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今回取り上げるのは、メッシュ式フライパン「メッシュパン」。九州の水門メーカー株式会社乗富鉄工所が販売する同商品は、ステンレスを編み込んだ直火焼専用のメッシュ式フライパンで、肉や野菜はもちろん、網では調理することのできなかった麺類や米なども直火で調理することができるフライパンだ。そんな「メッシュパン」について、担当者に話を聞いてみた。
――新たにメッシュパンを発売する狙いについて教えてください。
乗富鉄工所の本業はオーダーメイドの水門メーカーです。これまで培った金属加工の職人技を活かした暮らしの道具ブランド「ノリノリライフ」を2020年に立ち上げました。現在は熱に強くさびにくいというステンレスの特性を活かして、焚き火まわりのプロダクトに注力しており、「メッシュパン」は焚き火をもっと楽しむために、難しいと言われる直火料理の可能性を広げる調理器具として企画した商品です。
――メッシュパンの特徴を教えてください。
直火料理は余分な脂を落とし、薪や炭の香りがつくことが特徴のアウトドアならではの調理法です。メッシュパンは網より細かいメッシュを使うことで、炒飯や焼きそばなど、これまで直火で調理不可能だったものの調理を可能にしました。直火料理は火加減調整が難しいのですが、取っ手をつけたことで上下方向に動かしながら初心者でもいい火加減で焼くことができるようになりました。メッシュは長寿命のものを選定しており、かつ交換可能なので長く使うことができ、独自の機構で特許を出願中です。
――メッシュパンのアイデアはどのようにして生まれましたか?
焚き火をもっと楽しむための調理器具を模索し、鉄板やステンレス板などさまざまなもので料理をする実験をしていたとき、2023年にグッドデザイン賞を受賞したノリノリライフの人気商品でもある「ヨコナガメッシュタキビダイ」のメッシュを使って肉を焼いてみたら、とてもおいしくなることに気づき、このメッシュパンのアイデアが生まれました。
――メッシュパンの開発の際に苦労した点はありますか?
メッシュを交換可能にする、取っ手をつけるなどのアイデアをデザイナーと話し合いながら企画し、試作を繰り返しました。特にメッシュを交換可能にするための構造はシンプルながら難しく、試行錯誤を繰り返し、開発期間は2年に及びました。
――最後にユーザーへメッセージをお願いします。
クリエイティブであること。それは、1948年の創業以来、鉄工職人としての誇りを大切にしてきた私たちが、今あらためて目指す姿です。かつて日本のメーカーには、高品質で革新的な新製品で世の中をあっと驚かせ、日本のみならず世界の羨望を集めていた時代がありました。しかし、昨今の日本のものづくりにおいては生産性がより重視され、ものづくり本来の楽しさを感じる機会やクラフトマンシップを発揮する機会が少なくなっているのではないでしょうか。だからこそ私たちはこの町工場から、あらためて、ものづくり本来の魅力を発信していきたいと思います。
調理の幅を広げてくれる「メッシュパン」
メッシュパンを使えば、これまで網では不可能だった麺類や米も直火で調理することが可能。鉄板やプレートでの調理と異なり、余分な油が落ちるため、料理もより健康的でヘルシーに仕上がる。また、取っ手によって、直火調理において難しいとされている火加減の調整も簡単に行うことができるもメッシュパンの特徴のひとつだ。
さまざまな特徴があるメッシュパンだが、藁焼きも可能。さらにスモークチップがあれば、燻製をすることもでき、調理の幅がとても広がる。
そんなメッシュパンは、メッシュ部分が取り外し可能なため、長期の使用で破れた際には、別売りのメッシュシートと交換可能。手入れについても、メッシュ面がフラットで、硬めのスポンジやたわしに洗剤をつけて擦るだけなので、簡単に洗うことができる。
約2年の試作期間を経て生まれた、「メッシュパン」。どんな食材でも直火で調理することができる、キャンプには欠かせない革新的な商品だ。キャンプ好きの人はぜひ一度チェックしてみよう。
文=吉田知生