九州の5大人気観光地のひとつ・阿蘇。九州の真ん中付近に位置し、九州各県からのアクセスもよく、日帰りドライブに人気のエリアである。世界最大級のカルデラを有する活火山・阿蘇山がどっしりと構え、広大な草原や田園風景が広がっている。「阿蘇」という名前はアイヌ語の「火を吐く山」という意味の言葉からきているという一説も。そんな「火を吐く山」を擁する阿蘇を訪れた際に外せないのが、火山の恵みを存分に感じられる温泉であろう。今回は泉質にこだわった2つの温泉と、阿蘇のカルデラ内部で暮らす⼈々の歴史や⽂化を感じられる「町湯」を紹介する。
2024年12月にリブランドオープン!「火の山温泉 どんどこ湯」
昨年2024年12月1日に「アーデンホテル阿蘇」から「阿蘇 梅園 SPA RESORT」と名称を変え、リブランドオープンした温泉宿の日帰り施設が「火の山温泉 どんどこ湯」である。今回、マネージャーの永田さんが取材に応じてくれた。まずは約1000坪にも及ぶ浴場の広さについて話を聞くと「敷地面積では西日本最大級を誇ります」とのこと。庭園露天風呂は阿蘇の自然木や巨大な溶岩石が組み合わされており、野趣あふれる空間となっている。「昼はダイナミックな開放感を感じることができ、夜は幻想的な雰囲気をお楽しみいただけると思います」と話してくれた。
湯の色は、光の当たり具合で乳白色にも薄緑色にも見える。永田さんに尋ねると「緑白色のにごり湯ですね」とのこと。「泉質は硫酸塩泉で、いわゆる美人の湯。阿蘇では珍しいといわれているお湯です。成分には、カルシウム、ナトリウム、マグネシウムが豊富に含まれているので、 疲労回復に適しているだけでなくお肌にハリと潤いを与え、美肌再生に期待でき、アンチエイジング作用もあると言われています」と教えてくれた。
「阿蘇での温泉は毎回どんどこ湯さんを利用しています」というリピーターから「熊本在住2年目で初めて来ましたが、ロケーション・温泉・サウナどれも最高でした~」という初めての人まで利用者はさまざま。利用者に気に入っているポイントを聞くと「歴史ある温泉でスタッフさんが親切で居心地がいい」「内湯はぬる湯、普通、熱湯と温度帯が分けてある」「2階にキッズコーナーと寝転べる休憩スペースがある」「鳥のさえずりが聞こえてきた」と泉質以外の部分を推す声も多く聞こえてきたのが印象的だった。
利用者の声にあった“2階の休憩スペース”は日帰り温泉でも利用できるとのことで、永田さんに聞いてみると「2階のスペースには高気圧酸素カプセルも設置しております。30分1500円からご利用いただけますので、温泉やサウナを楽しまれたあと相乗効果を体感していただければと思います」とのこと。これはかなり長居してしまいそうな立ち寄り温泉施設である。
【火の山温泉 どんどこ湯】
熊本県阿蘇郡南阿蘇村下野135-1/050-3773-4753
〈大浴場〉
■入浴料:〈平日〉大人660円・3歳〜小学生330円〈土日祝〉大人770円・3歳〜小学生440円
※どんどこ湯公式Instagramをフォローすると110円引き(入場の際にフォロー画面を提示)
■営業時間:〈平日〉11時~22時(最終受付21時)〈土日祝〉7時~22時(最終受付21時)
■大浴場の種類:内湯男4女4、露天男2女2
■泉質:硫酸塩泉
■湯の特徴・効能:動脈硬化症 切り傷 慢性皮膚病 やけどなど
〈貸切風呂〉なし
メタケイ酸たっぷりの“超美人の湯”!美しい利休色の湯を湛えた「和み乃癒」
千利休が好んだといわれる暗めの抹茶色をした湯が、毎分356リットルも沸き出ている「南阿蘇温泉 癒しの里」。ここは全室露天風呂付きの離れ客室がそろった人気の温泉旅館だ。その温泉旅館と同じ敷地内にある立ち寄り温泉施設が「和み乃癒」である。
この温泉の最大の特徴はメタケイ酸の含有量だ。全国各地には「美人の湯」「美肌の湯」と呼ばれる湯があるが、その指針のひとつとなるのが「メタケイ酸」である。メタケイ酸とは温泉に含まれる物質名で、コラーゲン生成を助けて肌をみずみずしくしてくれると言われる温泉成分。保湿効果が高く肌のターンオーバーも促すことから美肌効果に期待ができる。一説では1キロあたりのメタケイ酸含有量が50ミリグラムあれば「美肌の湯」、100ミリグラム以上なら「美人の湯」と言われているが、こちらの含有量は243ミリグラムもあることから、“超美人の湯”といえるだろう。
