寺田倉庫株式会社が運営する現代アートと建築のミュージアム「WHAT MUSEUM(ワットミュージアム)」では、2025年4月26日(土)から7月6日(日)まで「Reborn-いのちを織りなすアーティストたち-」展を開催する。
本展では、日本文化の根底に流れる「自然との共生」と「いのちの行方」をテーマに、現代アーティスト6人による、流木や古紙ダンボール、狩猟で得た膠(ニカワ)などの素材を活かした作品を含め、約67点を観賞することができる。
期間中は、古紙ダンボールを使って「お面」を作るワークショップや出展作家によるギャラリートークを開催する日も。ゴールデンウィーク(GW)のおでかけ先にもぴったりな本展の魅力を紹介していこう。
「自然との共生」について考えさせられる作品が勢ぞろい
古くから自然との共生を重んじ、その美しさや力に畏敬の念を抱いてきた日本ならではの背景と、季節の移り変わりや自然のサイクルが生活や文化に深く根づくことで日本独自の美を生み出してきた歴史に目を向けた今回の展覧会。
現代では薄れつつも日々の暮らしの中で大切に継承されてきた自然との深い関わりに着目し、それを創作活動へ取り入れながら、「いのちの行方」について表現する6人のアーティストによる作品が見どころ。
出展アーティストは、流木や古紙ダンボール、狩猟で得た膠(ニカワ)など、出会った素材と真摯に向き合い、対話を重ねながら作品を生み出しているという。これらの作品から自然との向き合い方を改めて考えるとともに、環境破壊や気候変動への危機感が高まる今だからこそ、日常の営みを見つめ直すきっかけになるはずだ。
気になる6人のアーティストについて
「Reborn-いのちを織りなすアーティストたち-」展で作品を司るアーティスト6人はこちら。
鈴木初音(すずきはつね)さんは、自ら育てた植物や天然由来の材料を用いた平面作品を制作。古より受け継がれた素材とその手仕事を追体験することで、現代のものづくりの根源を追求する。
玉田多紀(たまだたき)さんは、古紙ダンボールを巧みに用い、生き物の造形美や性質をユニークに捉えた立体作品を制作している。ダンボールの特性を活かした独自の技法を美術教育の現場でも広めているという。
永沢碧衣(ながさわあおい)さんは、主に東北の狩猟、マタギ文化に傾倒し、自らも狩猟免許を取得。生き物の命に感謝し、それを余すことなく使い別の命に繋ぐという、古来より受け継がれてきた根源的循環を表している。
帆刈晴日(ほかりはるひ)さんは、自らが描いた絵画作品を解体し再構築し、新たな造形に創りかえる。その行為はこれまでの美術の常識を覆したリサイクルするアートと言える。
水田典寿(みずたのりひさ)さんによる、海からの漂着物や廃棄された家具などを用い、できるだけ手を加えずに素材本来の美を輝かせようとするアプローチは、新たな価値の創造として楽しむことができる。
宮川達也(みやかわたつや)さんは、板材として使われなかった木々を用いた彫刻を制作。30年以上にわたり学校教育に携わりながら追求した造形経験を体感しよう。
鑑賞だけじゃない!古紙ダンボールを使ったお⾯作り体験も開催
出展作家の⽟⽥多紀さんを講師に迎えた、造形制作体験のワークショップも開催予定。「お⾯」は、⽇本の祭りや神事、伝統芸能だけでなく、現代の多様な⽂化にも影響を与え続けている特別な存在だ。
ワークショップでは、古紙ダンボールを使ってオリジナルのお⾯を制作し、その⽂化的背景や創造の楽しさを体験できるそう。GWの思い出の品作りとして、来場時に参加してみるのはいかが。