10月25日発売の九州ウォーカー冬号では、とある物事を深堀する特集「偏愛トリップ」を展開している。
そこで今回、幕末好きで知られる女優・酒井若菜にインタビュー。幕末愛について語ってもらい、さらに!なんと5000文字超えのスペシャルエッセイも書いてもらった。その一部をWEBにて公開!止まらない偏愛っぷりをしっかり読んでほしい。
幕末の虜!酒井若菜インタビュー「『竜馬がゆく』は私の原点」
今から10年以上前、司馬遼太郎先生の歴史小説『竜馬がゆく』を読んで以来、幕末の虜になりました。恥ずかしながら最初は「佐幕」「尊王攘夷」などの、歴史における初歩的な言葉も知らなかったので、ちんぷんかんぷんだったんですが、歴史好きの友だちに意味を教えてもらったり、辞書で調べたりして、歴史の言葉を一から覚えていきました。だから私にとって、『竜馬がゆく』はテキストみたいなものなんです。私が「司馬女」を名乗っているのも、この本が私の原点、そしてバイブルでもあるからです。
今回のエッセイでは大久保利通を中心に書かせていただきました。本格的な西郷隆盛に纏わる話は、歴史のプロが書いてくださると思いましたので、私は別のアプローチで。西郷隆盛は、誰もが認めるヒーローというイメージがありますが、その一方で、大久保利通はわりとダークヒーロー的な存在と言われていますよね。西郷と大久保はまるで太陽と月、光と影のような関係です。大久保について詳しく語ることで、その隙間から西郷の魅力が覗けるのではないかと考えました。
書き下ろしエッセイ「西郷の盟友・大久保利通という男」
鹿児島では、西郷隆盛はヒーローだけど、実は大久保利通はダーティーヒーローだと認識している人も多いらしいよ」
15年以上前に、誰かからそんな話を聞いたことがある。本当だろうか。
無論、幕末、明治維新後の大久保利通について語った盟友たちの残した言葉は、「寡黙」「冷血」「頑固」「考えを一貫して変えない」「喜怒哀楽を表情に出さない」など、確かにダーティーな印象もあるし、その言葉を残した人物が語っているのは、我々の想像の上にいる大久保利通像ではなく、実際に体感した大久保利通像なのだが。
つい先日、京都に行った時、たまたま乗ったタクシーの運転手さんが70歳を超えたベテランのかただったのだが、たいへんな歴史好きなかたで、京都の歴史を次から次へと話してくださった。
「私、幕末が好きなんですよ」と言うと、運転手さんは「あら!そうなんや。そしたらな、おっちゃんが特別な話聞かせたるわ」と切り出した……
酒井若菜渾身の5000文字超え、スペシャル書き下ろしエッセイはまだまだ続きます!
【九州ウォーカー編集部/取材・文=樋口和也、撮影=大関 敦】
九州ウォーカー編集部