新型コロナ流行前より「在宅時間が増えた」人は3割以上。何をする時間が増えた?

東京ウォーカー(全国版)

LifeTimeTechLabo合同会社が、2023年前半と新型コロナウイルス感染症流行前(~2019年まで)の在宅時間・外出頻度の変化に関するインターネット調査を実施。新型コロナ流行前より、在宅時間が増えたとの回答割合は「31.4%」で、減ったとの回答割合を20%以上、上回る結果となった。増加した在宅時間は、どのように過ごしているのだろうか。

インターネットの利用が増加

在宅時間のなかで増えたとの回答割合の多かった項目が「インターネット配信動画の視聴(35.8%)」。ほかの項目に10ポイント以上の差をつけて高く、続いて「動画・SNS以外のインターネット利用(25.5%)」「(在宅の)仕事(25.4%)」となっている。

また、自身の生活にあてはまらない(「該当しない」)との回答を分母から除外し、「増えた(大きく増えた・増えた・やや増えた)」というプラス方向の回答割合から、「減った(大きく減った・減った・やや減った)」というマイナス方向の回答割合を差し引くと、「インターネット配信動画の視聴」「動画・SNS以外のインターネット利用」の上位2つは変わらないものの、「SNSの利用」が3番目に入り、増加した在宅時間の多くをインターネット利用時間にあてている姿が浮き彫りになっている。

「在宅時間」の実感比較


在宅時間が増えた割合は、20代後半~30代・60代前半の女性が高い

在宅時間が増えたとの回答割合で最も多いのは、「女性-20代後半(39.5%)」で、続いて「女性-30代(38.5%)」「女性-60代前半(37.8%)」と、女性のほうが在宅時間が増加したとの回答がやや多い傾向になっている。一方で「女性-40代」「女性-50代」は増えたとの回答割合が「男性-同年代」を下回っており、単に性別による傾向の違いではなく、女性・男性それぞれの年代において異なる傾向が現れた。

【画像】性・年代別「在宅時間全体」の実感比較


同様にプラス方向の回答割合が最も高かった「インターネット配信動画の視聴」の性・年代別の割合を見てみよう。

性・年代別「インターネット配信動画の視聴」の割合

プラス(増えた)方向の割合では、高いほうから順に「女性-20代後半(51.2%)」「女性-30代(43.8%)」「女性-40代(40.0%)」と在宅時間全体よりも「女性-若年世代」で高くなる傾向にあり、特に「女性-20代後半」では他年代より「大きく増えた」の割合もかなり高くなっていた。他方「男性」では、どの年代でもプラス方向の割合が「30%前後」と、あまり年代による違いがない結果となっている。

この「在宅時間」に関する設問の結果からは、3年以上にわたった新型コロナ流行下のいわゆる“巣ごもり”は、リオープンが進むなかの生活においても(少なくとも実感レベルでは)一定以上の人に、当たり前の生活として定着している状況がうかがえるものとなっていた。

また、その傾向は女性と男性の年代ごとに異なった様相を見せており、同社では、おそらくは新型コロナ流行直前の「ライフステージ」や「ワークスタイル」などが、いまだ色濃く反映しているものと推測。今後しばらくの間は性別・年代ごとの消費動向に大きな違いを生む可能性もありうると見ている。

加えて、コロナ禍で加速した“withインターネット”の時間の増加は、リオープン後も特に女性の若年世代ほど、強く持続している傾向となっており(しばらくは一時的に、消費の関心が“家外”に向かうことがあっても)、今後のマーケットの中心は着実にネット時間の消費に向かっていくことを示唆していると言えそうだ。

外出頻度が最も減ったのは?

外出頻度について、減ったとの回答割合が多かった項目は「(飲み会など)仕事関連のコミュニケーション機会(47.1%)」「友人・知人とのお出かけ(42.6%)」「海外旅行(37.8%)」などとなっている。

また、マイナス方向からプラス方向を差し引いた割合でも、この上位3つは同じで「家族以外との外出」などは総じて回復が鈍いことを示す結果となっていた。

「外出頻度」の実感比較


これから(今年後半~来年)の「外出頻度」どうしたい?

外出頻度について、これから増やしたいとの回答が多かった項目は、順に「泊まりの旅行(国内)(40.7%)」「日帰り旅行(国内)(37.7%)」「恋人・配偶者・パートナーとのデート(32.1%)」などとなっている。なお、プラス方向からマイナス方向を差し引いた割合でも上位は同じとなっていた。

逆にマイナス方向の合計割合が高くなっているのは、「(飲み会など)仕事関連のコミュニケーション機会(18.4%)」「職場(学校)へ行く(16.6%)」の順で、この2項目のみ、プラス方向よりマイナス方向の割合が高くなっていた(特に「職場(学校)へ行く」にその傾向が著しい)。

「国内旅行」や「友人・知人とのお出かけ」などは今後の意向が強く、さらなる回復も期待できる一方で、「仕事関連」目的の外出は今後の意向低下が際立っており、この調査でもビジネス客をターゲットとするカフェや居酒屋などの厳しいビジネス環境継続を裏付けるものとなっていた。

「外出頻度」に関する意向


【調査概要】
「在宅時間・外出頻度の変化に関する意識調査」
調査方法:インターネット調査
調査期間:2023年8月1日~2日
調査対象者:25歳~64歳男女(アイブリッジ(株)「Freeasy提携パネル」利用)
有効回答数:1000サンプル(性年代別に均等割付)
設問数:3問

今回の調査について、担当者に話を聞いてみた。

「(今回の調査の意図は?)当社は時間的価値の創出支援にこだわったビジネスを展開しております。今回の調査では“時間の消費”に着目し、一般生活者の時間が新型コロナ流行を経て、どのような変化を起こしたのか?リオープン後の今年と、新型コロナ流行前の“(生活者の)実感”を比較することで、これからのマーケット動向の一端を『生活者のインサイト(感じ方)』から探ってみようとする試みの一環です。調査の結果をクライアント企業のマーケティング戦略支援、自社の新規サービス開発などの戦略(企画)検討の参考素材としての活用を視野に入れて実施しております」

「(今回の調査結果の注目ポイントは?)まず在宅時間が『増えた』との回答割合、外出頻度の項目、全般的に『減った』との回答割合など、生活者の実感ベースできちんと確認できたことです。そのうえで、その全体傾向が個々の生活者のおかれた環境(デモグラフィックデータなど)によっても、かなりの相違を見せている点が注目のポイントです。今回は性・年代別のみの報告ですが、さらに深堀りした分析を行い要因などを探ることで今後の生活者マーケットの動向をより正確に読み解く一助になるものと確信しております」

「(ユーザーへのメッセージは?)ビジネスを“持続的に”成長させていくには、“時間軸をより俯瞰”して正確に事象を捉えていく必要があると考えています。加えて、ビジネス環境としてネガティブに捉えられがちな情報に関しても、より深く観察してみると新たなビジネスの兆しが眠っていると感じられるものもあります。今回の調査がみなさまのビジネスのマーケット環境を正確に把握するための一素材になること、そして新たなマーケットを創出するための一ヒントとなることを切に願っております」

新型コロナウイルス感染症5類への移行に伴い、企業側は従業員に出社を求める傾向も強まっている。今後ポストコロナに適応した新たなサービスや、ビジネスコミュニケーション機会を創るサービスなどの誕生にも期待したい。

注目情報