取材に応じてくれた女将の古木さんに温泉の魅力について聞いてみると「メタケイ酸を豊富に含んでおりますので、とってもお肌によい温泉です。日本随一の“超美人の湯”で、お肌がスベスベになりますよ」と話してくれた。
「湯上がりは、余計な毛穴の汚れがすべて剥ぎ取られた感じ」「ミネラルが豊富で体が温まる」「豊富な湯量から阿蘇の偉大さを感じる!」などの温泉利用者からの声も届いており、湯のよさを物語っている。最後に古木さんは「毎回清掃をしておりますので、いつでも新鮮なお湯をお楽しみいただけます。すべての客室には専用の露天風呂も付いていますので、お泊りでもぜひお越しくださいね」と付け加えた。
【南阿蘇温泉 癒しの里「和み乃癒」】
熊本県阿蘇郡南阿蘇村立野461-94/0967-23-5335
〈大浴場〉
■入浴料:〈平日〉大人500円・子ども300円〈土日祝・特別日〉大人800円・子ども500円
■営業時間:〈平日〉12時~20時(最終受付19時)、〈土日祝〉12時~21時(最終受付20時)
■大浴場の種類:露天男1女1
■泉質:硫酸塩泉
■湯の特徴・効能:美肌、切り傷、やけど、慢性皮膚病、動脈硬化症、筋肉痛、神経痛、関節痛など
〈貸切家族風呂〉
■入浴料:〈平日〉1室60分2000円〈土日祝・特別日〉1室60分3000円
■営業時間:〈平日〉12時~20時(最終受付19時)、〈土日祝〉12時~21時(最終受付20時)
■貸切家族風呂の種類:貸切半露天10
世界有数の巨大カルデラの内部で暮らす人々の生活に根づいた「町湯」を知る
阿蘇北外輪山の最高峰・大観峰から阿蘇の町を望むと、阿蘇は巨大なカルデラの内部に田園や町が広がっている。カルデラ内部で暮らす⼈々の暮らしを肌で感じるのも旅の醍醐味のひとつではないだろうか?阿蘇北部に位置する内牧温泉街は開湯128年を迎える歴史ある温泉街だ。観光客向けの温泉宿が多く建ち並ぶ中、「町湯」はひっそりと存在している。
町湯とは地元の人たち御用達の公衆温泉のことで、低料金で入浴できる点が魅力だ。現在、内牧温泉には6つの町湯が点在している。こぢんまりとしたレトロな建物が多く、決して大きいとはいえないサイズの湯船に見合わないほど豊富に湧き出る湯がドバドバと注ぎ込まれている。この町で生活する人たちが先祖代々大切に利用し、受け継がれてきた大切な温泉だ。
阿蘇温泉観光旅館協同組合の松永さんに町湯の魅力について話を聞いてみると「入浴するという目的だけではなく、“集いと憩いのステーション”でもあるんです」と話してくれた。そんな地元の人たちにとって大事な絆を生む場所である町湯には利用する際のマナーや注意点もあるのではないか。松永さんに聞いてみると「町湯ごとにルールが定められているので、コミュニケーションをとりながら入浴を楽しんでください」と教えてくれた。次の時代にも受け継いでいきたい素晴らしい文化である町湯の存続のため、ルールを守って利用しよう。
【内牧温泉の主な町湯】
熊本県阿蘇市内牧温泉街各所
■大阿蘇温泉(0967-32-0157):大人200円、小学生以下100円/7時30分~21時30分/不定休
■雲海薬師温泉(0967-32-0116):大人300円、小学生以下100円/10時~20時/無休
■宝湯(0967-32-1563):大人400円、小学生以下200円/10時~21時30分/無休
※営業時間・定休日・料金は変更の場合があるため電話確認を推奨
効能豊かな温泉に恵まれ、清らかな湧水が湧き、パワースポットも点在する阿蘇エリア。新緑がキラキラとまぶしい日差しを浴び、美しく映える初夏を迎えた今の季節が阿蘇の一番のおすすめシーズンだ。火山の恵みを感じる温泉や、人々の生活に根づいた温泉文化と触れ合いながら、阿蘇ドライブを楽しんでみてはいかがだろうか。
取材・文=大庭かおり
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