学力低下など、さまざまな問題が取り上げられた“ゆとり教育”。その時期に義務教育を受けた“ゆとり世代”の就職活動が2010年度から始まった。今年は不況にあえぐ年となったが、実は来年、2011年度新卒採用の状況がさらに大変だ。企業の採用人数が昨年度よりも減る傾向なのだという。
楽天リサーチと楽天が運営する「みんなの就職活動日記」が、『“人事担当者に聞く”2011年新卒採用に関する調査』を実施。10/9〜13に全国20〜69歳の男女800人の人事担当者を対象にインターネットでアンケートを行った。それによると、実に約3割の人が「採用人数を減らす」方向であることが判明した。
「昨年と比較した新卒採用人数の増減の予定は?」という質問に対する答えの内訳はというと、昨年(2010年度)に比べ「採用人数を増やす」という答えは9.5%に留まり、「横ばい」が43.6%。そして、「減らす」との答えが21.6%にのぼり、さらに「昨年は採用があったが今年は新卒採用を実施しない」という答えが7.4%あり、採用人数を減らすと答えた人がトータルで29%となった。しかも「減らす」という回答者に、その具体的な人数を聞いたところ、「4割以上」という答えが35.8%となり、不況のあおりを真っ向から受ける結果となっている。
しかし、そんな状況を、学生側もただ黙って眺めているわけではない模様。彼らが積極的に動いていることを人事担当者が肌で感じているのだ。というのも、学生の就職活動スタート時期が昨年に比べて「早まる/早まったと思う」が49.8%でトップ。その理由として「エントリー数が増えた」が35.8%、「説明会等イベントの参加者が増えた」が29.8%で上がっている。“ゆとり世代”であっても、就職活動に対する“ゆとり意識”は持てない状況で、学生の意識にも就職難への不安が表れている。
ちなみに、「2010年卒からゆとり世代を感じたか」という質問に対し、人事担当者の5割以上が「感じた」と回答。その理由として、「欠勤の連絡を親がしてくる」「面接時の応答内容で、どのように育ててもらえますか?という質問が多かった」「どこに就職したらいいのか教えてほしい」というような驚きの答えが上がっている。
そのほかにも人事担当者からは「覇気、ハングリー精神がない」「義務は果たさなくても主張だけはする」など、ゆとり世代に対し、手厳しい意見が多い。人事担当者が「人を見るときに気にする点」は、1位から順に「話し方」、「立ち振る舞い」、「表情」となっており、人となりを見ているのは今も昔も同じ。この不況の中、“ゆとり世代”が就職戦線をどう渡り歩くのか、社会に出る前に大きなハードルが現れたようだ。【東京ウォーカー】