シリーズ77万部の人気さがしもの絵本「どこ?」4日間だけのちいさな世界展が開催

東京ウォーカー(全国版)

シリーズ77万部を突破した大人気のロングセラーさがしもの絵本「どこ?」シリーズ。2025年3月21日(金)~24日(月)、シリーズ既刊10冊と、最新刊「どこ? おうちのなかでさがしもの」のなかから、実際に撮影に使用されたジオラマ・動物・小物などを集めた、4日間だけのちいさな展覧会が開催される。本展について、「どこ?」シリーズの作者・山形明美さんに話を聞いてみた。

にんじんはどこ?はりねずみはどこ?かぎはどこ?1から10までみつけて!「どこ? ほんのなかのさがしもの」より 


――「さわって、さがして、あそぶ「どこ?」の世界展」に関して、意図や狙い、ターゲットについて教えてください。

今回、会場では、実際に撮影で使用したジオラマや小物を、間近で眺めたり、触れたり、一部手に取って遊んだりすることができるようにしました。また、どのように作ったか、どのように撮影したかなどを写真で説明したパネルも展示しています。

絵本のなかの「どこ?」の世界を、立体的に体感するような、原画展とはまたちがう楽しみ方をしていただけるのではないかと思います。「どこ?」をご愛読くださっている方はもちろん、ミニチュアやジオラマに興味のある方もぜひいらしてください。子どもから大人まで、皆さんにお楽しみいただけるかと思います。
  
――これまで計11冊刊行された「どこ?」とはどのような絵本ですか?

【写真】約20年かけて刊行された11冊の「どこ?」シリーズ


ゆるやかな物語を読み進めながら、ページの中にかくされたたくさんの「さがしもの」を見つけていく写真絵本です。たとえばシリーズ第1冊目「どこ? つきよのばんのさがしもの」は、月夜の晩にクロという猫を追って不思議な体験をしながら、さがしものをしていきます。1枚の写真からだいたい15個くらいのさがしものを見つけなければならないのですが、なかなか見つからなくて、編集部には読者から、「本当にあるんですか?」と電話がかかってきたりすることもあるそうです。

ほかにも、森、迷路、動物、本、パーティー、クリスマスなど、1冊ごとに、物語のテーマがありますので、気になる表紙の本からお手にとっていただいてもよいかもしれません。

――本展覧会のイチオシポイントやこだわりについて教えてください。

絵本をご覧いただいて、時々、CGだと思う方もいらっしゃるようなのですが、ジオラマは、家も山も木も動物も家具もすべて、いろいろな素材を使いながら、一つひとつ手作りしています。

これまで、カメラマンや編集者など、スタッフ以外の人が現物を見る機会はありませんでした。保管場所がないため、撮影を終えたほとんどのジオラマは、残念ながら解体しています。今回、私の手元に残っていたものを、できるだけたくさん再現しようと試みています。ぜひ皆さんにご覧いただきたいです。

――1冊の絵本ができるまで2年かかるとのことですが、どの過程が特に大変ですか。また、それをどのように乗り越えていますか?

制作方法と制作物の量を考えれば、絵本完成まで時間がかかるのは当然のことで、むしろ、自分が納得するまで手を動かすことができるのはありがたいと思っています。

ジオラマを作っている最中は作ることに夢中ですし、撮影の場も楽しく大好きなので、苦に感じることもありません。ただこれだけ続けていると、読者を唸らせるようなさがしものを考えるのが、だんだん難しくなってきていますね。

――絵本を読んだ方、まだ絵本を読んでいない方、それぞれに楽しみ方のアドバイスを頂戴できればと思います。

さがしものは、たやすく見つけられるものから、なかなか見つからない超難問まで、いろいろかくれています。やっと見つけた時の達成感を感じたら、必ずハマっていただけると思います。またどのページも、プロのカメラマンが、ミニチュアとは思えないスケール感、情緒あふれる写真に仕上げてくださっているので、その物語性もお楽しみいただけるかと思います。

――読者へのメッセージをお願いします。

第1作目の「どこ?」が発売になってから、22年が経ちました。こうして長いシリーズになり、今も、絵本づくりを続けていられるのは、読者の皆さんと多くの方々のおかげです。ただただ感謝しかありません。

作者 山形明美さんが作ったジオラマの一部を紹介!

動物たちの晩餐会のジオラマ 「どこ? ながいたびのさがしもの」より

動物たちの晩餐会のジオラマ。遠近感をより感じられるよう、手前の左右幅は広く、奥にいくほど狭くなるよう、パースを誇張して部屋が作られている。

動物たちは軽量石粉粘土、食卓の上にあるごちそうはオーブン粘土や樹脂粘土でできている。手に持つと意外なほど軽い。大きい動物は両端に、中央に行くほど小さい動物を配置すると、さらに遠近感が強まる。

完成したものがこちら


床や天井が細工され、壁紙が貼られると、趣深いすてきなお部屋に!きりん、ライオン、さい、しまうま……着色された動物たちが席につけば、美しい晩餐会の始まりだ。動物たちの表情やしぐさもいきいきとしていて、ひっそりとした会話が聞こえてきそう。ぜひさがしものも見つけてほしい。めがねはどこ?赤いボタンはどこ?2ひきのちょうちょうはどこ?

最新刊は、幼児向けの「どこ? おうちのなかでさがしもの」

「どこ? おうちのなかでさがしもの」定価:1430円

シリーズ77万部を突破した大人気のロングセラーさがしもの絵本「どこ?」シリーズに、幼児向けの新シリーズが登場した。ねずみちゃんとくまさんの、おはようからおやすみまでの一日を追って、お着替え、食事、掃除・洗濯、お買い物、おふろなど、身近な場面から「さがしもの」をして遊べる。さがしもの遊びをしながら、楽しく生活習慣も身につけられる絵本である。

大人気絵本「どこ?」のミニチュアのジオラマを「さわって、さがして、遊べる」今回の展覧会。1冊の絵本を完成するのに約2年かかるというその大変さやジオラマの緻密さ・精巧さに驚くこと間違いなしだ。ぜひ会場に足を運んでみよう。

文=久米碧

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