「若いときの苦労は買ってもせよ」はよく上司や目上の人から言われるセリフのひとつである。しないで済む苦労ならしない方がいいのではないかと思うのだが、この名言の由来や本当の意図はどこにあるのだろうか?
「若いときの苦労は買ってもせよ」とは、若いときの苦労はその体験が将来役に立つから、自分から買って出ても苦労せよということ(出典:デジタル大辞泉より)。一般的に、「楽な道と大変な道、2つの道が目の前にあるなら、あえて大変な道を選びなさい」と戒められることが多い。“昭和の根性論”のように思われがちだが、決してそれだけではなく、若いうちは体力もあり、また、失敗しても周りの先輩や上司にフォローしてもらえる立場にあるため、失敗するなら若いうちにして経験を積み上げていくのがいいという非常に論理的な教えでもある。
ただ、何でも見境なしに苦労せよというわけではない。このことわざで出てくる「苦労」は、「努力」に置き換えられるものと考えるといいだろう。業務量過多による残業や徹夜が続く過酷な仕事環境、人間関係のいじめやハラスメントなど、努力ではどうしようもないことは話が別である。
今回の漫画を描いたのは、現在はWeb広告関係の仕事をする傍らでSNSに「サラリーマンのあるある漫画」を投稿しているまくべす(@maxvess3)さんである。まくべすさんに話を聞いてみた。
――まくべすさんが若いころに苦労したことを教えてください。
若いころというか、時代背景も相まっての話にはなるかと思うのですが、「毎日終電は当たり前」「定時なんて都市伝説」「残業で終電逃してもそれから飲みに行ってまた翌日出社する」…自分だけでなくまわりのみんなそのような働き方をしていた時代だったので、何の疑問もなく受け入れていました。
当時は若く体力もあったからできたことですが、今だととても耐えられそうにないです。その当時のミドル層の方も同じような働き方をしていたので、本当にすごい時代だったんだな、と振りかえると思います。
――若いころの苦労や失敗で、今役に立っていることはありますか?
先ほどの話と重なりますが、若いころは長時間労働が当たり前の時代だったので、それと比較すると現代の労働環境は時間的にかなり楽ですね。その分違う悩みや苦労はあるとは思いますが…。
漫画とは真逆な意見になってしまうのですが、若いころに苦しい思いをしていると、年齢を重ねてからもその経験があるから耐えられる…というところは確かにあると感じています。ただもう時代に合っていないので、今の若い人にそれを言っても伝わらないとは思います…。
ちなみに、今回紹介した「若いときの苦労は買ってもせよ」ということわざの語源や由来については実はわかっていない。しかし、日本だけでなく、諸外国でも同じ意味を持つことわざは存在し、「Heavy work in youth is quiet rest in old age.(若いときの重労働は老年の安穏につながる)」や「Adversity makes a man wise.(逆境は、人を賢明にする)」などがある。また、中国でも「宁吃少年苦 不受老来貧(若いときの苦労は老いてからできない)」ということわざがあり、この教えは世界共通のようだ。
サラリーマンのあるあるを描いたまくべすさんの漫画「目指せ!日本一の社畜!ぬこリーマン」は、SNSにて新作が随時更新されているので、ほかの作品もぜひ読んでみて!
画像提供:まくべす(@maxvess3)
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