主演舞台が兵庫へ!瀬戸康史が語る舞台「関数ドミノ」

関西ウォーカー

劇団イキウメを率いる作・演出家の前川知大は、オカルトやSFなど超常的な世界を日常にスルリと溶け込ませ、メッセージを織り込みながら不思議や恐怖と共に表現する。近年、ドラマや映画、舞台にと目覚ましい活躍を見せる瀬戸康史は、そんな前川作品が大好き。昨年、念願の出演を果たし、今回再び挑む前川作品は「関数ドミノ」。2005年、09年、14年に上演され、今回は09年版を寺十 吾(じつなし さとる)が演出するプロデュース公演だ。

とある都市で奇妙な交通事故が起こる。信号のない横断歩道を渡る歩行者に向かって、車が速度を落とさずにカーブしてきた。が、車は歩行者の数センチ手前で、あたかも透明な壁に衝突したかのように大破する。目撃者は3人。関係者の検証の場で、目撃者の1人がある仮説を立てる。「願ったことが必ず叶う、ドミノという存在がいる」。荒唐無稽と思われたが、それを裏付けるような不思議な出来事が彼らの周りで起こり始めて…。

事故の目撃者の1人・真壁を演じる瀬戸康史が、稽古を控えて来阪。その思いを語った。

Q:前川作品の好きなところは?

僕はわりと非現実的なものごとに興味があるんです。前川作品は霊的なものや、SF、近未来とか、もしかしたら起こるんじゃないだろうかというところから物語に入っていったり、テーマがそういうものだったりするので、僕の好きなジャンルにドンピシャでした。

だから、前川さんとはずっとご一緒したいと思っていたので、昨年に続き2年連続で前川作品に出られるのは光栄です。また、この「関数ドミノ」は、何度も再演されている人気の高い作品なので、プレッシャーはありますけれど、我々劇団員ではない役者がやることで、作品がどう変わっていくのか、ものすごく楽しみです。今回の公演のために前川さんが改稿してくださって、「『関数ドミノ』2017バーションだ」と、おっしゃってました。前川さんいわく、ご自身の作品を別の方が演出するのは、楽しみで仕方ないそうです。

Q:「関数ドミノ」は観ていましたか? 

はい。イキウメの作品のなかでは非現実的な部分は少なかったという印象です。きっかけとしてはありますけど、どんどん人間関係の話になっていくので。イキウメのなかでもリアルな感じがしますね、僕は。なので、演じる上で生っぽさというか、その時、自分がどう感じたかを大事に演じていきたいと思います。

Q:演じられる真壁はどんな人ですか?

真壁は、嫉妬や先入観の塊のような人。自分自身をマインドコントロールしてる感じで、迷いがないんです。迷いがないっていうのは、すごいと思う。それが真壁の思いの強さにつながるんだとは思います。一方で自信がなく、うまくいかないことを周りのせいにしがち。僕も彼と似ている部分が少しあるので気持ちはわかりますが、これだけのネガティブボーイを演じるのは初めてかもしれないですね(笑)。

ただ僕が演じる以上は、卑屈で嫌な奴で終わらないようにしたいです。そのためには観ている方に共感してもらえるように彼なりの信念をきちんと作っていかないと。またこの役を演じきることで、僕のイメージをいい意味で裏切られたら、とも思っています。

Q:舞台、楽しそうですね。

舞台は本当に楽しいですね。映像ではできない作品や演じられないような役も、舞台ならできるし。日々反応が違うし、地方やお客さんによっても空気感が全然違ってくるので。作品に関しても、関わっている時間が長いので、かなり愛着がわきますね。舞台に限らず、俳優の仕事はすごく楽しいです。ずっと続けていられるように、役者として必要とされる人間になっていかなきゃいけないと思います。

Q:ここ数年、とてもご活躍です。

本当に恵まれています。作品と人との出会いがどれもよかったと、ここ数年、すごく思います。前川さんや「陥没」で演出していただいたKERAさんはじめ、舞台に限らず、一緒に仕事をしたいと思っていた方々とできているのがとても幸せですし、この出会いは大切にしていきたいですね。

Q:関西に来た時、必ず行くところとか、行きたいところは?

必ず、と決めてるところはないですが…。「陥没」の公演の時に、小池栄子さんに連れて行ってもらったお店はおいしかったですね。ほぼキャスト全員で行った梅田のお店も雰囲気的にすごく楽しかった。でも、僕自身はどこに行きたいとか、あまり興味ないんですよ。すすめられたら行くんですけど、日々スケジュール立ててっていうのはなくて。ホテルでじっとしていても、全然平気なんです(笑)。

高橋晴代

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