10年後AIが発達しても「なくならない仕事」に選ばれた介護士。今回は、ゆらりゆうら(@yurariyuru2)さんが訪問看護に訪れた際利用者さんが息をしていないことに気づいた、実録介護漫画「最後の送信」を紹介する。ゆらりさんは、介護福祉士をしながら
ブログ「ヘルパーおかんゆうらり日記」
で介護の話を描く。Instagramでは2.1万人のフォロワーを誇る。
お酒もタバコもやめられない!看取る家族はおらず、入院は拒否。看取る人は訪問介護士かもしれない
12年前、50歳のときに初めて介護職に就いたという、ゆらりさん。「大変な中にも先輩や同僚や利用者様とのふれあいの中で、介護職の素晴らしさと重要性に気づき、多くの方に知っていただきたいと思い、ブログで発信することを思い立ちました」と、ブログで漫画を描き始めた経緯を話す。
初めは介護ステーションに勤務。「訪問介護を始めたのは5年前、ちょうどコロナ禍に入った時期でした。訪問介護は、利用者様のご自宅に伺って、生活支援(掃除、料理、買い物など)と身体介助(排泄介助、入浴介助など直接お身体に触れる介護)を行います」。それぞれ利用者の方に合わせた介護を提供するのが仕事だ。
本作の利用者さんは、奥さんが1カ月前に亡くなられとことがきっかけで、一気に体も弱ってきたという。70代とまだ若く認知症もなかったため、しっかりとやり取りができた。本人の強い希望で「お酒とタバコはやめられない」ため、ヘルパーさんがいるときだけ許可されていた。しんどいときでも起き上がって、タバコを吸いたいという利用者さん。時間内に「洗濯と買い物とお食事の介助、そして排泄介助」もしなければならないが、できるだけ利用者さんに寄り添いたいと、ゆらりさんはタバコを吸いたいという利用者さんの手伝いをした。それが、訪問介護2回目のことだった。
訪問介護、3回目。これからもっと打ち解けたいと思っていた矢先だった。「いつも通り、訪問してお声をかけたのですが、お返事がありませんでした。穏やかな顔でベッドで横になられていたので眠っておられるのかなと思いましたが、あまりに静かで…。そっと触れさせていただくと冷たく、胸も動いていませんでした。脈を取ったのですが、全く感じとることができず、そのとき『亡くなっておられる!』とわかったのでした。大変驚きましたが、最初に『あと2カ月くらいかも』と上司から聞いており、そのときの対応も指示されていたので、冷静に対処することができました」と、ゆらりさんは当時を振り返る。
訪問介護は「その方が住み慣れた自分の家で、自立して生きるお手伝いができるやりがいのある仕事」だとゆらりさんは言う。「最後まで自分の家で暮らしたい方、また施設に入ることのできない方の大きな支えになります。私に訪問介護があっていると思うところは、一人で対応するので責任は重いですが、自分のペースで仕事ができるところです」と、話す。
マニュアル通りではなく、温かい言葉とコミュニケーションで利用者さんと心をつなぐ、ゆらりさんの介護漫画。気難しい利用者さんと聞いていたものの「一生懸命やってくれてありがとう。ほんまうれしかった」と感謝の言葉もあった。読者からは「最後はおかんさんがよかったんですね」「やはりオカンサンを待っていたと思う」と、看取る人がゆらりさんでよかったという声も届く。
最後にゆらりさんにとって介護職とは?聞くと「利用者様が最後まで人生の主人公である、その手助けをすることだと思うのです。『大変みたいだけど、介護の仕事は意外にいいかも!』そう思っていただける、明るい、でもちょっと泣ける、そんな介護漫画を目指しています」と答えてくれた。
本作はゆらりさんが訪問介護をしていて始めて旅立たれた方。自身のブログでは介護の話のほか、同居25年バトル継続中の義母のことも描く。
取材協力:ゆらりゆうら(@yurariyuru2)