2年目のイマーシブ・フォート東京は「より濃密な体験」に特化した施設へ!新作含む4作品に絞り内容をグレードアップ

東京ウォーカー(全国版)

東京・お台場のイマーシブ(没入体験)施設「イマーシブ・フォート東京」が2025年3月1日(土)に開業1周年を迎える。運営する刀イマーシブ合同会社は、2年目のイマーシブ・フォート東京の戦略と新演目を2月4日に発表。2025年4月下旬以降は新作を含む4作品に注力し、ライトな体験からよりディープな体験にシフトするという。

株式会社刀 シニア・クリエイティブ・ディレクターの津野庄一郎さん(写真左)、代表取締役CEOの森岡毅さん(写真中央)、クリエイティブ・ディレクターの興山友恵さん(写真右)


完全新作を含む4作品のポイントは?

イマーシブ・フォート東京は、欧米発祥の体験型演劇作品「イマーシブシアター」をメインコンテンツとした体験型テーマパーク。来場者自身がリアルタイムに展開される作品舞台の中で過ごし、物語に参加するというもので、初年度作品では本格ミステリー「ザ・シャーロック~ベイカー街連続殺人事件」が2025年2月までに累計約15万人の動員を記録。江戸遊郭を舞台にした人間ドラマ「江戸花魁奇譚」はチケット完売率が97パーセント(2024年3月~12月)、漫画「東京リベンジャーズ」の世界で東京卍會メンバーとともに謎解きと脱出を目指すアトラクション「東京リベンジャーズ イマーシブ・エスケープ」は、2024年3月の顧客満足度99パーセントと、いずれも反響を集めている。

3月からは、現在稼働中の「ザ・シャーロック~ベイカー街連続殺人事件」に新しい台詞やシーンを追加し、第一幕の推理編として再構成。そこに第二幕の解決編を加えた二幕制の新作「ザ・シャーロック~ジェームズ・モリアーティの逆襲」として刷新する。二幕制を活かし、段階を踏んでさらに物語に没入できるというコンセプトだ。

イマーシブシアター「ザ・シャーロック~ジェームズ・モリアーティの逆襲」アトラクションビジュアル画像提供:イマーシブ・フォート東京 SHERLOCK HOLMES, DR. WATSON, and are trademarks of Conan Doyle Estate Ltd.®


約40名の登場キャラクターとより濃密な体験が楽しめるほか、使用エリアを拡大し、個室での少人数体験を追加するという。シニア・クリエイティブ・ディレクターの津野庄一郎さんは「シャーロックの物語の中でたくさんちりばめられた伏線や謎が、(第二幕では)どんどんと回収されていくシーンが入っていきます。解決したり、謎が解かれていくことに達成感や爽快感を感じていただけるような構成にしていきたい」と語った。体験可能人数は最大180人、体験時間は120分、料金は7800円の予定。

4月下旬にスタートを予定している完全新作「真夜中の晩餐会~Secret of Gilbert's Castle」は、最高級イマーシブシアターと位置付け、豪華でミステリアスな19世紀のヨーロッパ貴族の世界をモチーフにした作品。来場者は貴族の晩餐会の出席者となり、貴族との会話やダンス、個室での秘密の体験を経て、貴族世界の優雅な生活と、陰に隠された秘密を目撃するという内容だという。

「真夜中の晩餐会~Secret of Gilbert's Castle」アトラクションビジュアル画像提供:イマーシブ・フォート東京


晩餐会シーンでは実際にコースディナーを提供するほか、邸宅の外にある礼拝堂や理髪店など街の様子も再現。同作のクリエイティブ・ディレクターを務める興山友恵さんは「とにかく贅沢でミステリアスな一面を持つ世界観にお客様をお連れしたい」と作品のコンセプトを話す。体験可能人数は50人、体験時間は120分の予定で、料金は現在未定だ。

また、「江戸花魁奇譚」はもう1つの結末を新たに加え、マルチエンディングの要素を強めたアップデートを実施。体験時間は70分、料金は1万4800円。

「江戸花魁奇譚」アトラクションビジュアル画像提供:イマーシブ・フォート東京


「東京リベンジャーズ イマーシブ・エスケープ」では、キャラクターと間近で接する少人数での体験をこれまでの3倍に増やすという。体験時間は105分、料金は7800円。

