6月16日、サントリーの2020年サマーワインオンライン説明会が開催された。冬に比べ、気温や湿度が高い夏場はワインの売り上げが落ち込む傾向に。暑い時期こそよりおいしい「氷専用ワイン」や「スパークリングワイン」に力を入れる、同社の夏向け新商品の魅力を紹介しよう。
“氷を入れる”が人気上昇!夏だからこそのワインの楽しみ方
説明会冒頭、国産ブランド部長の木村靖彦さんが「ワイン業界全体の課題として、夏は販売指数が落ちる」と話すように、月別でワインの売上がもっとも落ち込むのが6月から8月にかけての夏季。こうした中、「裏を返せば伸びしろがある」(木村さん)との言葉通り、サントリーは夏向けのワインの商品展開に力を入れている。
今年のサントリーサマーワインの展開の二大キーワードと言えるのが「氷を入れる」と「スパークリング」。日本ではまだまだ馴染みが薄いものの、欧米ではワインに氷を入れるのは一般的な飲み方のひとつとなっている。40代以下の若年層に、氷を入れて飲むタイプのワインを求める志向が高いという同社の調査と、新型コロナウイルスの感染が拡大した3月以降、20~30代のワイン購入者が増加していることから、今年の夏は氷が溶けても味のバランスが崩れない、若者向けのアイスワインの展開を強化している。
また、スパークリングワインも、日常的に手軽に飲めるアルコール度数が低めの新商品を投入した。特別なときに飲むイメージが強いスパークリングワインを、炭酸の爽快感をいかした夏向けの商品としてプッシュ。缶チューハイや缶カクテル、ハイボールなどのRTD商品と同じような感覚で飲めるワインを提案しているのが今年の特徴だ。
和柑橘でさっぱり飲める、スパークリング「雫音(しずね)」
2020年6月30日(火)に発売される「雫音(しずね)」は、和食をはじめ、夏の食事との相性とアルコール度数の低さを重視したスパークリングワイン。フレーバーはすだちとゆずの2種類で展開し、和柑橘の酸味が和食を引き立てる味わいとなっている。
記者がゆずを試飲してみたところ、柑橘系のさわやかな香りとすっきりとした風味が印象的。飲んでいる際は柑橘の風味をしっかりと感じさせながらも後を引くことなく、また炭酸感もしっかりと感じられながら強すぎることもなく、幅広い料理との相性の良さをうかがわせた。
同商品を担当する国産ブランド部の田中香織さんがおすすめするペアリングは、調理にあまり熱を使わない夏らしい軽めの食事。「冷ややっこや、冷や麦といった簡単な食事、また、かつお節や、ミョウガ、小ネギなどの薬味との相性も良いので、そうした食事との食べ合わせを楽しんでいただければ」(田中さん)
小ボトル缶で飲みやすい「カルロ ロッシ ICE スパークリング」
「カルロ ロッシ ICE スパークリング」は、手に取りやすい小さめのボトル缶で、アルコール度数8%とRTD商品と同等の低アルコール。普段はあまりワインを飲まない、20~30代をターゲットにした商品だ。
昨年、ホワイトとロゼの2種が発売された同シリーズから、今年はマスカットフレーバーが登場。ワインらしい甘さとスパークリングの爽快感が飲みやすく、あまり酔いを気にせず飲めることから、日常のお酒のバリエーションにも加えやすいと感じた。ワインは大きな瓶や量がネック、という人でもチャレンジしやすい、280ミリリットル缶という点もポイントだ。
同商品と相性が良いのは軽めの料理。「ベースが白ワインですので、肉であれば鶏肉だったり、基本的にはしっかりした料理よりも軽めのものに合うと思います」(輸入ブランド部・井口直哉さん)
パイナップルのフレーバーがおいしい!「氷と楽しむおいしいワイン。(酸化防止剤無添加)」
商品名通り、氷で割るスタイルを前面に押し出したブランドの夏季限定商品「サンシャインフルーツ」。使用する果汁を昨年のマスカットからオレンジに変更し、パイナップル、グレープフルーツを合わせて、より爽やかでフルーティな味わいに仕上げている。
涼しげな青とトロピカルなイメージの黄色をベースにした、清涼感満載のエチケットが印象的な同商品。軽やかさが魅力の雫音や、カルロ ロッシ ICE スパークリングに対し、こちらはほど良い酸味と甘すぎない味わい、ワイン特有のしっかりとした飲み口が特徴だ。そこにひんやりとした氷の冷たさが加わり、暑い時期でも飲みやすいワインを実現している。複数の果汁を使った奥深いフレーバーで、飲み飽きないのもポイントに感じた。
国産ブランド部の片山智章さんがおすすめするのは、トマトを使った料理との食べ合わせ。「甘すぎない味わいのワインですので、カプレーゼなどと気軽に合わせていただくことができるのではと思います。また、デザートとは非常に相性が良いです」(片山さん)
気軽に飲めるスパークリングを家飲み・外飲みで展開
アイススパークリングワインからは、家飲み・外飲みそれぞれの注目商品が紹介された。サントリーとフレシネが共同開発した「モマンドール<アイスレモン>」は、食中酒として楽しめるよう作られたレモンフレーバーのスパークリングワイン。昨年よりレモンを思わせる風味と果実味で酸味をより引き立たせ、食事との相性を強化。霜のように表面加工したすりガラス瓶で、見た目にも冷たさを感じさせる。
また、外食向けには「フレシネ アイス キュベ エスペシアル」と「フレシネ アイス ロゼ キュベ エスペシアル」をプッシュ。さわやかな王道スパークリングワインのアイススタイル商品で、キュベ エスペシアルはすっきり、ロゼはフルーティな味わいだ。氷を入れるのはもちろん、カクテルに使っても楽しめるのが特徴となっている。
両商品を担当する輸入ブランド部の石崎勇歩さんが、それぞれにぴったりの料理を教えてくれた。「フレシネ アイスはさわやかな甘みが特徴ですので、ソースを使った料理や、エビチリのようなエスニック・ピリ辛料理との非常に相性が良いワインです。モマンドールは酸味が一番の特徴で、すっきりとした味わいのワインとなっておりますので、から揚げなどの揚げ物といった、少し味の濃い料理と一緒に召し上がっていただくといいのではと考えております」(石崎さん)
「作法にとらわれない楽しみ方」をサマーワインで
質疑応答では、記者から「かき氷にかける使い方はありか」「凍らせたカットフルーツを入れる楽しみ方は」など、飲み方のバリエーションに関する質問が多く寄せられた。各担当者もそういった楽しみ方をおすすめしつつ、「ワインには、“堅苦しい”、“作法にとらわれる”という印象をお客様が持っていると感じる。こうした楽しみ方も含めて気軽に召し上がっていただき、皆様の手で広げていただければ」(木村さん)と、固定観念にとらわれない新しいワインの楽しみを強調していた。
夏のイメージが薄いワインだからこそ、飲み方によって、これまで感じたことのないような味わいが楽しめるのは大きなポイント。ワイン好きはもちろん、夏場はビールやハイボールという人も、今年はサマーワインを味わってみてはいかがだろう。