「走り出したら止まらない」を合言葉に、独自のエンタテインメントを繰り広げてきたTHE CONVOY SHOW。1986年に結成し、芝居、歌、ダンス、タップに笑いと感動を乗せ、ノンストップで魅せる2時間の舞台。平均年齢53歳という、かっこいいおっさんたちのエンタメ集団だ。昨年30周年を迎え、新作『1960』で7年ぶりに大阪へ。大人の男6人の変わらぬ熱い舞台に、客席も熱かった。
そんな彼らが、コンボイ史上初となるオーディションで選んだ4人の若手キャストを加え、『asiapan アジァパン』で再び登場する。物語の舞台は、遺跡に囲まれたアジアの街のゲストハウス。そこで出会った日本人旅行者や現地の若者たちの姿を通して、今の生き方を問う作品だ。もちろん、めちゃめちゃかっこいいショウタイムもパワーアップ!
ザ・コンボイショウの主宰者であり、全作品の作・構成・演出すべてを手がけ出演する、今村ねずみが来阪。作品のこと、コンボイのオーディション、今回の舞台への意気込みなどを、しっかり語ってくれた。コンボイスピリッツは永遠に不滅だ。
Q:7年ぶりの大阪での『1960』、いかがでしたか?
「うれしかったですね。ほんとにもう一度こういう形でできてよかったなと。多分、やるって言わなかったら、僕、一生やらなかっただろうなって。でも、お客様もすごく熱くて、大阪のいろんな思い出がよみがえってきて、結構感動しましたよ。自分で言うのもなんですけど、公演終わった後にジーンときたりして。
大阪はラテン系に、すっごい日本人の奥ゆかしさが入ってますね(笑)。いい意味のおせっかいが気持ちいい、大阪の方って。なんでだろ? 『よっしゃ来いや』みたいな感じ(笑)。始まった瞬間から距離感が近くて、人懐っこいっていう感じなのかな。大阪は、お客様に乗せられるみたいなのはありますね。『1960』の時も、すごく距離感が近いって感じた。待っててくれた感が強くて、気持ちの圧が距離を越えて行くみたいな。それでなんかジーンときたんです」
Q:「実はおばあちゃんがファンだったんです」(編集部・松浦)
「びっくりしますよね(笑)。『1960』では、1回ちょっと離れたけど『え、まだやってんの?』みたいな感じで観に来て『やっぱ変わってねぇな』みたいな声を聞いたり。10代や20代の子から『お母さんに観に行けって言われたから来たんですけど』とか聞くと、あ、コンボイショウ、結構長くやってんだなって実感ありますよね(笑)。前回の公演で、しみじみ感じました」
Q:今回は新キャストですね。
「若いキャストが4人出演します。多分、今まで観てくださってる方にはすごく新鮮な感じで受け取られるんじゃないですか? ビジュアル的にも。ましてや年齢が20代ですからね、4人。ウチのメンバーがみんな50歳以上なんで、ほとんど自分の子供に近い方と一緒に、今回の舞台を作るということになっちゃいましたね、結果的に(笑)。
オーディションは今回のためではなく、本当は彼らのために次回作を検討していたんです。でも、どうせコンボイショウやるなら、本体のおっさんたちがいる間に彼らに作品作りの中に入ってきてもらって、自分たちが30年間ぐらいやってきたDNAをじかに体感してもらえたら、と。それを通じて自分たちもいい刺激をもらって、作品に反映していければいいかなと思ったんです」
Q:では、もとは6人のメンバーでやろうと?
「そう思ってました。でも、流れのなかで、あ、もういいや、入れちゃえ、みたいな(笑)。でも、それは結果的に僕にとってはすごくプラスに思ってますけどね。自分がコンボイショウをやり始めたころの年代の方たちですから、彼らも緊張してますし、そのがむしゃらさとか、おじさんにはない(笑)忘れてたような感じがあって。彼らが稽古場にいるだけで、けっこういい刺激になってます。メンバーも彼らなりにいい刺激を受けているみたい。いい感じで今、お互いに弾けあってるって感じ。ま、彼らが初めてだろうが、メンバーが何十年やっていようが、コンボイショウをやるだけ。同じスタートラインに立って、一緒に世界作りができたら。自分ができることは、とことん彼らに伝えて行きたいなと思っています」
Q:この4人を選んだ決め手は?
「コンボイのオーディションは長くて、10時ぐらいから始めて最後は20時近かった。8時間(笑)。最初、振付やってクタクタになるまで踊らせて、歌とコーラスやった後はセリフ。長ゼリフのあとかけ合いやって、面談(笑)。コンボイのオーディションじゃなくて、コンボイの稽古場に遊びに来たと思ってくれと。そうやって長い時間やってると、疲れてきてカッコつけようがないんですよ。長い時間過ごしてると、みんな見えてきますよね。もちろん歌も踊りもすごくできた方がいいけど、最終的にはコンボイの稽古を前向きに楽しめていたか。あとは僕の勘、直感でしたね。こいつとだったら、1か月近く1日8時間の稽古を一緒に乗り越えられそうかなとか、こいつがいたらオモロイなとか(笑)。勘です、人との出会いは。旅の出会いと一緒ですよね。
オーディションは一つの出会いの場。たまたまオーディションに来た彼らと出会った。彼らに会えてよかったなと、幕が下りる時、そう言える自分でいたいですね」
VOL.2(http://news.walkerplus.com/article/101542/)へ続く
演劇ライター・はーこ