【1】(https://news.walkerplus.com/article/118965/)の続き
Q:観ていた時と出演してからの違いはある?
お客さんとして観ていた時は、全体の迫力がグワっと心に来ていたんですけど、稽古に入ってみるとひとりひとりの人生が詰まってこの作品なんだと、より鮮明に見えてきました。稽古の段階ですべてのキャストに、あなたはどこから来てどういう育ちで名前はなに?なんのためにここに来てるの?みたいな背景を演出家さんから聞かれるワークショップがあって。ひとりひとりの人生があるからこそ、それが集まった時にこれだけのパワーになるんだなということがわかりました。
コゼットは意外と出てる時間は多くないんですよ、象徴的な役割なので。だからこその難しさがあるんです。何回も観ていてすごく思うのは、コゼットはこんなにファンテーヌに愛されて、そのあとジャン・バルジャンがそれを受け継いでコゼットを愛し抜いて。そこでマリウスと出会って愛してもらってって。どれだけ愛してもらってるんだっていう(笑)。それをどうやって返せばいいのかとか、コゼットの存在の仕方がすごく難しくて。なので、まだ答えになるものは見つかってない状態なんですけど、本番中も自分が出てない時に、つねに袖からステージに立つほかの役の方たちを見て、そのエネルギーとかをとにかく自分の中に入れようとしています。この作品の中で唯一の希望として、なにか光れるように、と。
Q:自分が出たかった作品に出ている感じはどう?
すごく感慨深いです。ちゃんと自分が地に足を付けてこのステージに立ってられてるのかという緊張感はつねにあるんですよ、やっぱり。でも、客観的に考えるとどんどんワァ~って気持ちが引いて行っちゃうというか、恐れおののいてしまうというか…。ほんとにできることはその瞬間を生きるっていうことだなと思いながら、いつも懸命にステージに立っています。コゼットという役もより好きになったし、自分の役だけじゃなくてお母さんに感情移入したり、自分はマリウスと結ばれるけどエポニーヌに感情移入したり。どんどん自分の心が移っていくのもこの作品の魅力だなと思います。
Q:観てくれたお友達はなんて?
とにかく圧倒されたとか、すごかったとか。グループのメンバーも観に来てくれましたけど、もう言葉にできないみたいな感じの子が多くて。観てくれた人は、作品全体に入り込んでしまうんですね。
Q:「私のココを見て!」というポイントは?
コゼットの目線で言うと、ハートフルかな。新演出に変わって、特に今回のバージョンではマリウスとのやりとりがクスッと笑えるような、微笑ましい感じに演出されていて。今回はマリウスもすごくかわいらしい感じですし、コゼットもちょっとユーモアのある感じで。かわいらしいマリウスに乗って応えるみたいな、そういうやりとりが今までとは結構違う雰囲気なのかなと思います。
Q:大阪のファンの方たち、初めて「レ・ミゼ」をご覧になる方にメッセージを。
まず映画は観た方がいいかもしれないですね。すごく素晴らしい楽曲とストーリーなんですけど、音楽だけでつないでいるので、見慣れていない方はあらすじがわからないこともあるかもしれないです。映画で知ってから見るとよりわかりやすいですし、集中してこの作品にのめり込めるんじゃないかな。劇場に入ったら、もうあとはほんとに身をゆだねていれば登場人物にぐいぐい引っ張られて「レ・ミゼ」の世界に引き込まれるだけかなと思います。
Q:野望は?夢は?
乃木坂で応援してくださってるファンの方が初めてミュージカルを観てハマったとか、そういう話をよく聞くので、それをすごく大事にしたいという思いはあります。でもいずれひとり立ちする時は来るので、それでも長くミュージカルや舞台のステージに立っていられるように地道に頑張っていきたいというのが一番の目標です。
あとは、コゼットやジュリエットという役柄が多かったので、自分の引き出しにないものに挑戦して新しく身に付けていきたいなという思いもすごくあります。来年は「モーツァルト!」のコンスタンツェ役が初めて大きな挑戦になりますね。舞台が一番、自分の軸にはしたいです。今はミュージカルで実力を付けたいというのが、自分の気持ちの中では大きいですね。でも映像も興味はあるので、やれるならやりたいという思いでいます。
【関西ウォーカー編集部】
高橋晴代