1960、70年代のロックやブルースをルーツに持つGLIM SPANKYが、1年ぶりにフルアルバムを発表。全国ツアーも始まったばかりの彼らにさっそく話を聞いた。
前作までの2枚を出したうえで「今なら出せる」と
―― 新作はどんなアルバムですか?
松尾レミ「前作までの2枚が“名刺代わりになるものを作ろう”ということでシンプルなロックアルバムだったので、今回はより深い部分を見せようと思って作りました。そんな中でのお題として、“自分たちの好きなものを全面に出す”ことと“サイケデリックなものを出す”こと、この2つを大まかに決めて。でき上がった曲は全部収録しましたね」
亀本寛貴「サイケデリックなものってロック好きには当たり前とも言えるけど、一般的には少しマニアックかなと思っていて。だから前作までの2枚を出したうえで、『今なら出せるな』と」
―― 今回のアルバムは曲調も幅広いし、歌詞もルーツが伝わる言葉遣いですよね。
松尾「前作には熱いアッパーな曲が結構あったんですけど、それは私たちがメジャーデビューしてから求められたもの。その当時に新しい引き出しとして作ったものなんです。今回はより原点に近く、かなりナチュラルに作りました。特にタイトル曲の『BIZARRE CARNIVAL』や『The Trip』なんか私たちの趣味全開(笑)。歌詞にも、ロックが好きな人ならニヤニヤできるはずの言葉なんかも入れてます」
“ポップだからロックじゃない”とは思わない
―― いろいろなロックを好きな人がニヤニヤできるかもしれない作品ですね。
亀本「ビートルズが好きな人に気に入ってもらえる曲もあると思うし、普段メタル好きな人がいいと思ってくれる曲もあるはず。ロックのなかでも幅の広さを持てる音楽は意識していますね。“多くの人に受け入れられる音楽はポップである必要がある”と思っているけど、“ポップだからロックじゃない”とは思わない。めちゃくちゃ明るいロックなんて数え切れないほどありますし。今回のアルバムはわりと暗いですけどね(笑)」
―― 1曲目の「THE WALL」はかなり壮大!
亀本「2000人規模のライブなら、今の自分たちの曲やパフォーマンスでひき付けられるとは思うけど、例えば数万人規模のフェスでやるとなったらどんな楽曲がいいのかって考えたんです。(ザ・ローリング)ストーンズやガンズ(アンド・ローゼズ)、オアシス、僕ら世代だとカサビアンとかアークティック・モンキーズとかが何万人もの観客をロックでひき付けているなと。そこを目指して作った曲が『THE WALL』です。ロックだからこそできるワクワク感や高揚感を出せば、デカい会場でも大丈夫だろうと思って!」
―― ライブの1曲目にも決定ですね。
亀本「120%、この曲ですね。これでやらなかったら…、ねぇ…(笑)」
〈2017年9月6日取材〉写真=夏目圭一郎(SPINFROG)【東海ウォーカー/澤井敏夫】
澤井敏夫