6月10日は「時の記念日」。それに合わせ、ウオッチや電子デバイス事業を展開するセイコーは、2022年も「セイコー時間白書」を発表。青春という貴重な時間をコロナ禍で過ごす、10代の“リアルな胸の内”が明らかになった。
「セイコー時間白書」は、生活者の時間についての意識や実態を探る調査の結果をまとめたもの。本編調査は2022年4月28日から5月1日までの期間、全国の10代から60代の男女1200人(男女各600人/各年代別に男女各100人ずつ/10代は15歳以上)に対して実施した。
3年目のコロナ禍。10代の生活はどうなった?
生活を大きく変化させたコロナ禍も3年目に突入し、ニューノーマルが日常として定着しつつある現在。まずは「時間の意識」について聞くと、「時間に追われている」(全体の66.3%、前年61.8%)、「時間が足りない」(全体の57.2%、前年55.1%)と感じる人が増加傾向にあることが分かった。昨今、日常生活の一部が徐々にコロナ前の形に戻ってきているが、この結果がそれを裏付けているのかもしれない。
また同調査では、学校行事・新入社員研修の中止や、友達作り・サークル活動の機会の減少など、さまざまなコロナショックに直面する今の10代についてもリサーチ。時間意識の側面から彼らのリアルを探った。
そこで彼らに「時間の使い方」を聞くと、多くが「モノゴトを始める前に目安の時間を計算して行動する」(62.5%)、「何事も効率的に進められるよう工夫する」(61.5%)と回答。
10代は全体に比べ、「時間が制限された方が頑張れる」(62.5%、全体48.3% +14.3pt)、「やることがない時間ができると不安になる」(45.0%、全体30.1% +14.9pt)、「せわしなくさまざまなことに追われることは楽しい」(43.0%、全体24.8% +18.3pt)という回答も多かった。時間の制限があることや、時間に追われることが10代の原動力となっているようだ。
そんな10代にとって、行動が制限され、時間が止まったかのようなコロナ禍は過酷な状況と言えるが、「コロナ禍で“自分自身を考える”時間」について聞くと、10代の54.0%が「増えた」と回答。その時間が「ポジティブな影響をもたらした」と考える10代も多く(36.0%>全体24.8%。いずれも20~60代より多い)、つらい環境の中、自分や時間について真剣に向き合っている様子が垣間見られた。
さらに「SNSネイティブ」とも言われ、1日のほとんどの時間を誰かと繋がって過ごしてきた10代の多くは、「1人は寂しい」「孤独」と考えつつも、「1人時間を謳歌したい」という、相反する気持ちも抱えていることが判明した。
SNS世代の特徴とは?人間関係の作り方に変化
これらの調査結果について、10〜20代のZ世代を研究する「SHIBUYA109 lab.」所長の長田麻衣氏に話を聞くと、「今の10代は周りとの調和を大切にしながらも、“個”を伸ばす世代」との見解をコメント。
「もともとSNSで常に人や社会とつながるのが当たり前の世代で、周りの人から『自分がどう見られているか?』を強く意識している傾向もありますが、このコロナ禍で人間関係の作り方や時間の過ごし方にも少しずつ変化があり、最近では本当に気持ちの通じ合う人と深い付き合いをし、素の自分を素直に表現できる安全圏コミュニティーを志向する傾向が見られるようになりました。そのため以前よりも周りの目を気にし過ぎず、少しずつですが自分の個性を伸ばしたり、自己表現ができるようになってきています。コロナで自分自身に使える時間が増えたこともあったのか、スキンケアなどの自分磨きや英語の勉強に取り組むなど、好きなことや興味のあること・スキルを伸ばすことに関心が向き、『個』を磨く傾向があるとも感じています」と説明してくれた。
また、10代は他世代より多くコロナ禍でも「心を動かす時間を能動的に作っている」世代。この調査結果を受け、「(感動できるイベントに参加しづらいなか)前向きなクリエーティブ力を感じる」と長田氏。
多くの10代が「将来のビジョンがある」と述べるなど、“自分と社会の未来”双方を見つめている10代だが、「多様性に深い理解のある世代だからこそ、固定観念でくくられたくない、1人1人を『個』として見てほしい、そんな思いを抱く人が増えている」と解説を加え、「新時代を生み出す彼らがどんな時間を過ごし、どんな未来を見せてくれるのか。これからも注目していきたい」と期待を寄せた。