株式の売買のタイミングは「恋愛」から考える。買いどき、売りどきの見定め方

東京ウォーカー(全国版)

株式投資において、「売買のタイミング」を最重要事項に挙げる専門家は少なくない。同じ銘柄に投資をするにしても、売買のタイミング次第で大きく利益を出せることもあれば、逆に大きく損失を出してしまうこともあるからだ。そのタイミングの見定め方について、女性向けの株式投資スクールを主宰する松下りせさんは、「恋愛」の視点から考えることをすすめる。

女性向けの株式投資スクールを主宰する松下りせさんにインタビュー【撮影=藤巻祐介】


買いどきを見定めるための「イノベーター理論」

株を買うときにはなにが最も大切でしょうか?それは、買う「タイミング」です。理由は単純で、株価が値上がりしていく前に買うことができなければ、大きな売却益を得ることができないからです。

そうするためにも、「イノベーター理論」というものを知っておきましょう。イノベーター理論とは、アメリカの社会学者であるエベレット・ロジャースが提唱した、新しい商品やサービスがどのように普及していくかをまとめた考え方のこと。その理論によれば、株式投資においてチャンスとなるのは、その企業が提供する商品やサービスの普及率が16%になるまでのタイミングだといわれています。

iPhoneを例にすると、iPhoneが日本で発売されたのは2008年7月です。今でこそ多くの人が持っているiPhoneですが、当初はネガティブな見方も少なくなくありませんでした。どんなに魅力的な商品であってもその普及には時間がかかります。

しかし、そうした新商品をいち早く購入する人もいます。そういった人たちが、市場の2.5%にあたる「イノベーター」です。このあとに続くのが市場の13.5%にあたる「アーリーアダプター」、そして市場の34%にあたる「アーリーマジョリティー」が続きます。

数字を見てもらうと、アーリーマジョリティーが動きはじめた段階で50%に達しますから、いわゆる大ブレイクとなります。もちろん、その段階にまでくれば株価はすでに大きく上がっていますから、投資においてはタイミングを逃してしまっていることになります。

つまり、人よりも半歩先を行く、先取りすることが重要なのです。これは、話を広げると恋愛にも通じるのではないでしょうか。誰もが気になる存在になってしまった異性にはなかなか近づきにくいものです。投資は恋愛と同じだと考えると、投資に対して「難しそう……」といったイメージを持っている初心者でも、親しみながら学べるはずです。

「人よりも半歩先を行く、先取りすることが重要」と語る松下りせさん【撮影=藤巻祐介】

周囲の人を見て、ブレイク前を察知する

では、どうすればタイミングを逃さず、人より半歩先を行って有望株を買うことができるでしょうか?もちろん、チャートを読み解くようなテクニックも有効ですが、周囲の人を見ることもひとつの手となり得ます。

私が主宰している女性向け株式投資スクールで、受講生たちにある商品についてのアンケートをしたことがあります。ある商品とは、クレンジングオイルを半固形化したクレンジングバームについてのアンケートです。

すると、ひとつの特定の商品を「最近使いはじめた」という人が30人中3人いたのです。一方で、その商品を「はじめて知った」という人も半数近くいました。まさに、先のイノベーター理論でいうアーリーアダプターが動きはじめたタイミングです。

私自身、その商品を提供する企業に伸びしろを感じていました。そして、その後は実際に売上を順調に伸ばすとともに、株価はおよそ3倍にもなったのです。

実際にアンケートをしないまでも、周囲の人に意見を聞いてみることは、投資においてとてもいいリサーチになるはずです。気になる商品があったとしても、自分ひとりが「いい」と思っているのであれば、その商品がブレイクすることは滅多にありません。ですから、気になる商品について「〇〇って知ってる?」というふうに、周囲に聞いてみるのです。

その結果、大々的にメディアで取り上げられているわけでも誰もが知っているわけではないけれど、「知っている」という人がちらほらいるようであれば、その商品を提供している企業は株式投資において狙い目といえます。

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