5月27日に大阪・布施ラインシネマ(大阪府東大阪市)で映画『キセキの葉書』の完成披露上映会が行われた。舞台挨拶にはジャッキー・ウー監督、主演の鈴木紗理奈さんをはじめとした出演陣、そして原作者の脇谷みどりさんが登壇した。
「キセキの葉書」は阪神淡路大震災から半年、兵庫県西宮市を舞台に難病の娘と認知症とうつ病を併発する母に挟まれながらもひたむきに生きる女性を描いた実話をもとにしたストーリー。原作は「希望のスイッチは、くすっ」(鳳書院)という本で、著者の脇谷みどりさんが遠方に暮らす母親のために書き続けた絵葉書をもとに構成されている。
今回の映画化で主人公を演じるのは、テレビのバラエティー番組に出演しつつ、レゲエ・アーティストとしても活躍する鈴木紗理奈さん。映画初主演ながらも、テレビで見せるような明るいキャラクターとは違う如何なる試練にもめげずに希望に向かい続ける強い女性を演じた。
監督のジャッキー・ウーさんは「プロデューサーから話を聞いたときこの作品は自分が撮るしかないと思った。原作も素晴らしく、キャスティングにも恵まれていた。主演の鈴木紗理奈さんには間を遊んだり、間を自分のものにするという主役にしかできない時間の使い方というのを話したが、すぐに理解してくれた」と称賛。
主演を務めた鈴木さんは「脚本を貰ったときは苦労をされたのだなという印象を持っていたが実際に脇谷さんとお会いすると明るくて前向きな方だった。苦労があることをそう思わずに真正面から向かうと必ず幸せなことがいっぱいあるという脇谷さんの人生の答えを学び、綺麗な気持ちで撮影に臨んだ。この作品をきっかけに新たに芝居をしてみたいという夢をもっている」と女優への意欲をみせた。
脇谷さんは「映画になるとたくさんの人の協力と、ものすごい情熱の持続がひとつの作品を完成させるのだと知った。観ているうちに段々、紗理奈さんの物語として観るようになり感動していた」と語った。また、そこに映画にも特別出演されている雪村いづみさんが壇上に上がり脇谷さんへ感謝の言葉と花束を贈呈する一幕も。
最後に鈴木さんは「劇中にある、気持ち以外で人を助けることができるのかという台詞のように気持ちを込めれば伝わるようにと挑んだ。一人でも多くの人に力になる作品になるように」と呼びかけた。ジャッキー・ウー監督は「人は奇跡を願い、そして叶うと喜んだりするものだが、奇跡は叶うのではなく叶えなければいけない時や、奇跡を叶える使命を持っている人がいる。この映画を通して少しでも伝われば」と締めくくった。
【関西ウォーカー編集部/ライター桜井 賢太郎】
桜井 賢太郎