遊休農地を“農園らしく”公園化!「この業界では新しいことに挑戦するのは勇気が必要」新しい農園のカタチとは

東京ウォーカー(全国版)

日常のなかで、ヒト・モノ・コトの接点が生まれる場“コミュニケーションスポット”の創出・運営を行う株式会社Yuinchu(ユインチュ、以下Yuinchu)は、株式会社ベジパング(以下、ベジパング)の農業ブランド「ハマラノーエン」が展開する新施設「体感型農園 ハマラハウス」のコンセプト設計や場作りにおけるサポートを行った。

ハマラノーエン


「PARK SPOT」のサポートで誕生した「体感型農園 ハマラハウス」

これまで「ハマラノーエン」のポップアップ支援やリブランディングのサポート、広報支援など多角的な手法でサポートに携わってきたYuinchu。ベジパングは自社ブランド野菜「八ヶ岳生とうもろこし」の製造小売業を主軸に事業展開をしているため、食体験や顧客接点の創出、都市でのアウトプット戦略に強みをもつYuinchuの各事業と親和性が高く、コラボレーションによって新たな体験価値と場の創出の可能性を追求することができた。

一方で、農業経営の課題や事業拡大に関する相談もあるなか、根本的な解決には“ベジパングにとっての農業の在り方”を再定義する必要があると考えた。そしてこのたび、未活用地などのプレイスデザインに特化したYuinchuの事業「PARK SPOT(パークスポット)」のサポートで誕生したのが「体感型農園 ハマラハウス」だ。

ビニールハウスや遊休農地の活用で、農園の在り方を再定義

ベジパングの「農体験を通して人々の“らしさ”を引き出す」という想いを軸に、Yuinchuはコンセプト設計や顧客体験、場作りにおける農園の在り方、農園での過ごし方について議論を重ね、新たな農園のカタチを創出できるようにサポートした。

ビニールハウスは“野菜を生産・販売する場所=作業場”という役割だけでなく、多様な顧客接点を創出する場に変換できるという考えから誕生したのが、特殊設計で人が快適に過ごせる空間となるように配慮した大型ビニールハウス型の店舗「ハマラハウス」。「ハマラハウス」の畑は未活用農地をとうもろこし畑として利活用し、夏期はとうもろこしの収穫体験、夏期以外は公園のような開かれた場所として、農家が考える新たな顧客体験の場に生まれ変わる。

すでに定義づけられていた場(農地)を新たな価値提供の場として活用することは、農業経営における事業戦略の余白を生み出し、経営にポジティブな変化を起こすことが期待できるという。今後も、農園らしさと「PARK SPOT」が考える“意味や目的から解放され新たな価値観を生み出す場”として、この場所に適した顧客接点を生み出すコミュニケーションスポットを多様な手段で創出できるようサポートしていく考えだ。

【写真】大型ビニールハウス型の店舗「ハマラハウス」と畑


本取り組みについて、担当者に話を聞いてみた。

「(『体感型農園 ハマラハウス』を展開する⽬的は?)ハマラハウスを展開する⽬的は、継続的な農業の実現と顧客の感動体験の創出です。この業界では既存の概念を覆し、新しいことに挑戦することはとても勇気が必要ですが、ハマラハウスのような新しい農園のカタチをほかの農家さんが⾒て、『⾃分たちも挑戦してみよう』と背中を押せる存在になれたらという想いがあります。同じような課題に直⾯する農家さんへのひとつの事業モデルとして参考になればうれしいです」

「(『体感型農園 ハマラハウス』のイチオシポイントは?)ほかにはないという意味では、農体験の場でありながら農園らしくない店舗に仕上げた⼤型ビニールハウスです。この夏、店舗を⾒たお客様はワクワクした様⼦で来店されていました。リビルディングセンタージャパン(リビセン)さんとのコラボレーションにより、デザイン性はもちろん、強度や通気性なども考慮したうえで居住空間を設けています。また直売所だけでなく、カフェも併設。各⼊り⼝には⼤きなのれんがあり、ちょっとしたフォトスポットにも。夏はハウスの後⽅で農園の⽅々が農作業をしていて、現場の見学もできます」

「(『体感型農園 ハマラハウス』のアイデアはどのようにして⽣まれた?)『ハマラノーエン』はもともと『HAMARA FARM』というブランドで10年間展開しており、⽬指す農業が⾒えてきたことから10周年のタイミングで『ハマラノーエン』へリブランディングをしました。そこからどう新しくなったのかを⽰すため、物質ではない部分でも感動してもらえる農業を、と考えたのがきっかけです」

「(『体感型農園 ハマラハウス』の実現に向けて苦労した点は?)体験や空間などの付加価値をどのようにサービスに落とし込み、場をどのように機能させることがベストかを組み⽴てる点です。リブランディングから想いを汲み取りながら“人の体感値”が重要と考え、どのように体験や空間にフォーカスし、それらの表現⽅法に順序づけをするなどのサポートをさせていただいたのが『PARK SPOT』です。おいしいとうもろこしの⽣産に関しては⾃信があるものの、新しい取り組みで⾃分たちの想いや軸がぶれないよう、それを事業として展開するということにはかなり慎重に組み⽴てていきました」

「(『体感型農園 ハマラハウス』では具体的にどのような体験ができる?)夏は⼋ヶ岳⽣とうもろこしの購⼊、収穫体験、⾃分で収穫したあとの採れたて⼋ヶ岳⽣とうもろこしをその場で⾷べるという体験、そのほかの野菜の購⼊、農園仲間の野菜や加⼯品の作業場⾒学、カフェ利⽤が可能です。とうもろこしのシーズンを終えた畑は、今後季節を楽しめる場所として展開します。オープン後初めての秋は、畑で焚き⽕を囲みながら、とうもろこしのヒゲを使⽤したヒゲコーヒーなどが楽しめる予定です。詳細は決まり次第、リリースなどでお知らせします」

「(ユーザーへのメッセージは?)『体感型農園 ハマラハウス』はこれまでの農園の在り⽅を再定義し、べジパングのハマラノーエンが考える“新しい農園のカタチ”としてオープンしました。とうもろこし農園に留まらず、農『体験』を通して、⼈々の『らしさ』を引き出すという想いのもと、農作物だけではない“農”に関わる事業を展開していきます」

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