【その1】http://news.walkerplus.com/article/102835/ の続き
Q:では、夏木さん自身の魅力は?
「今、模索しているところですけど、究極の目標は、黙ってなにもしないで立ってるだけで感動があるプレイヤーがいいですね。夢ですけど、舞台人であるなら、そういう人でありたいと思う。踊ったり歌ったり演技したり、なるべくそれを削いだところで、立ってるだけで“なんだかステキね”っていうのがいいなと。それを目標にやってますね、志は高い方がいいから」
Q:「身体を鍛えることは、心を鍛えること」と。
「身体と心はつながってますから。身体を鍛えることによって心も鍛えられるし、心を頑張ろうと思ったら、ちょっと動こうという気になるし。それは連動してるなと印象派をやっていて感じたことです。今の私は、全部この20数年の印象派で学習したことだと思う。あれもやりたいこれもやりたいって最初は言ってたんだけど、それを整理していくことも、捨てることも覚えたし、崖から飛び降りることも覚えたし。印象派は私にとって、アクティングスタジオみたいなもんだと思っています」
Q:夏木さんの美意識はどこから?
「例えば着るものに関して言えば”ハズシ”です。それがテーマかもしれない。今日は、一番いいのは靴、それからなんてことないデニムなんだけど、ブランドものです。いいものを着て、前回公演の『印象派』のTシャツを着るとか、ちょっとはずす。あと、楽とか自然な感じ。どこかはずすけど、必ずスポーツテイストかな…。
今、気持ちいい感じで生きてます。舞台をつくる時って、好きなことやってるんだけど、これはこうしなきゃうまくいかないとか、自然に見えてわりと不自然なことをやってるわけですよね。非日常なことをやってるので、日常では普通にいたい感じ」
Q:普通でもカッコイイと思いますが?
「『印象派』があってよかったなと思いますよ、これがなかったら、ほんとにただの年寄りになっちゃう(笑)。今、この『印象派』と3年前から始めたライブハウスツアーと、バラと音楽の支援活動『One of Loveプロジェクト』、この3つが自分発信です。これがちゃんとしていれば、いただく仕事は楽しくできます。私たちの仕事は普通、待ってる仕事なんですけど、せっかちで待てないんです。だから自分でやっちゃったってことなんだけど。
私たちの仕事は、自分の代表作をつくることがすごく幸せじゃないかな。待ってる仕事だと、それはほんとに宝くじに当たるようなもんですから、難しいと思うんですよ。歌も、ヒットするということは時代もあるだろうしね。だけど、自分で発信していけば、失敗もあるけど、やりがい、やってる感がありますね。私は『印象派』と20数年付き合ってきて、大変ですけど、よかったなと思ってます」
Q:その原動力は?
「好奇心ですね。その好奇心は『印象派』によって鍛えられてることがあると思う。私ね、『印象派』を始めた93年ごろ、エジンバラとかアビニヨンとか、海外に行ってたんですよ。海外だと、“ブラボー!”って、すっごく拍手してくれるから、調子に乗って。だけど、その時は、日本で舞台というと商業演劇が普通と思ってたけど、パフォーミングアーツというものが、ヨーロッパの舞台では存在する。それはヨーロッパに行って力付けられたこと、これが普通なんだと。自分のやりたい作品をつくってる人たちがたくさんいて、私がやりたい舞台はこれだって思った時に、すごくすがすがしくなりましたね」
Q:大阪に来た時、必ず行く場所とかありますか?
「酵素浴に行く。時間があればね。酵素浴好きが高じて、東京で私『ボンジュールでこんにちは』っていう米ぬか酵素溶のサロンのお手伝いしてますから(笑)。大阪では天王寺の方にあります。酵素浴でしょ、それからアメ村行って買物するでしょ(笑)。すごく子供みたいなの。古着やデニム見たりとか。あとは、おいしいもん食べる。串カツだったり…すべておいしいわね!」
Q:細いからなに食べてもいいですね。
「ハンバーグとか今、私食べられないんですよ。“ダメですよ、一番太るものは”って、栄養師に止められていて。細くはないんですが、ダンサーはすごく細い、みんなと一緒に並ぶのがヤなぐらい。やせようとは思ってないんだけど、お見苦しくない程度にね(笑)。年を重ねてくると、どうしても余計なところに肉が付いてくるでしょ。食べ物をちょっと制限するとか、運動しなきゃいけないとか、歳をとること自体は悲しくないの。歳をとるにつれて、やることが多くなってくることが大変! ゼロベースに戻すの、大変ですね。その上『印象派』をやろうとするとね」
Q:今回の公演は京都が合いますね。
「みんなに言われます。京都は、主人が京都人で、結婚して京都に本籍があるんです。関西人の気分は半分ぐらいあるんですけど、関西弁はしゃべれない(笑)。京都はご縁があって、清水寺で奉納のパフォーマンスを11月にやらせていただいていて、今年で4回目になるんですね。『印象派』の1部をやらせていただいているので、その本編を京都でやらせていただけることは、私にとってすごく意味があること。それに京都とパリも姉妹都市ということで、ちょっと運命を感じて。3.11の時、私、パリ公演を予定していたんですけど、あきらめたことがあって、それをすごく自分で悔いてるので、今回は行くぞと思ってるんです」
Q:京都はもう、いろんなところに行って…。
「京都は月に1度、2か月に1度ぐらい帰ってますかね。だから、前は観光客みたいに、京都に行ったら帯留めとか狂喜乱舞して買ってたのが、買物がなくなりましたね(笑)。いつでも買えると思ったら、逆にゆっくりしています。今回の京都公演は桜の時期で、すごくいいと思います。平安神宮や美術館とか、劇場の環境がいいですもんね。すごく楽しみにしています、京都公演は特に」
高橋晴代