賃貸マンションやカフェでも活用!“屋上菜園”最新事情

東京ウォーカー

今年に入り、土地の少ない街中でも野菜作りが楽しめる“屋上菜園”が注目を集めている。一般貸し出しを行うところ、緑化事業として行うところなど、その理由はさまざま。そんな屋上菜園の最新事情を追った。

一番オーソドックスな屋上菜園は、“レンタル”としての利用だ。「30歳前後のOLを中心に、サラリーマンなどが借りています。ほとんどが表参道の近くに勤めている方たちです。郊外の貸し農園に週末ごとに行くよりも気軽でうれしいと好評です」というのは、会員制屋上菜園「表参道彩園」だ。表参道駅から徒歩5分のビル、フィル・パーク表参道にこの秋オープンしたばかり。個人会員に1区画(3平方メートル)を1万5750円(1か月)で貸し出していて、すでにキャンセル待ちが出るほどの盛況ぶりだという。

JR恵比寿駅に隣接した商業施設「アトレ恵比寿」の屋上庭園、エビスグリーンガーデン内に9月にオープンした貸菜園「ソラドファーム」も同じく、個人会員に1区画(3〜5平方メートル)を4万6500円から(6か月)で、計31区画を貸し出している。恵比寿も表参道も、通勤時に立ち寄りやすい立地、道具の貸し出しや係員による菜園の手入れのサービスなどがあり、忙しいOLでも手ぶらで気軽に参加できるのはうれしい限りだ。

また最近では、屋上菜園を設けた賃貸マンションが登場しているのも面白い。東京都杉並区にある「クルム浜田山」は、1区画約1.5平方メートルと小さいながらも各戸に屋上菜園が付いている。「もともと築20年ほどの物件で、1年ほど前にリノベーションを検討した際、何か付加価値的なものを、と企画しました」と、同物件の企画設計・運営を行うコプラス担当者は話す。入居者は若い夫婦が多く、休日に菜園を楽しみ、居住者同士が知り合う場としても菜園が活躍しているとか。公営などの菜園はキャンセル待ちも多いいので、今後はこのような屋上菜園付き賃貸住宅が増えていくかもしれない。

ほかにも、屋上庭園内に菜園を持つ六本木ヒルズ(東京・六本木)が、収穫した野菜を使ったメニューを販売するという新しい試みに挑戦している。 面積1300平方メートルもある本格的な屋上庭園は、緑化事業の一環として、また制振構造の一部として作られたもの。通常は非公開で、オープン以来、コミュニティー活動の場として六本木ヒルズ在住・在勤の家族を対象にした稲作体験イベントを行っている。今年9月に施設内「トラヤカフェ」にて、収穫量は少ないながらもここで育てた“あきた香り五葉(枝豆)”や“食用ほおずき”と秋田県の産直食材を使った期間限定のランチセットを販売。畑を併設するような土地のない都心部で、正真正銘の“採れたて野菜”がメニューとして楽しめるのだから、今後の取り組みも楽しみだ。

若い女性を中心に人気の屋上菜園。特にレンタル菜園は指導員がいて初心者でも参加しやすいのもユーザーにとってメリットのよう。“農業”をより身近にし、忙しくても通いやすい“都市型”菜園として、また農業ビジネスとして今後もますます発展しそうだ。なかなか空きが出ないのが現状だが、機会があれば、ぜひ一度、体験してみては。【東京ウォーカー】

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