スターバックスで働くパートナー(従業員)の中にいる「コーヒー アンバサダー」という存在を知ってる?2年に1度開かれる社内競技会「コーヒー アンバサダー カップ」で選出され、社内外でコーヒーの啓発活動をリードする人たちだ。今回、新たに決まった4人が、どのような想いで活動していくのかをご紹介する。
約5万人のパートナーのうち、コーヒー アンバサダーはたった4人
全国約1900店舗・約6万人のパートナーのうち、豊富な知識を持つ人に与えられるブラックエプロンを着用するパートナーは1割。コーヒー アンバサダー カップはブラックエプロンバリスタが出場し、東日本・中日本・西日本・スターバックス リザーブ(R) ロースタリー 東京の4つのリージョン(地区)で予選を開催。ファイナリストの4人が知識や接客スキル、プレゼンテーションを通して競い合う大会だ。
ファイナリスト4人は、これから2年間、各リージョンのコーヒー アンバサダーとして活動する。社内外のコーヒーに関するイベントや勉強会に参加したり、コーヒー農園を訪問したりしてコーヒーへの理解を深めその知識を伝えるなど、活動は幅広い。今回は東日本リージョンと西日本リージョンのファイナリストの2名をご紹介しよう。
「コーヒーでつながりを生む」という目標を実現するために(下出伸喜さん)
まず1人目に紹介するのは東日本リージョンのファイナリストであり、ファイナリスト4人のうちから「第18代コーヒー アンバサダー」に選ばれた下出伸喜さん。札幌市内の店舗でアシスタントストアマネージャー(副店長)として勤務している。
時々ユーモアを交えながら、よどみなく想いを語る下出さん。会話から感じるのは、“人が好き”“コミュニケーションが好き”という印象だ。学生時代にスターバックスでアルバイトをしていた下出さんは、その後、IT企業のシステムエンジニアとして就職。接客業から一転してパソコンに向かう日々にギャップを抱いていたという。
そんな時に訪れたカフェ。「ふと周りを見たら、資格の勉強をする人がいて、カフェって人の未来を作っている場所でもあるんだなと思いました。別の席では友だちと語らう人たちがいて。カフェは自分の好きなコーヒーで社会や人々とつながれると思い、スターバックスに戻ることを決めました」
数あるコーヒー店の中からスターバックスを選んだのは、「コーヒーをよく知らない人にも楽しめる一杯を提供したい。スターバックスならそれが可能だと思ったから」だと語る。
こうして気づいたコーヒーの魅力に、「コーヒーを通じたつながりを生み出したい」という目標をもち、コーヒー アンバサダーを目指すようになります。
「目標を実現するためには、まずは全国のパートナーにコーヒーにより親しみを持ってもらうことが大切。そのためにアンバサダーとして、コーヒーのおもしろさ、魅力を発信していきたいです」
では、下出さんにとってコーヒーのおもしろさとは?
「コーヒーを飲むと、世界とつながれた気がします。さまざまな地域に生産者の方々がいて、そこからいろいろな紡ぎがあってこの一杯にたどり着いているというストーリーを考えると、人と思いやりでつながれたように感じるんです。そんな一杯をお客様にもおいしいと思ってもらえるように、濃度、成分、見せ方、空間、添えるひと言…をどうするか、そんなことを考えていくのが好きです」
想いのこもった一杯を届けるとともに、技術の向上にも積極的だ。下出さんの強みは、ラテアート。昨年は社内競技大会「ラテアートチャンピオンシップ」で参加者350人の頂点になり、日本代表としてアジア大会にも出場。自分自身でコーヒーを高められることをと、コツコツ技術を磨いた結果だった。今では一緒に働くパートナーだけでなく、他店舗のパートナーにもラテアートを教えているという。
「ラテアートはコーヒーの魅力を知ってもらうきっかけになりやすいものなので、そこに貢献できるのはとてもうれしい」と語る。
コーヒー アンバサダーとしても、社内外にコーヒーの面白さやラテアートの魅力を伝えるチャンスだと感じているそう。そして「コーヒーカンパニーとして社外から学べることも多くあるので、得た知識を社内に伝える橋渡し役になれたら」と、コーヒーへの情熱はひたむきだ。
そしてその先の目標も見据えている。コーヒー アンバサダーが出場権を得られるスターバックスのアジア大会「リージョナル バリスタチャンピオンシップ」で力を発揮すること。
「パートナーのみんなをもっと活気づけられる、そんなパフォーマンスの機会になると思うので、そこで結果を残したいと思っています」
人に影響を与えられるバリスタになりたい(大貝知加さん)
熊本市内の店舗で、アシスタント ストアマネージャーとして奮闘する日々を送る大貝知加さん。初めての挑戦で予選を勝ち抜き、西日本リージョナル コーヒー アンバサダーになった。彼女が目指すのは、「人に影響を与えられるバリスタ」だ。
「お客様やパートナーと一緒にコーヒーを楽しむ時に、グッと心を動かす瞬間を生み出せるバリスタになりたいと思っています」
では、大貝さんにとっての心を動かされた瞬間とは?
「アルバイトになりたてのころに先輩バリスタがいれてくれたケニアのコーヒーを飲んだ瞬間です。味わいだけでなく、生産地の風景まで語りながら一緒にコーヒーを飲んでくれました。そうしているとほかのパートナーも集まって来て、話が広がるんですよね。コーヒーを飲むとこんな風に人とつながれるんだというのが、私のコーヒージャーニーの出発の思い出です。お客様にもパートナーにもそんな想いを感じてほしいと思っています」
そのために普段から大切にしていることが2つある。1つは、来店客を歓迎すること。
「入店時に気付いてもらえない寂しさを、お客様に感じてほしくないんです。だから、まず来店に気付き、目を合わせて明るい挨拶を心がけています」
そしてもう1つは、パートナーに一歩踏み出す勇気を伝えること。
「私自身、想いが先走って、パートナーと衝突するという失敗を経験し、相手の背景を理解することの大切さを学びました。素敵な想いやスキルを持っているパートナーがたくさんいるので、それぞれの目標を実現するためにはどうしたらよいか、対話しながらサポートしています」
コーヒー アンバサダーとしての2年間も「人を巻き込むことができるようになりたい」と想いは一貫している。
「私のチャンレジや成長する姿を見て、楽しそうだな、自分も一緒にやってみたいなと思ってもらいたいんです」と、はにかみながらもしっかりと想いを述べる大貝さん。実際、予選の準備の際にそれを実感した出来事がある。
楽しみながらコーヒーの勉強をしたいと、熊本エリアの他店舗を巡り、各店のパートナーと一緒にテイスティングをしたり、話をしたりした。話したことのないパートナーとも積極的にコミュニケーションをとっていったそう。
「そうしていると、みんなだんだんと力を貸してくれるんですよね。私のテイスティングをしている姿を見て、お店でもお客様とやってみましたという声を聞いたり。私のチャレンジがスタートではあったけど、少しずつ影響が広がって、チームで一歩踏み出すことにつながるんだと実感しました」
大貝さんには、迷った時にいつも立ち返る思いがある。
「“誰もが居場所と感じられる文化を作る”という会社の考え方に共感して入社しました。仕事を通じて仲間やお客様が居場所と感じられる場所を作れたら、自分にとってもうれしいこと。私の軸になっている想いです」
個性あふれるコーヒー アンバサダーが、それぞれのコーヒーへの情熱を胸に、さらに成長しながらこれからの2年間を歩んでいく。その活動に注目したい。