク紋、ペルシア絨毯の紋様などをデザインに取り入れ、独自のイッチン装飾を展開している。一つ一つ描かれた紋様は思わず引き込まれてしまう美しさだ。
佐賀県有田町で作陶する西隆行は、素材の良さを引き出す感覚に優れ、色彩表現に定評がある若手陶芸家。「SHIZUKUシリーズ」は、グラスやデザートカップから滴り落ちるような釉薬が印象的。他に粉引きや刷毛目、型打ちなどの作品も制作している。
佐賀県の陶磁器ブランド「有田焼窯元 やま平窯」からは、“エッグシェル”と呼ばれる磁器のタンブラーなどを紹介。エッグシェルの原型は、江戸時代から明治にかけて輸出用食器として作られた“卵殻手(らんかくで)”。一度その技術は途絶えてしまったものの、やま平窯では独自の技法によって卵殻手の技術を再現することに成功。厚さ1mm以下という繊細な器ならではの口当たりの良さも魅力だ。
銀座 蔦屋書店は5月29日から営業を再開しているが、今回の陶器市はオンラインショップのみでの開催となる。オンラインショップでは、今回紹介した各ブランドについて企画担当によるおススメポイントも紹介しているので要チェック。作家の個性が光る美しい器の世界、この機会にじっくりと感じてみよう。