老舗の名店が集まる人形町に、今新たな風を吹き込んでいるのが「人形町 兎屋」だ。
毎日、開店前からサラリーマンたちが列を成し、営業中は客足が途絶えることはない。その繁盛店を仕切るのが、28歳の若き代表・和田涼輔さん。前職は鉄板焼きの料理人だった和田さんはラーメン好きが高じて、独学で味を研究した。スープに向き合う真摯な姿勢が名店への礎を築いていく。
「毎日食べても飽きない一杯を極めたい」と和田さんが着目したのは、王道スタイルの動物魚介ラーメン。動物系は三大地鶏の一つ、比内地鶏のガラと旨味が強い親鶏の丸鶏が主体。毎朝、それらを弱火にかけ、中火にした後、丁寧にアクを取りながら、黄金色のスープへと仕上げる。そこに数種の煮干し、削りたての花ガツオなどの魚介を合わせれば、比内地鶏の上品な旨味と、魚介の風味が鼻から抜ける珠玉のスープが完成する。
鶏と煮干しのバランスが絶妙!ラードが表面をおおいアツアツの一杯
キビ醤油など数種をブレンドしたまろやかな醤油ダレが、素材の旨味を引き立てる「らーめん(中)」(880円)。ラードでスープの表面に膜を作ることで最後まで熱々で麺ものびにくい。らーめんは中のほか、小(麺160g)780円と大(麺300g)980円から選べる。他にも「つけめん(並盛)」(850円)もある。
■ラーメンデータ<麺>太・角・ストレート/製麺所: 浅草開化楼・220g<スープ>タレ=醤油・仕上げ油=なし/濃度: こってり○○●○○あっさり/種類: 鶏ガラ・魚介(煮干)
浅草開化楼に特注の麺はスープをしっかり吸い込み、モチモチの食感が楽しめる。それでいて表面はツルツルで、なめらかな舌触りも併せ持つ。トッピングのモモ肉のチャーシューは、醤油ベースの特製ダレに漬け込み、じっくり焼き上げた。しっとり柔らかで、程よく脂身がついていて噛むほどに甘味が広がる。
厳選素材がふんだんに使用されたスープは比内地鶏と親鶏のほか、国産豚のゲンコツも使用。上品な鶏の旨味の根底を濃厚な豚骨がしっかり支える。魚介系はアゴとイワシの煮干し、花ガツオが使われている。
和田さんが探し求めたのは「長く愛される一杯」。比内地鶏と国産豚の旨味の中に、魚介の風味を効かせたスープは、何度も食べたくなる飽きのこない味。メニューはらーめんとつけめんの2種。
「決して特別なことはしていません。ただ毎日、お客さんの喜ぶ顔を想像して、手間ひまをかけて一生懸命に仕込んでいるだけです」と話す和田さん。その積み重ねこそが、和田さんが目指す「何十年、何百年と愛される店」へとつながっていく。【ラーメンウォーカー編集部】
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