「喫茶マヅラ」は、昭和40年代のおもかげが残る大阪駅前第1ビルで、その開業と同時にオープンした、関西の純喫茶好きなら知らない人はいない名物店。初めて訪れた人がまず驚くのが独特な雰囲気の店内だ。約330平方メートルもの広々とした空間で、オーナーが人類初の宇宙飛行士、ガガーリンに感銘を受けたことから宇宙をイメージ。月のクレーターのような凹凸のある天井に、輝く星のような照明などとにかく遊び心いっぱい。大阪市が発信する「生きた建築ミュージアム・大阪セレクション」にも選定されるなど、まさに昭和の遺産といった趣だ。<※情報は関西ウォーカー(2017年10月24日発売号)より>
地下1階にある330平方メートルの宇宙空間ノスタルジー
丸いソファーや年季の入った椅子などが並ぶ広々とした店内。壁に張り巡らされた鏡の効果で、さらに広く感じる。
まるで星のように店内を優しく照らす丸い照明がキュート。
モダンで近未来感漂う非日常な空間でのくつろぎを求め、現在も1日に約600人が訪れるとか。
宇宙をイメージした店内で半世紀変わらぬ味のコーヒーを
次に驚くのが安さだ。梅田の一等地にありながらコーヒーは250円、喫茶メニューで一番高いパフェでも550円という手ごろな価格で、お財布にも優しい。サラリーマンの憩いの場所として、今も多くの人が訪れている。
「コーヒー(ホット)」(250円)。リーズナブルな価格が魅力!軽やかな酸味と香りが特徴の、飽きの来ない一杯。コーヒー豆はブラジル産にこだわっている。
「タマゴサンド」(500円)。ゆで卵にレタス、大根、ニンジンをサンド。ワンコインとは思えないほどボリュームたっぷり。
「クリームソーダ」(330円)。シュワッとはじける緑色のソーダの上に、バニラアイスクリームを浮かべた定番メニュー。
21時以降はバーとして営業
サラダや揚げ物、肉料理などをアテに、「ジョニーウォーカー シングル」(350円~)といったウイスキーや「生ビール(中)」(450円)などが楽しめる。
入口は北側と南側に。南側は四つ葉のクローバーの看板が。
97歳の今も店頭に立ち続ける!名物オーナーインタビュー
【こちらの店を開業するきっかけはなんだったのでしょうか】
学生時代は台湾で暮らしていて、20歳の時に日本に来ました。最初は貿易関係の仕事をしていたんですが、台湾で通っていた名曲喫茶の思い出が強くて、自分でもやってみたいと思ったんです。
それで終戦直後の1947(昭和22)年に脱サラし、大阪駅前の闇市の一角に15坪ほど(約50平方メートル)の名曲喫茶を開いたのがこの店の前身となる「名曲喫茶 マヅラ」。
ワルツを中心に流していて、オープン直後はまだ物資が不足しており、コーヒーなどはなく、甘味のないぜんざいなどしかお出しできなかったんですが、それでも音楽にひかれた多くのお客さんにお越しいただいていました。しかし、大阪市の市街地整理が始まり大阪駅前ビルができることになり、現在の場所に移転しオープンさせたんです。
【宇宙のような独特の内装はどうやって生まれたのですか?】
お店が地下になったので、圧迫感があるなと感じたんです。それで開放感を出すためにどうしたらいいかと考えて、宇宙をイメージしたこの内装にしました。実はビルの工事が続いていたので、店内にバーカウンターのあるラウンジ風のスペースがあるのですが、そちらが最初にオープンして、宇宙をイメージしたスペースは1年後にできたんですよ。
【今でもお元気に店頭に立っていられる秘訣はありますか?】
店頭に立ったら元気が出るんです。やっぱりお客さんをお迎えするのが楽しいんですよ。
1920(大正9)年生まれのオーナー、劉 盛森(りゅうせいしん)さんが「いらっしゃいませ!」と、元気な声で迎えてくれる。
【今後の目標はありますか?】
2020年の東京オリンピックの年にちょうど100歳になるんです。できればそれまでは元気に店に立ち、お客さんをお迎えしたいですね!
■喫茶マヅラ<住所:大阪市北区梅田1-3-1 大阪駅前第1ビルB1 電話:06-6345-3400 時間:9:00~21:00、バー営業21:00~23:00 休み:日祝 席数:200席 タバコ:喫煙可 ※テーブルによりチャージが必要 駐車場:なし 交通:地下鉄西梅田駅と地下で直結>【関西ウォーカー編集部】
編集部