政府は、男性の育休取得率を「2025年度に50%、2030年度に85%にする」と表明し、高い目標を掲げた。C Channel株式会社が運営するママ向け動画メディア「mamatas(以下、ママタス)」では、ママである女性たち約2400人へ「男性育休」についてどんなイメージを持っているのか、育休取得の障害は何か、また実際に男性育休を取得した家庭の満足度などについてアンケート実施。すると、男性育休取得率上昇のための課題が見えてきた。
アンケートでは大多数のママが男性育休に賛成!一方で希望と現実の乖離が見られる結果も
男性育休について「賛成!」のママは91.4%と圧倒的。「母だけが子育てするのはもう時代遅れ」「2人の子だから」という至極真っ当な意見から、「一番大変な時期にパートナーがいてくれることほど心強いことはない」「子どもの成長を一緒に見たい」という声のほか、「今パパが育休中で、とっても助かってます!」という経験者の声もあった。一方、反対派からは「役に立たない」「旦那の世話まで増える」という厳しい意見が…。
男性育休についてほとんどのママが賛成としつつも、「いま子どもができたらあなたのパートナーは育休を取ると思う?」という質問に対しては、「取りたがると思う」と答えたのは32.2%。「躊躇すると思う」40.8%、「取りたくないと思う」27.0%と、現実的には育休取得が厳しい状況がうかがえる回答が集まった。男性育休取得についてネガティブに感じる理由をあげてもらうと、「給料が下がる」「ボーナスが下がる」と収入面を気にする声と、「管理職なので実際は取れなそう」「会社に迷惑がかかる」「キャリアに響く」「周りが育休を取っていない」と職場環境を上げる人が多数いた。
「パパが育休取るならどれくらい取ってほしい?」という質問に対しては、「1ヶ月以内」でよいママと「2ヶ月以上」を希望するママがちょうど半数ずつ。フリー回答では「半年」「1年」という声も少なくなかったようだ。「産後落ち着くまで」「100日を迎えるまではせめて」「長ければ長いほど」という声がある一方、「検診や予防接種など、要所要所で取ってくれたら助かる」「2〜3ヶ月は毎日定時退社&休日出勤なし」「ずっと家にいなくてもいいから時短勤務で家にいる時間を長くしてほしい」と、まずは夫の働き方改革が必要そうな回答が寄せられた。
「あなたのパートナーは育休取った?」という質問には79.1%が「取ってない」と回答。男性育休に「賛成」のママは9割、でもパートナーが「取りたがると思う」と答えたママは3割、そして実際に取ったのは20.9%とさらに数字が下がった結果に。取らなかった理由は、「職場の人手不足で取れません」「職場に迷惑をかける」「仕事が終わらない」「上司が怖い」「そういう制度も前例もないと会社に断られた」と職場の環境を理由にした回答が多く見られた。逆に、取った人も「育休制度が始まったから」「会社が育休取得を推奨していたため」と、会社の環境により、育休取得が可能になったという回答が見られた。
男性育休を取った家庭のママの66.2%が「取ってよかった」と回答。男性育休に賛成のママは9割なのに対し、満足度はそこそこの結果となった。「一緒に子どもを育てられて、愛情や絆が深まった」「本当に動けなかったから、家事育児全部助けてもらえた」「夫の家事スキルが上がった」と喜びの声が上がる一方、「ただの夫の休日だった」「家にいても家事育児をやらないなら邪魔になるだけ」と男性育休中のパパの家事&育児の向き合い方に不満を募らせたママもいたようだ。
育休期間は「1年」というパパがいる一方、「1週間以内」33.6%、「1ヶ月以内」40.3%と大半はママたちの希望よりも短めの結果。1ヶ月以内には「10日間」や「2週間」も含まれているため、目で見える結果よりも実質は短い人が多い印象だ。
男性育休取得上昇は働き方の改革だけではなく、パパ自身の意識も重要!
今回の「ママタス」の調査には、Instagramのストーリーを利用している。フリー回答に寄せられた意見を紹介したい。
男性育休について
・すぐに成長してしまう一瞬を一緒に分かち合えるから。
・子どもの成長を一緒に見たい!新生児期の大変さを男性にもわかってほしい!!!
・産後の感謝はずっと続くと思う!あと一緒に親としてスタートして足並みを揃えることは大事。
・本当に育児のために取ってくれる人ならいいけど、そうじゃない男性は絶対いると思う。
・家事ができる旦那なら賛成。できない旦那ならじゃまなだけ。
・ボーナスが減らないなら絶対に取りたい(取ってほしい)
・大きい会社ならいいと思います。でも小さい会社は休まれちゃうと潰れると思うので、生活ができなくなる。
あなたのパートナーは取ると思う?
・会社で最近取る人が増えてきた。
・取れる制度はあるが、周りから「取ると出世できなくなる」と言われているため、取らない。
・仕事的に短期間休むのは無理がある。
・人員不足で休めない。
・会社が育休取得率をアピールしたいがための、1週間の育休…しかも生後11ヶ月で。意味あるのかな?
・何もできないパパに育休取られても…
パパが育休を取った人の声
・ほぼほぼ家事をやってくれました!
・すべてを任せられるし、心の負担が大きく減った!
・上の子の保育園や身の回りの家事を行なってくれた
・産後の不安定な気持ちや、夜中の授乳などを代わってもらえてよかった。大変さを少しわかってもらえた。
・一緒に育児ができた思い出になったし、成長が見られた。
・ただの夫の休日だった
・結局仕事で呼ばれて家にいない。家にいても行動とか見ててイライラしちゃったので(育休いらない)
・自分の勉強をしていて使い物にならなかった
・休んでいるのに、結局ほとんど仕事をして育児してなかった
アンケートの結果を見ると、男性育休の取得率を上げるためには、金銭的なフォローと職場環境の改善が求められる。2023年3月に、男性の育休取得促進に向け、育休中の給付金について「産後の一定期間に男女で育休を取得した場合、給付率を手取り10割に引き上げる」と岸田首相が表明したことを受け、金銭的フォローは今後なされる見込みではあるが、各職場の人員確保の点では課題が残る。そして、何よりも大事なのは育休取得でパパ自身が何をするつもりでいるかということ。あくまでも育休は育児のための時間。仕事をしたり、勉強をしたりして、子育てや家事に関わらずに“ただ家にいるだけ”の存在になってしまってはまったく意味がない。社会と個人のそれぞれの意識変化・改革が重要と言える。
文=西連寺くらら