ドリフト競技の国内最高峰「D1グランプリ」の第3戦「TSUKUBA DRIFT」の決勝が、茨城県・筑波サーキットで行われ、川畑真人が今季初優勝を飾った。川畑がD1グランプリシリーズを優勝したのは2015年の筑波戦以来2年ぶり。2位には斎藤大悟、3位に末永正雄。
この日の筑波サーキットは、前日の好天とはうってかわり、朝は雨模様。しかし朝8時の開門前から多くの方が入場待機列で待つなど、熱戦を期待する人で賑わっていた。
練習走行が開始する頃には、雨が上がり路面はウェットからセミウェット、そしてドライへと刻々と変わっていった。
午前中に行われた追走トーナメントの順位を決める「単走決勝」では、ホンダS2000を駆る日比野哲也が100点超えの好記録を獲得。2日前にできあがったばりのマシンでありながら、切れ味の鋭いドリフトで観客を沸かせた。単走優勝した日比野は「もちろん勝つつもりで走っていますが、出来上がったばかりなので、攻め込むというより、乗りやすいことを目指してセットアップしていただけに、100点を超えた事を知った瞬間は、本当に驚きました!」と驚きを隠せない様子。そして待望のニューマシンについては「去年、一昨年とはレース車両を借りて参戦し、自分がやりたいことを我慢していた。特に去年はトラブルで走れない時があって、すごくストレスを感じていた。それに川畑さん、斎藤さんといったトップ勢の中に食い込めるクルマを作りたいと思っていた。みんなの前で走って恥ずかしくないクルマに早く仕上げたい」と語った。
午後から優勝を決める追走トーナメントが開催。単走優勝の日比野は初戦で敗退してしまったものの、昨年7戦5勝でシリーズチャンピオンを獲得した斎藤大悟の新型車「コルベット」が、4月に行われた開幕戦・第2戦での不発が嘘のような強さで観客を魅了。ノンターボV8エンジンの咆哮と、軽量シャーシから生まれる異次元ともいうべき切れ味するどい走りで、危なげなく並居る競合を撃破。決勝へとコマを進め、強い斎藤が定位置へと戻ってきた。
その斎藤と昨年激戦を繰り広げた川畑真人も、2017年式NISSAN GT-Rも他を寄せ付けない速さでコマを進めていく。そして準決勝には、同門で川畑が昨年使っていたGT-Rを駆る末永正雄の対決が実現。末永は前戦では決勝ラウンドに出られなかっただけに、いいところを魅せたいところ。訪れた観客は、GT-R同士、そしてTeam TOYO TYRE DRIFT同士という夢のカードに期待が高まった。「好きにしていい」というチーム監督からの指示に対し川畑は末永に無線を通じて「互いにぶつけるなどのミスはしないようにしよう」と声をかけてバトル開始。しかし末永にミスが出て、川畑が勝利した。末永は「1年休んでからの復帰にも関わらず、開幕戦を落として本当に申し訳ないと思っていた。クルマが35GT-Rということもあり、コースとのマッチングが良いと思っていた。しかし川畑さんとの準決勝ではミスをしてしまい……」と苦笑いながらも、3位獲得に喜びの表情を浮かべた。
決勝は川畑対斎藤。昨年の筑波戦では川畑が斎藤を引き離すべく、驚異的な速度でコーナー侵入をするものの曲がりきれずにコースアウト。悔しさ涙を流しながら「一から出直します」と誓ったコース。ここで川畑は速さと危なげのない走りで、切れ味するどい斎藤のコルベットを封じて優勝を飾った。
川畑は「お台場からかなり期間が空いているにも関わらず、準備があまりできなかった。木曜日から筑波サーキットでテストをして、足回りの仕様変更を繰り返した。それが上手く行ったと思う。早く結果を出したかったので、とてもうれしい」と勝利の喜びを語った。またニューマシンについては「昨年の早い段階から、軽量化や扱いやすさなどを考慮した武器が必要だと感じていた。今回、昨年のライバルである斎藤選手に勝利できて嬉しい。しかし次戦に向けて開発を詰めていく」と語った。
いっぽうの斎藤は「開幕戦と二戦目で落としていたので、早くシーズンに入りたいと思って準備をしてきた。調子が良かったので、上手く行けば決勝に行けると思っていた。今回はこの結果で良かったと思う」と話した。そして「昨年のクルマは、他の人が思うほどのアドバンテージはあったわけではなかった。次のステップに行きたいということで、今年コルベットを作った。この筑波では相性がよくなかったが、このコース以外では軽さが有利に働くと思う」と、手応えと抱負を語った。
次戦は7月22日(土)・23日(日)に大阪・舞洲で開催。2年ぶりの大阪開催に対して川畑は「地元大阪での参戦を楽しみにしている。シリーズランキング1位をキープして、笑って帰りたい」と抱負を述べた。
ニューマシンが活躍するなど、ますます楽しくなってきた今年のD1グランプリ。7月の大阪大会はもちろんのこと、8月のエビス、10月のお台場最終戦と目が離せない! モンスターマシンの咆哮とタイヤスモークによる迫力のドリフトバトルを会場で体験してみてはいかが。【ウォーカープラス編集部】