⾐類⽤柔軟剤ブランド「レノア」から2023年に発売された「レノア クエン酸in超消臭」。 洗剤でも柔軟剤でもない「すすぎ消臭剤」という新しいジャンルの商品で、柔軟剤トレイに⼊れて洗濯すると、タオルの100日分の蓄積ニオイまでも「はがし取る」という。
同ブランドから新ジャンルの商品が発売されるのは、ビーズ製品以来、約10年ぶり。開発の背景や、新ジャンルを⽣み出す商品企画について、P&G レノア ブランドディレクターの七⽊⽥⾹織さんに話を聞いた。
柔軟剤を使わない層にもアプローチ
――「レノア クエン酸in超消臭(以下、クエン酸in超消臭)」が誕生した背景やきっかけを教えてください。また、「すすぎ消臭剤」とはどのようなものなのでしょうか。
【七木田香織】柔軟剤に関する消費者調査を進めるなかで、⻑く使⽤して洗濯を繰り返したタオルや肌着は、蓄積したニオイが取れなかったり、きれいに洗濯しても、使うとまたすぐに臭くなってしまう「ニオイ戻り」といった問題に悩む⽅が多くいらっしゃることがわかりました。そこで蓄積したニオイや、ニオイ戻りに焦点を絞って開発したのが「クエン酸in超消臭」。洗剤でも柔軟剤でもない、第3のカテゴリー「すすぎ消臭剤」と位置づけています。
【七木田香織】洗剤を使って洗濯しても、わずかに残った汚れや、洗濯⽔の中に含まれる不純物が、すすぎきれずに洗濯物に残ってしまっています。それが積み重なると、糊のように⾐類の繊維に付着し、蓄積ニオイを起こす原因のひとつとなっていることがわかりました。「クエン酸in超消臭」は新しいテクノロジーによって、⾹料などでごまかすことなく、そうした蓄積ニオイのもとと繊維の結合を弱め、ニオイを根本からはがし取ることができます。
――消臭タイプの柔軟剤との違いは?
【七木田香織】レノアにも消臭や防臭ができる柔軟剤はありますが、使っていただきたいシーンが違います。着⽤中や汗をかいたときにニオイが気になるような衣類に対し、継続的な消臭効果を求めるときはそうした消臭タイプの柔軟剤を使っていただき、繰り返して使っている洗濯物のしつこい蓄積ニオイを根本から解決したいというときは「クエン酸in超消臭」でニオイをはがし取る。そういう使い分けというのをおすすめしております。
――ターゲットは?
【七木田香織】柔軟剤の世帯浸透率はおよそ約7割弱で、それ以外のご家庭では柔軟剤を使われていません。そういった⽅々が柔軟剤を使われない理由としては、「⾹り効果を必要としていない」、「柔らかさを求めていない」などが挙げられました。しかしそうした柔軟剤を使っていない方々も、ニオイは気になっており「消臭ニーズ」はお持ちであることがわかりました。「クエン酸in超消臭」は必ずしも香りニーズや柔軟効果は求めていなくても、ニオイは取りたいというニーズにもバチっと合うように開発しています。
――幅広いご家庭でお使いいただけそうですね。
【七木田香織】クエン酸という⾃然由来の原料を使っており、⾚ちゃんのタオルや肌着などにも安心してお使いいただけます。
革新的な技術で暮らしをより快適に
――開発の際に苦労した点は?
【七木田香織】⾐類のニオイは、ここ最近、新たに出てきたお悩みではなく、これまでも消費者の⽅から⾼いニーズとして挙げられてきました。ですのでこれまでも、ニオイ問題を解決するべく、⽇々商品開発を進めてきましたが、今回は特に、長く使い、洗濯を繰り返した衣類に蓄積ニオイが⽣じるメカニズムに着⽬し、これを解決するために全く新たなテクノロジーを採用した点や、普段は柔軟剤を使われない⽅々にもご満⾜いただける商品を目指した点が⼤変だったポイントです。
――実際に使った方からの反響は?
【七木田香織】我々も⾃信を持って提供した商品ですので、⾮常にうれしいお声をいただいております。具体的には「今まで何を使っても取れなかった蓄積したニオイが、これを使ったら⼀発で取れた」「今まで煮沸消毒していた台拭きやタオルでも、そんな⼿間をかけなくてもニオイがはがれ落ちた」というような声がありました。
――2004年に柔軟剤に「防臭」を取り入れた「初代レノア」にはじまり、ビーズ製品など新ジャンルを多く発明されています。新ジャンルの開拓に挑戦する理由や想いを教えてください。
【七木田香織】レノアはブランド誕⽣以来、柔軟剤に本来期待されていた「繊維を柔らかくする」という便益に加えて、消臭や防臭、⾹り、⾐類のダメージケアなどさまざまな新しい価値を提供してきました。そのようにして新しいお客様に使っていただき、市場とともに成⻑してきました。
【七木田香織】既存の製品ではまだ満たされていない消費者のニーズを⾰新的な技術によって解決することで、より多くのお客様の家事負担やお悩みを解決し、暮らしをより快適にしていくことが、ブランドとして⽬指しているところです。
――商品企画のこだわりやコツはありますか。
【七木田香織】P&Gは「Consumer is boss(消費者がボス)」という考えを⼤切にしており ます。我々が商品開発するなかで、市場調査を通して、お客様の声に耳を傾けています。お客様にとって本当に必要なこと、困っていらっしゃることが何かということから考え始め、お客様の⽇々の暮らしをよりよくできるよう、商品開発に取り組んでおります。
【七木田香織】レノアは発売してから今年(2024年)で20年⽬になりますが、お客様のより良い暮らし、快適な家事のためにできることがまだまだあると考えています。
消費者の変化もふまえて問題を解決
――現在の柔軟剤市場の動向について教えてください。近年の消費者動向について変化はありますか?
【七木田香織】これまでも続いている傾向ですが、やはり共働きの⽅が増えていたり、コロナ禍が過ぎ外出の機会が増えたりと、消費者の⽅の中で家事に割ける時間が少なくなっていると見ています。
【七木田香織】そんななかでもご⾃⾝やご家族のために家事の質は妥協したくないという思いを持たれる方は多く、時間がないなか、いかに良い結果を出せるか、ということに消費者の方々の視点がシフトしてきていると感じます。お洗濯で汚れやニオイを解決することはもちろん、それをより簡単に、⼿間なく、負担なくという視点で、商品開発に取り組んでいきたいと思っております。
――最後に「レノア」ブランドの今後の展望や野望を教えてください。
【七木田香織】消費者の⽅々の声やニーズに真摯に⽿を傾け、消費者の方々に求められるものを作っていくことがブランドの持っている使命であり、今後もそれは変わらないと思っております。そのうえで、過去20年と同様に、市場とともにこれからも成⻑し続けていきたいと思っています。
この記事のひときわ
#やくにたつ
・まずは消費者のニーズに徹底的に応える
・新しい価値の提供が、新しい消費者の獲得につながる