関東学院大学×横浜ウォーカーのコラボイベントとして開催されている特別公開講座「横浜学」。2017年10月22日、第27回となる講義が開催された。テーマは「横浜の水」。
まずは、横浜市ふるさと歴史財団・横浜市史資料室の主任調査研究員、平野正裕先生が登壇。横浜に近代水道が誕生するまでの歴史と背景を解説してくれた。開港当初、横浜の外国人居留地では生活用水の確保が難しく、水を運び配る「水屋」に頼る生活だったという。1877(明治10)年から始まるコレラの大流行をきっかけに、明治政府が「対外的なアピールのためにも、横浜水道の整備が必要」と考え、国の主導により横浜の近代水道化は加速していったと説明した。
続いて登壇したのは、横浜市水道局浄水部水源林管理所長の温井浩徳先生。横浜市の水源の一つである山梨県道志村の水源林について、その歴史と管理方法、水源保全のための取り組みを紹介してくれた。横浜市では近代水道創設から10年後の1897(明治30)年に道志川からの取水を開始。1916(大正5)年には横浜市が道志村内の水源林を購入し、以来100年にわたって管理・保全しているという。温井先生は「きれいな水を横浜に届けるには、水源である道志村の方々との協力関係が必要不可欠」と説明、「ぜひ一度、道志村に足を運んでください」と締めくくった。
最後の登壇者は、関東学院大学理工学部准教授の鎌田素之先生。水道工学の視点から浄水の仕組みと、横浜市の川井浄水場で導入されている浄水技術について解説してくれた。川井浄水場「セラロッカ」はセラミック膜で不純物を除去する浄水技術。道志川を水源とする取水施設との高低差を利用した、省エネで環境に優しいシステムを採用していると紹介した。
横浜の歴史をさかのぼり、水源から浄水場まで「横浜の水」の流れを知ることができた今回の講座。生活に欠かすことのできない「水」について、あらためて考えるきっかけになった。
次回は「横浜と農業」をテーマに12月中旬予定だ。【横浜ウォーカー】
横浜ウォーカー編集部