「東京リベンジャーズ イマーシブ・エスケープ」アトラクションビジュアル画像提供:イマーシブ・フォート東京 ©和久井健・講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会


ライトコンテンツを整理し、ディープな体験に集約。チケットも作品ごとの個別制に

2月4日の記者発表会に登壇した株式会社刀CEOの森岡毅さんは、「ディープなイマーシブ体験は(来場者が)理解して普及していくまである程度時間がかかると思っていて、(施設)面積の大半をライトな体験に割り当てていました」と第一期の戦略を振り返る。

株式会社刀CEOの森岡毅さん


そして「いきなりイマーシブを理解して、ディープな体験をしたい人の割合が来場者の7割以上と、事前の需要予測よりも大きく高かった。であれば、これ(ディープな体験)をもっと加速していこうと決断しました」と、第二期ではよりディープな体験ができるコンテンツに集約し、ライブ・エンターテインメント施設への進化を図ることと、その背景を明かした。

第二期のイマーシブ・フォート東京はよりディープな体験コンテンツに注力するという


第二期となる2025年3月以降は、「ザ・シャーロック」を新たなストーリーを追加した二幕制とし、「江戸花魁奇譚」「東京リベンジャーズ イマーシブ・エスケープ」も内容をアップデートし、既存の3タイトルを強化。2025年4月下旬を目途に新作「真夜中の晩餐会~Secret of Gilbert's Castle」を投入し、展開を4作品に絞り、それぞれのアトラクションをより濃密な体験にする方針だ。

既存の3作品をアップデートし、完全新作を含めた4作品体制に


リニューアルに伴い、入場パスに当たる1dayパスと別途有料体験パスに分かれていたチケット制度を整理し、各アトラクションごとの個別チケット制に変更。「自分が欲しいアトラクションのチケットを買って、それだけを見て帰ってくることで、『仕事帰りにちょっとイマーシブで息抜きしようか』という需要も取り込める」(森岡さん)と、より気軽な来場を取り込む狙いだ。旧ヴィーナス・フォートの内観を活かした館内にはレッドカーペットを敷き詰め、よりプレミアムな雰囲気に変化するという。

ロビーイメージ図。レッドカーペットを敷き詰めよりプレミアムな雰囲気に画像提供:イマーシブ・フォート東京


「毎回来るたびに体験の価値が違ってくる」イマーシブ体験が持つポテンシャル

イマーシブ・フォート東京のようなライブ・エンターテインメントの“最強のライバル”としてスマートフォンの存在を挙げる森岡さん。そのうえで「目の前で起こっていることに対して観客としてではなく当事者として巻き込まれるという体験は、スマホでは絶対に不可能です。しかも、イマーシブ・エンターテインメントは一人ひとり、毎回来るたびに体験の価値が違ってくる。そこにライブ体験ならではのよさがあり、人類のストレスを解消する強みがあると信じている」と、デジタルコンテンツや従来型のテーマパークとは異なる魅力を強調する。

さらに、イマーシブ体験を支える演者・エンターテイナーについても言及し、「こういう方々(エンターテイナー)が誇りを持って人を喜ばせるという舞台があるのはすごく大切なこと。ライブエンターテインメントを(イマーシブ・フォート東京を通じて)我々が大きくアップデートすることによって、その方々の未来を作っていくことにも寄与したいという願いがある」と、同施設が担うもう一つの意義と挑戦を語った。

また、質疑応答では第一期の人気コンテンツの一つ「【今際の国のアリス】イマーシブ・デスゲーム」の去就について質問が挙がり、森岡さんは「今はちょっと申し上げられないです」と明言を避けながらも、「今際の国のアリスは大人気で素晴らしいブランドですし、愛してくださったみなさんがたくさんいることを知っています」「今際の国のアリスに限らず、今後いろいろなアトラクションをどんどん逐次投入していこうと構想中です。あとは“行間を読んでいただきたい”です」と、今後の展開について含みを持たせた。

当初の想定を超え人気を拡大するイマーシブ・フォート東京。パワーアップが期待される二年目に注目したい。

※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

注目情報