「洋食屋 ふじ家」は、昭和10年に創業した、大阪を代表する洋食の老舗の一軒。「昔は地元の人たちが集う食堂で、洋食のほかにも、いろいろやっていたんです」と語るのは、今も厨房に立つ3代目店主・藤原千也さん。店は代替わりで息子の哲也さんに譲り、2003年に「Fujiya1935」としてリニューアル。その後、「洋食屋 ふじ家」は常連客からの熱い要望により2年後に復活。近くの地下の小さなスペースで店を再開させ、6年前に現在の場所に移転した。<※情報は関西ウォーカー(2017年5月23日発売号)より>
一度は引退するも復活をとげた今も変わらない3代目の味
「ハンバーグ定食」(奥・1200円)。佐賀牛と国産豚、8対2の比率のハンバーグは肉々しく、旨味が濃厚。盛り付けなどが少し異なるほかは夜と同じ。夜のメニューに比べお得。「本日のランチ」(手前・850円)。日替りでさまざまな味が楽しめる、一番人気の定食。写真はエビフライと和風ダレベースの豚のしょうが焼き。月曜~金曜のみ。
ホテル流の繊細な味わいと細かな気配りが愛される秘密
洋食店としての歴史は古いが、現在の「ふじ家」のテイストは、千也さんによる功績が大きい。先代を手伝い店で働き始めたのが29歳のころからだが、それまで「ホテル阪神」などで磨いてきた手法を徐々に加えたという。「ドミグラスソースのレシピは昔から変えていませんが、ディナーの盛り付け方や添える温野菜、あっさりと上品な味付けなどはホテルを意識したと思います」。
【こだわりのドミグラス】じっくりと2週間かけ繊細な風味に。牛骨や鶏ガラ、香味野菜など基本的な素材をベースに、2週間かけ丁寧に仕込む。旨味は深く、あと味はキレよくすっきりと。
千也さんのオリジナルに、近江牛のテリヤキなど、和風ダレを使ったメニューがある。「当時店ですき焼きを出していたんですが、コースや宴会での提供が多かったので、普段使いでも味わってほしいと思って作りました」。醤油をベースに9種類の調味料で作るタレは、すき焼きの割り下のような甘辛さが親しみやすく、いつしか名物に。和風ダレを使う人気メニューの一つ、野菜炒めもタレの味を気軽に、近隣の会社員たちに栄養バランスのよい食事をとってほしいという、千也さんの心遣いから生まれたものだ。
「近江牛のテリヤキ」(3800円)。甘辛い和風ダレが絡まるヒレはご飯と相性抜群。野菜炒めも添えられ満足度高し。
「野菜炒め定食」(1100円)は、再開時に常連客からの「また食べたい」という声が多かった愛されメニュー。
ミシュランのビブグルマンに!さらに進化を続ける
以来約40年余。ホテルを思わせる洗練された味わいと、お客さん視点のアットホームな雰囲気を兼ね備えた名店は、昨年ミシュランのビブグルマンに取り上げられたことで、さらなる高みへ。昼のお得なランチはもちろん、ディナーでは月替り10品で3800円とお値打ちすぎるコースで好評を得るほか、イタリアン出身の娘婿の林さんが手がけるパスタなどもそろい、使い方はより多彩に。懐の深い洋食店として進化を続けている。
上品かつ暖色系で統一された、ぬくもりある空間。天井も高く開放感あり。
■洋食屋 ふじ家<住所:大阪市中央区鎗屋町2-2-1 電話:06-6941-7283 時間:11:30~14:00(LO)、18:00~21:00(LO) 休み:日曜、祝日 席数:18席 交通:地下鉄谷町四丁目駅より徒歩6分>【関西ウォーカー編集部】
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