従来のイメージを覆す美しさから、近年大きな注目を集めている”廃墟”。朽ちていくなかで生まれる、幻想的な雰囲気に魅了される人が続出しているのだ。そんな廃墟の魅力を引き出すのが、SNSを中心に活動する写真家たち。インスタグラムのフォロワー数が3.2万人を超える写真家の啝(わ)さん(@neji_maki_dori)は「廃墟×星」をメインテーマに、神秘的な写真を撮り続けている。
往復15時間かけて徒歩で撮影に向かった、衝撃的な撮影の裏側
ーー廃墟を撮り始めたきっかけは?
【啝(わ)】2005年に創刊された『ワンダーJAPAN』という雑誌の創刊号の表紙となっていた「志免炭鉱」という廃墟の写真に衝撃を受けたのがきっかけでした。その後は、2015年にオリンパスギャラリーで開催した個展”失われた場所プラニスフィア”を皮切りに、年に1回程度のペースで写真展を開催しています。
ーー啝(わ)さんといえば、廃墟と星の組み合わせが特徴の1つですが、なぜ星を撮ろうと考えたのですか?
【啝(わ)】廃墟を撮り始めて7、8年ほどは無心で全国の廃墟を駆け回っていたのですが、さすがにマンネリを感じ始めて。何か新しい表現ができないかと模索するなかで星景写真というジャンルを知り、廃墟と組み合わせたらおもしろいのではと思ったんです。外観の撮影が主となるので、色々な意味で安全ということも理由の一つです。
ーーこれまで撮った写真のなかで、特にお気に入りのものを教えてください
【啝(わ)】冬の小串鉱山で撮影した星景写真ですかね。小串鉱山は、冬季は豪雪により車道が封鎖されており人を寄せ付けない場所となっているのですが、スノーシューを履いて往復15時間かけて徒歩で撮影に向かいました。体力的にも精神的にもかなり大変だったので特に思い入れがあります。
「廃墟が持つ1%の美しさを探す」
ーー啝(わ)さんにとって、廃墟の魅力とは?
【啝(わ)】廃墟で出会う光景はその99%が汚ない、怖い、取るに足らないものだと思っているのですが、残留物や差し込む光、植物の侵食、腐敗、退廃、破壊といった要素が複雑に絡み合った結果、1%の美しさに出会うことがあるんです。その1%を見つけ出すことの楽しさに魅力を感じています。
ーー今後の目標を教えてください
【啝(わ)】最近ドローンを手に入れたのですが、新たな視点で廃墟を見ることがとても楽しいんですよね。地上からだとあまりおもしろみを感じなかった廃墟でも、空から見ると格好良かったりすることにパラダイムシフトを感じます。撮り慣れた廃墟も含めて再訪などしていきたいです。
啝(わ)さんの作品を見るなら!
そんな啝(わ)さんの作品を直に見られるイベントが名古屋で開催!2020年6⽉27⽇(⼟)から7⽉19⽇(⽇)まで「TODAYS GALLERY STUDIO. NAGOYA」(名古屋市中区)で開催する「変わる廃墟展 2020 in 名古屋」には、啝(わ)さんはじめ数多くの写真家の作品が登場する。
啝(わ)さんに出展作品について聞いてみると、こんな撮影秘話を語ってくれた。
【啝(わ)】天の川と軍艦島の写真は、近くの無人島に上陸してキャンプをしながら夜を待ち、虫の大群と戦いながら撮影しました。運良く大きめの流れ星も写し込むことができたのでその甲斐があったかなと。
この啝(わ)さんイチオシの写真も登場する「変わる廃墟展 2020 in 名古屋」。会場で廃墟の美しさを感じれば、きっとあなたの廃墟に対する概念が変わるはず!
■変わる廃墟展 2020 in 名古屋 / 期間:2020年6⽉27⽇(⼟)〜7⽉19⽇(⽇) / 会場:TODAYS GALLERY STUDIO. NAGOYA / 住所:愛知県名古屋市中区新栄1-17-12 / 電話:03-5809-3917 / 時間:11:00~18:00 / 休み:月曜、火曜 / 料金:600円、3歳以下は入場無料