人の記憶を自由に消せる“消去屋”。もしそんな人物が実在したら、あなたなら何を依頼するだろうか?漫画『どうせ趣味をやめられない』は、消去屋が存在する世界を描く。本作を描いた漫画家の秋野ひろさん(@16_akino)は、コルクラボマンガ専科の1・2期生で、ユーモアあふれる作品をXに投稿している。
趣味を消したい理由…ネットの悪口と共感呼ぶリアル
物語は、消去屋が依頼者の記憶を消した直後から始まる。依頼者は「趣味のイラストをやめたい」と、「自分が絵を描ける記憶を忘れさせてほしい」と頼んでいた。彼女が絵を忘れたいと願ったきっかけは、ネットに寄せられたたった一件の悪口だという。
自身が描いたイラストをネットに公開して以来、「ひどいコメント」に傷つき、絵を描くことが怖くなってしまったのだ。誹謗中傷が蔓延する現代日本の世相を反映したストーリーは、読者の心に深く突き刺さる。
人物を描くうえで意識していることを秋野さんに尋ねると、「身の回りの出来事を漫画にしていることが多い」と答えた。また、描く前に友人との雑談で話すこともあるという。題材の見つけ方や切り口の選び方については、「身の回りの体験でちょっとおもしろかったことを大体そのままオチのコマにしようと考える。必要ないところをなるべく削って短くオチを作れるようにしたい」と、創作の裏側を明かした。