2025年3月20日、淡路島の西海岸エリアに「AWAJI EARTH MUSEUM(アワジ アース ミュージアム)」がオープンした。自然に触れられる約1000平方メートルの「GARDEN」と、カフェやショップ、学習スタジオ、キッズルームを備えた屋内施設が一体となった体験型ミュージアムのこの施設では、「自然にあそび、地球を感じる」ことができるという。
今回は、「AWAJI EARTH MUSEUM」のオープンのきっかけや、施設で体験できるアクティビティ、併設のカフェやセレクトショップで提供される商品のこだわりなどについて、運営を行う神姫バス株式会社の担当者に話を聞いてみた。
なぜバス会社が体験型ミュージアムの運営に?地域創生に込めた強い想いとは
――「AWAJI EARTH MUSEUM」の施設のコンセプトについて教えてください。
「AWAJI EARTH MUSEUM」は、人ではなく自然から学べる点が大きく異なる点だと思います。通常の博物館などでは、知識学習として、何か展示されているものを見たり、誰かが書いた説明や文章を読んだりすることが基本の考えとなっています。しかし、「AWAJI EARTH MUSEUM」は、遊びながら自然への感性が開いていく体験型ミュージアムとなっており、自然の温かさ・偉大さを体感いただける施設となっております。
特に、施設隣地の「GARDEN」では、都会の生活を忘れ、思いきり自然と触れあうことで、人も大自然の循環の一部であったと思いだせるような体験ができます。緑の中で自然を感じるだけではなく、「自然になずさう(親しみ、なじむ)」ことをコンセプトに掲げており、自然に対する感性が今より少しだけ豊かになるさまざまな体験を提供します。
――「AWAJI EARTH MUSEUM」のオープンのきっかけやオープンに込めた想いを教えてください。
オープンのきっかけは、地元の人が継続的に利用できる施設を作るという目的で、淡路市が行った施設譲渡の公募です。「AWAJI EARTH MUSEUM」が建つ北淡震災記念公園エリアは、多くの企業が開発・地方創生に乗り出している淡路島西海岸沿いの中でも、今だに原風景が残る地域です。また、30年前、阪神淡路大震災の際に地層がずれてしまった状態を保存している「野島断層」がある場所でもあります。震災の遺構を後世に伝え、原風景が残る立地をどう活かすかを我々は考えてまいりました。
今まで、当社はバス事業を中心として、多くの“人”を運んできました。しかし、「運んで終わり」ではなく、目的地までも創造し、人を送り届けた先を見据えた地域展開も大切と考えています。地方創生や「まち・ひと・しごと」の面で持続可能な活性化に貢献し、これからの時代を創っていくために、外部や地域の方も交えたサステナブル拠点の施設とし、地域をつなぐ役割を担うことを目的としております。
――物産館だった建物をリノベ―ションして「AWAJI EARTH MUSEUM」を設計した際のこだわりはありますか?
建物に関しては、骨組みや構造をなるべく活かしつつ、淡路島内の事業者様に協力いただきながら、島内の間伐材などを内装に活用したり、外壁には、地元の土や竹チップなどを原料に練りこんだ素材を利用したりして、土感を感じさせるデザインと遮熱性や断熱性を高め、環境負荷を低減しています。
また、トイレや各エリアへの誘導サインといった施設内のサインには、淡路島で活動されている陶芸家・楽久登窯様にご協力いただき、地元の素材を活かした再生を意識したサインを設置するなど、あらゆる点で、リジェネラティブなモデルを提案しています。
自分の目で自然をのぞきこむ体験活動が登場!
――セルフ型自然アクティビティ「EARTH LOUPE(アース・ルーペ)」の詳細を教えてください。
コンセプトとしては「地球をのぞきこめ」です。木々や空、自然のさまざまな要素を観察するプログラムで、館内に設置している無料のツールを使って、楽しみながら自然を観察することができます。観察することでいろいろな発見ができ、自然科学的な学習につながるだけでなく、自然に対する感性が豊かに育まれるきっかけを提供します。
「目でみえないところには、不思議があふれている。葉っぱの中身、土の中、地球のかたち、大きすぎても小さすぎても、入り組んでいても目で見るのはむずかしい。だから、私たちは、のぞきこむ。小さな穴から少しずつ。Loupeでのぞくようにわくわくと…より鮮明に。足元にある”地球”を、小さく切り取って みんなの目でのぞきこんでみよう。」
上記のようなコンセプトを基に、地球を切り取ることで楽しく身近に地球を感じてもらうという目的で、自分で体験するセルフ型の自然アクティビティに仕上げました。皆さんもぜひ「地球をのぞきこんで」みてください!
――ほかにも今後実施予定のアクティビティなどあれば教えてください。
コミュニティ型自然体験プログラム「みみずっこ」の月に一度の定期開催を目指しています。内容としては、その土地の土を踏みながら作るピザ窯「アースオーブン」の活用や、ガーデンの管理を行っていく予定です。これらの活動を通して、その土地の土や風土を知るきっかけを提供し、ひいてはそれが地球を知るきっかけとなればと考えております。
淡路の土と稲、瓦を使って釜を作る。発酵の温度を感じながら、土を踏み、できたオーブンで地域の食を楽しむ。そんなプログラムを予定しております。