付き合い始めた二人が初めて出かける遠出デート。『これをキッカケに彼女との距離を縮めたい……』、そんな男の内に秘めた決意を知ってか知らずか、尾道・しまなみ海道の絶景スポットを前にして無邪気にはしゃぐ彼女の姿に男は気もそぞろ。まるで使い古された名作映画のようなありふれたストーリー。そんな男の妄想エピローグをお届けしよう。
「ねぇ、今日はどこに行くの?」
優美の言葉に一瞬ドキッとしながらも男はこの日のプランをもう一度頭で整理し、一呼吸置いてから
『大丈夫、任せておけって。今日はすごいものを見せてやるから』
「本当に?じゃあ期待してるね」
そう笑う彼女に向かって心の中でつぶやいた。
『今日こそ絶対に彼女と……!』
男がまず向かったのは、国立公園高見山。頂上の展望台からは眼下に因島大橋や瀬戸の島々を望むことができる絶景スポットだ。
『ほら、着いたよ。見てごらん』
男がそういうと優美は車から降りた。
「わぁ、すごい。早く来てよ」
振り返った彼女の顔はいつもより輝いて見えた。
「ねぇねぇ、展望台に登ろうよ」
階段を登る優美を何気なく見上げると思わず息を飲んだ。
『おいおい、これは景色どころじゃないぞ……』
思わぬ眺めに男の顔が思わずニヤけた。
「どうしたの?変な顔して」
『いや、なんでもないよ』
そう答えるのが精一杯だった。
クルマに戻り、優美に尋ねた。
『ちょっとお腹空かない?オススメのスイーツがあるんだ』
「え、なになに?気になる!」
『ここ生口島は“レモンの島”とも呼ばれていてね……』
男はうんちくを語りながらクルマを走らせた。
『で、名物になっているのが、ここドルチェ本店の“レモンと伯方の塩”ジェラートなんだ』
「どれも美味しそうだけど、レモンと伯方の塩”がオススメなんだよね?じゃあ……、それにしようかな?」
「ん~、おいしい!」
満足げな表情を浮かべる優美を見てホッと胸をなでおろす男。
『よし、ここまでは順調だぞ』
男が思ったのもつかの間、
「キャッ」
そういう優美の視線の先に目をやると
「落としちゃった。…もう、どこ見てるのよ。それならこうだ」
『おい、悪ふざけはやめろよ』
そう言いながら顔についたジェラードを拭く男を見ながら、優美は笑った。
再び車中に戻ると、男がチラチラと視線を送ってくる優美の変化に気がついた。
『あれ、心なしかさっきよりも色っぽく……なってる?これはいい雰囲気になってきたかも!』
そして男はこう切り出した。
『この先にある瀬戸田サンセットビーチに行ってみない?』
優美は軽く頷いた。
「わぁ、海がキレイ。水際まで行ってみようよ!」
そう言うと優美は突然服を脱ぎだした。
『えっ?』
あっけにとられる男に向かって
「驚いた?水着だよ(笑)。ほら、行こう」
いたずらに笑う優美がいた。
日没が近づき、あたりは一転していい雰囲気を醸し出す。
『よし、予定どおりだ』
男は喜びを必死で押さえていた。
「だいぶ日も暮れてきたね」
『ここはサンセットがキレイなんだ。あっちなんて良さそうだね、行ってみよう』
「幸せ……」
『……!?』
ホテルにチェックインし、二人は部屋でくつろいでいた。
「今日は楽しかったよ。ありがとう、チュッ」
『優美っ』
男はたまらず優美を押し倒した。
…翌朝、ホテル「ONOMICHI U2」のテラスに二人の姿があった。
「ホテルもおしゃれだし、移動も快適だったし、本当に最高のデートプランだったよ。次もお願いね」
『もちろん、任しておいて』
そこで互いの目が合うと
「私、ちょっと買い物してくるね」
少し照れくさそうに優美はショッピングへと向かった。
ショッピングを楽しむ優美を眺めながら、
『今回の旅が成功したのはこいつのおかげだな』
と、マツダCX-5に目を配った。
『車内の静かなCX-5のおかげで移動中も優美との会話も弾んだし、振動も少ないから優美もリラックスしながら車での旅を楽しめたみたいだった。俺も長時間の運転でもまったく疲れなかったから、優美と一緒に思いっきり楽しめたし……。次のデートも頼むぞ、相棒!』
今回の旅の余韻に浸りながら、さっそく次回のプランを考え始めた。
【ウォーカープラス編集部/取材・文=安藤康之、撮影=恩田拓治、モデル=一瀬優美】
安藤康之