まじめな姉・吟子と、大阪で芸人を目指しながら自堕落な生活を送る弟・鉄郎。そんな姉弟の姿を通して、家族の絆を描いた山田洋次監督の最新作が「おとうと」だ。本作で吉永小百合演じる吟子のバツイチの娘・小春に扮した蒼井優が“初の山田組”や、家族観について語ってくれた。
─今回、山田洋次監督の作品に初出演ですね。
「山田監督の映画の作り方にすごく興味があって、物語を知る前に“出たい!”と思ったんです(笑)。現場に入るまではもっと余裕な感じで作られているのかなと思っていたんですけど、実際は映画に新しいことを求めて夢中で作られていて、間近でその姿を観ることができてうれしかったですね」
─山田監督から学ぶものはすごく大きかったですか?
「はい。監督がこの映画のことを一番よくわかっていらっしゃるので、私はそれに必死に付いていった感じです(笑)。役の動きやセリフすべてにしっかりと意味をもたせる“リアルなお芝居の先にあるもの”を学びました」
─小春のお母さん役の吉永小百合さんとの共演はいかがでしたか?
「吉永さんは私の想像をはるかに超えるすばらしい人でした。人としての器もすごく大きくて、人を動かす魅力のある方です。吉永さんが大好きなあまり、(鉄郎役の笑福亭)鶴瓶さんといつも取り合っていました(笑)」
─役を通してご自身の家族観に変化はありましたか?
「今まで以上に家族とマメに連絡をとるようになりました。何も言わなくても家族に対する愛情があって当たり前、それに対する感謝の気持ちは伝わっているものだって“家族の絆”に甘えすぎているところがあると思うんです。でも、本当はそれじゃダメだし、きちんと言葉に出して伝えなきゃいけないなって、しみじみ反省しました」
─すばらしい心境の変化ですね。では、蒼井さんにとって本作はどんな作品になりましたか?
「山田監督の作品は観ているとホッとするし、暗いニュースが多い時代だけに、家族という普遍的なテーマを描いた心の温まる映画を私も観たかったんです。なので、この作品はいま公開されることにすごく意味があると思いますね。あとは、1人の女優として今回の現場で学んだことを次に活かしていけるよう、頑張っていきたいです」
【関西ウォーカー】