大阪市長の松井一郎は、7月1日、大阪市長定例会見を行い、定額給付金支払いの遅れを謝罪。
さらに新型コロナウイルスにある大阪で今後予想される食中毒についての注意喚起、また小・中学校でのオンライン授業での話題を語った。
松井市長、定額給付金の遅れに「認識が甘かった、反省すべき」
大阪市は6月18日の定例会見で発表していた給付金支払い時期の前倒しについて発表。従来の予定では6月16日までに受領した申請書については8月初旬までに支払うとしていたが、6月末日までに受領したものについては7月中に支払うことが可能となった。しかし、他の政令市と比べて大幅に遅れをとっている市の給付金支給。松井市長は「我々も慣れていなく、作業に対する認識不足だった」と説明している。
世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスによって落ち込んだGDPについて語る松井市長は「現在、世界中で新型コロナのワクチンが成功すれば必ずGDPは取り戻せる」と明言。
「インバウンドが期待できない現在は地方自治体として、いかに事業者に継続できる環境を作るかが使命」だと語り、大阪府が6月から開始している『大阪の人・関西の人 いらっしゃい!』キャンペーンで国内の旅行者を呼びかけている。
テイクアウト・デリバリーの利用増加での食中毒の懸念
過去10年間に発生した食中毒のうち、約半数が6月から9月の間に発生していることを受け、松井市長は食中毒予防の「つけない」「ふやさない」「やっつける」という3原則を徹底してほしいと呼びかけている。
新型コロナウイルスの影響でテイクアウトやデリバリーを始める飲食店が増えている外食産業。調理から食べるまでの時間が長くなりやすく、こういった形態は特に注意することが必要なのだという。
店側には「作り置きをせず、注文を受けてから作る」「購入者には早く食べてもらうよう口頭やシールで伝える」、消費者には「1回で食べ切れる量を購入し、購入後は常温で放置せず、早く食べる」「食べる前に手を洗う」ことを心がけるようにしてもらいたいとしている。
コロナ対策でオンライン授業を試行実施 いじめ対策にも活用か
大阪市では今後想定される新型コロナウイルスの新たな感染拡大が発生した場合に備え7月4日(土)から順次、12の小学校・中学校で、双方向型オンライン授業を試行実施することを発表。試行実施によって明らかとなった課題の整理を行った後に、すべての学校の小学6年生、中学3年生は9月中に、その他の学年は今年度中にオンライン学習の環境を整えていくのだという。
松井市長は「基本的には学校というものは対面指導や生徒同士の共同的を通じて学びが行われていくべきもの」という考えを明らかにしつつも「平時でも児童の身体的な病気により出席停止として取り扱う生徒への学びの補償としての学習も必要」とオンライン学習の準備が重要性を語った。
また松井市長は大阪市の学校でのいじめ問題を挙げて「オンラインで児童のメッセージを学校にも教育委員会にもデータが届くようにするべき」と主張。
「同じクラスにいじめる側、いじめられる側が一緒にいる中ではアンケートをとってもなかなか実態を書けない。オンラインであれば家庭からメッセージを出せるし、保護者にも理解される」と話し、学校・教育委員会に情報が共有されることがいじめ対策になると語った。
松井市長は最後に「(新型コロナウイルスの影響で)前倒しで学びだけでなく、さまざまなものをオンラインで繋げることができる。このオンラインシステムのポテンシャルを十分活用して子供達の教育環境を拡充していきたい」と呼びかけている。
取材・文=さくらいけんたろう