東海エリアのユニークな取り組みや話題を徹底取材する「街の仕掛け人に直撃!」が東海ウォーカーで連載中。第3回は東京ドーム24個分の広さを誇る、美食と健康の一大リゾート「VISON」に注目。人口わずか1万4000人の町にこのような巨大施設がなぜ誕生したのか?仕掛け人である多気町観光協会 会長 松浦信男さんに、その舞台裏を聞いてみた。
食と健康の町、多気町に同テーマの複合施設が誕生
三重県のほぼ中央に位置する多気町に、日本最大級の商業リゾート施設、VISONが誕生した。同県菰野(こもの)町でリゾート施設を運営するアクアイグニスが中心となり、イオンタウンやロート製薬といった大手企業と、地元自治体、そして三重大学が産学官連携で取り組む一大プロジェクトだ。
そもそも、なぜ多気町にVISONがオープンすることになったのか。
「自然豊かで農業が盛んな多気町では、これまで食と健康による町おこしに力を入れてきました」と松浦さんは振り返る。そのなかでも、地元高校生が運営する「高校生レストラン」は、2011年にテレビドラマ化されたほどの人気だ。
また、多気町は本草学(ほんぞうがく)と呼ばれる漢方治療学の先駆者、野呂元丈(のろげんじょう)の出身地。薬草にちなんだ温浴施設を有する「元丈の館」もある。
「そういった町の魅力や取り組みが注目され、多気町で食と癒しをテーマにした複合施設を作りたいと事業者から声をかけていただきました」。自分たちの活動と近い方向性で、想定よりも大きな規模の提案に初めは驚いたという。
周辺地域と連携して観光の町へと発展を目指す
VISONは全国初認可となるスマートIC直結の民間施設としても話題だ。アクセスがよく便利な一方で、施設を訪れた人にどうやって町へ足を運んでもらうか、という課題に直面する。「近隣の伊勢市や熊野市、松阪市と比較すると、多気町は今まで観光という側面ではずっと奥手でした」。
そこで、まずはさまざまな観光地を視察したという松浦さん。「どの観光地も、地元住民が協力して観光客を受け入れるムードがありました。私たちも、観光地としてのマインドを醸成していかなくてはなりません」。多気町だけでなく周辺の観光協会とも連携し、VISONを含めた滞在型観光を提案していきたいと意欲を見せる。
現在は多気町周辺の観光パンフレットや、コロナ禍でも楽しめる音声ガイドなどを制作中。また、VISONがグランドオープンする7月までには、JR・近鉄松阪駅と、JR多気駅発着の新しいバス路線が開通する予定とのこと。
VISONと共に発展していく周辺地域の今後に期待が膨らむ!
今回の仕掛け人はこの人!
万協製薬 代表取締役社長。多気工業会、多気町商工会の会長も務める。合気道、フィギュア収集、バンド活動など多彩な趣味を持つ一面も。著書に「人に必要とされる会社をつくる」がある。
「VISON」と共に盛り上がる!町の試みを紹介
三重県産食材を使用した行列必至の高校生レストラン
「五桂(ごかつら)池ふるさと村」(三重県多気郡多気町五桂956)内にある、県立相可高校の生徒が運営するレストラン「まごの店」が人気。動物園やBBQ場も併設。VISONから車で8分の距離にあり、気軽に立ち寄れる。
民間施設直結は全国初認可!多気ヴィソンスマートIC
伊勢自動車道の上り線に、全国で初めての民間施設直結型スマートICが開通。伊勢方面から直接VISONへアクセスが可能だ。
多気町周辺の5町と共にスーパーシティ構想を掲げる
今年4月に大台町、明和町、度会町、大紀町、紀北町と共同で「三重広域連携スーパーシティ構想」を提案。国の特区指定を目指している。
スーパーシティ構想とは…AIやビッグデータなどの最先端技術を活用した住みやすい未来都市の実現を、他地域に先駆けて目指すというもの。事業者と地域、国が一体となって取り組む。21年5月以降にスーパーシティ型国家戦略特別区域が指定される。
※新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。