これは、とある町の子ども会を退会するまでの話。「自治会の決まりなので、子ども会に入会してください!」と、役員に強制的に入会させられてしまった、きよまろ(@sobomiyako98)さん。「自治会の決まり」は法的根拠も強制力もないが、強めの役員さんに押し切られてしまい...!?退会までの実体験を描いた「ウサギさんは子供会を辞めたい」を紹介するとともにきよまろさんに話を聞いた。
「次年度会長をやるのは決まりなんだよ!」規約重視で退会させてもらえない「子ども会」と闘う
「町内会の規約だから」と子ども会への入会を押し切られてしまったウサギさん。PTAや学童の役員は引き受けているが、子どものいじめ問題や家族の病気、ワンオペ育児などさまざまな事情を抱えていたことから「子ども会には入会したくない」と意思を示した。しかし、役員は強引で退会が了承されることはなく、2年後「副会長」の順番が回ってきた。なんとか副会長をこなしたものの、次年度の会長は無理だと判断。
仕方なく子ども会には入会していたが、活動に参加したことはない。入会している意味はないと退会を申し出ると、「ウサギさんが次年度会長をやるのは決まりなんだよ!」と一括!役員全員に呼び出された。
きよまろさんに本作を描いた理由を聞くと、「どこの地域でも居住するとその地域の何かしらの組織に所属することが多いと思います。それは町内会をはじめとする自治会や、子ども会、婦人会、老人クラブ、PTAなどさまざまです。生活するうえでよりよい環境にすべく組織を作ることは大切だと思いますが、今の生活スタイルに合っているか疑問に感じたのが作品を描いたきっかけです」と話す。
登場する役員はなかなか強烈で、退会届を提出しても受理されず、話し合いという名目で役員全員に囲まれた。「作品中でウサギさんは退会にいたっていますが、辞めることがゴールなのではなく、本来であれば、辞めなくても済むような運営の在り方や時代に迎合した運営に変化させていくことの大切さについても触れています」と、きよまろさんは今の時代にあった子ども会のあり方を提唱する。
「辞めるということは最終手段だと思います。地域で組織を作り活動することについては、メリットももちろんあります。人は一人では生きていけないですし、少子化だからこそ組織化して子どもの健全な活動や育成につなげるのは意義のあることです。ですが、それは現代の社会的状況に迎合していればこそ。自分を削って健康を崩したり、仕事に支障をきたすことは避けたいものです。そもそも自治会の加入は任意であって強制力はありません。ですから魅力的で活動しやすい運営にすることも大事ですが、『加入しなくてもいい』という選択肢がもっと気楽に選べればと思います」と話す。
登場人物を動物にした理由を聞くと、「人だと生々しすぎて、読んでいて嫌な気分になってしまいそうだったので、あえて動物キャラでゆるくしました。いろいろな漫画を描きますが、個人的に嫌な気分になる系の漫画が苦手なので、描いている私自身のメンタルを保つため...でもあったりします」強烈なキャラクターに「自分なら辞められないかも」と、驚く人も多いかもしれない。
どのように退会できたのかはkindleを読んでみて欲しい。「『ウサギさんは子供会を辞めたい』は私の描く漫画の中では重いのですが、人は『1日5回笑って5回感動する』と免疫力が上がるそうなので、基本はクスッと笑えたり、ちょっと心が軽くなる四コマ漫画を描いています。中でも『祖母みや子100歳』は、はちゃめちゃに明るく強く激動の時代を生きた祖母をテーマに描いたので、ぜひ読んでいただけたらと思います」(きよまろさん)
取材協力:きよまろ(@sobomiyako98)
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